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グレートハンティング
ULTIME GRIDA DALLA SAVANA

米 1975年 96分
監督 アントニオ・クリマティ
   マリオ・モッラ


「ライオンが人間を喰い、人間が人間を狩る!。あまりの衝撃に世界中が身震いした恐るべきドキュメント!」

 以上の宣伝文句の通りに「自然動物園でのライオンの人喰い」と「白人による土人狩り」の衝撃映像が売りの作品である。我が国では特に「ライオン」が評判になり大ヒットした。しかし、いずれも「やらせ」であることには今日では異論がない。

「ライオン」は、先ほど改めて見たが、極めてよく出来ている。ヤコペッティの下で長年「やらせ」の修行をしてきたクリマティ監督の腕が冴える。
 しかし、このシーン、カット編集が多すぎる。肝心の部分が見えそうになると、さっさとカットして別の映像に移る。もし私が監督で、本物のフィルムを手に入れたとしたら、カット編集はしないだろう。素材そのものをノーカットで見せる筈だ。その方が臨場感があるし、第一、迫力が違う。にも拘わらずカット編集がなされているということは、カットされた部分には「観客には見せたくないもの」が写っていると考える方が自然だろう(註1)。

 かたや「土人狩り」はというと、あまりよい出来ではない。これは『キリング・フォー・カルチャー』(註2)でも指摘されているが、走って逃げる土人を後ろから撃つと、この土人は立ち止まって「うわあッ」と叫び、仰向けにひっくり返るのだ。
 これはないだろう。
 惰性でそのまま前のめりに倒れないと嘘だ。
 この他にも『キリング・フォー・カルチャー』は「ペニス切断」シーンのわざとらしさを指摘しているが、日本版はボカシが入ってるので見えません。残念。

註1 この他にも「最初にアタックするライオンにあまり殺気が感じられない」とか「眼の前で人が喰われているってのに、それを見て泣き叫ぶ家族の顔を写すかね?」とか、いろいろと疑問がある。

註2 デヴィッド・ケレケスとデヴィッド・スレイターによる「殺人映画の研究書」。特にモンド映画に関するページが異常に充実している。労作。


 

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