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鮮血の美学
LAST HOUSE ON THE LEFT

米 1972年 85分
製作 ショーン・S・カニンガム
監督 ウェス・クレイブン
脚本 ウェス・クレイブン
出演 デビッド・ヘス
   ルーシー・グランザム
   サンドラ・カッセル
   マーク・シェフラー
   ゲイロード・セント・ジェームス
   シンシア・カー


 

 本当に不快な映画である。あのジョン・ランディスもこのように述べている。

「ウェス・クレイブンが『鮮血の美学』をあれほど倒錯的に描いた意図は何なのか、私にはさっぱり判らない」

 あまりにも不快なので、今日見直すのも辛かった。ビデオをデッキに入れるまでに時間がかかった。あんな不快な思いをまたしなければならないのかと思うと腹が立った。それほど不快なのである。
(ならば見るなと云われそうだが、これを紹介するのが「最低映画館」の使命なので仕方がない)

 17歳の美少女マリーは今日が誕生日。ちょっと不良な女友達と街に出て、コンサートを楽しんで、家に帰って誕生日パーティを祝う筈だった。ところが、マリファナを買おうとしたばっかりに無法者たちに監禁され、レイプされた上に虐殺されてしまう。ここまでが約1時間。とてもとてもとても不快な1時間である。


 で、この無法者たちの車がエンストを起し、助けを求めた家がたまたまマリーの自宅だったことから、物語はドラスティックな展開をみせる。娘たちが彼らに殺されたことを察した夫婦が復讐に乗り出すのだが、その方法がまた壮絶なのだ。
 誘惑してペニスを噛み切る妻。
 チェーンソーで滅多切りにする夫。
 人間の心に巣食うどす黒い悪意を徹底的に描いた作品である。ベースとなっているのはイングマール・ベルイマンの『処女の泉』であるが、あれには宗教的な救いがあった。しかるに、これには救いのかけらもない。とにかく、観客を絶望のどん底に突き落とすのみなのである。監督は明らかに病気である。

 監督の名はウェス・クレイブン。『エルム街の悪夢』や『スクリーム』のシリーズで知られる「マスター・オブ・ホラー」だが、初期作品にはアタマが痛くなるものが多い(例えば『サランドラ』とか)。
 それから、製作は『13日の金曜日』シリーズのショーン・S・カニンガム。本作はホラーの2大巨匠がタグを組んだ作品だということでカルト化しているが、そのテイストは彼らの出世作とは明らかに異質である。むしろ『スナッフ』のそれに近い。


 

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