ルーク・ウッドハム
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ルーク・ウッドハム(16)はミシシッピ州パールで、母親のメアリー(50)と2人で暮らしていた。両親は数年前に離婚した。彼はそのことを今でも気に病んでいた。
学校では「クロス(The Kroth)」というグループに所属していた。悪魔主義を実践するオカルト集団だ。ニーチェの超人思想に傾倒し、ヒトラーを崇拝していたという。7人ほどのメンバーの全員がイジメられっ子だった。
そんなルークにもガールフレンドがいたが、数日前にフラれてしまった。激しく落ち込む彼を「クロス」のリーダー、グラント・ボイエット(18)は罵倒し、そして犯行を教唆した。
「お前が立ち直るためには、母親と元カノを殺さなければならないんだ」
前日の晩に、電話で5時間にも渡って説得されたという。
翌日の1997年10月1日、ルークは母親の頭をバットで殴った後、キッチンナイフで刺し殺した。そして、母親の車でパール高校に登校した。トレンチコートの中にはライフルが隠されていた。
標的たるクリスティーナ・メネフィー(16)がいる場所に向かう途中で、「クロス」のメンバーに「本当にやるのか?」と訊かれて、彼はこのように答えている。
「俺は狂ってなんかいない。怒っているんだ。俺みたいな者たちが毎日のようにイジメられないために殺すんだよ。世間に思い知らせてやるんだ。押されたら押し返すんだってな」
(I am not insane, I am angry. I killed because people like me are mistreated every day. I did this to show society, push us and we will push back.)
そして、元ガールフレンドのクリスティーナ・メネフィーと、その友人のリディア・ケイ・デュー(17)を射殺したルークは、その後も発砲を続けて7人の生徒に重傷を負わせた。
やがて銃弾を撃ち尽くしたルークは、逃走するために駐車場へと向かった。ところが、その行く手には副校長のジョエル・マイリックが拳銃を構えて立ちはだかっていた。ルークは降伏せざるを得なかった。
かくして、3件の殺人と7件の殺人未遂の容疑で有罪となったルーク・ウッドハムには、3件の終身刑と140年の刑が宣告された。
一方、ルークに犯行を教唆したグラント・ボイエットには6ケ月のブート・キャンプにおける更正と5年の保護観察が宣告された。
(2012年12月22日/岸田裁月)
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