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ジョン・パリッシュ
John Felton Parish (アメリカ)



ジョン・パリッシュ

 1982年8月9日、テキサス州グランドプレーリーでの出来事である。

 黒人の長距離トラック運転手、ジョン・パリッシュ(49)は勤務先の運送会社「ウエスタン・トランスポーテーション」と賃金を巡って争っていた。彼は1600ドルの未払いがあると主張していたが、会社側はにべもなく支払いを拒絶した。
「お前は怠けていたから遅配したんだろ? その分を支払う義務はこっちにはないんだよ」
 このところのパリッシュにはロクなことがなかった。長年連れ添った妻とは離婚係争中で、2人の子供の親権を失ったばかりだった。また、姉が癌で死亡した。その上で勤務先での非情なる扱い。彼の怒りは爆発した。

 その日の午前8時、カービン銃と25口径の自動拳銃、そして38口径のリボルバーを携えて出勤したパリッシュは、賃金の交渉相手だったエディー・ウルリッヒ(40)とトラック運転手のマーティン・モラン(30)、支店長のムーディー・スミス(58)を射殺すると、1ブロック離れた同社の事務所へと向かった。そこで彼は事務局長のワイヴォン・コーラー(48)を射殺し、受付嬢と職員に重傷を負わせた後、女性の事務員を人質に取って「マイク」という名の重役を探して回った。
「マイクがいなければ、この女を殺すぞ!」
 だが、マイクはいなかった。やがて人質の女性が友人の妻であることを知ったパリッシュは、彼女を解放して、そこから6kmほど離れた倉庫へと車で向かった。

 倉庫では営業部長のデイヴ・バル(28)と主任のリック・スヴォボダ(37)が射殺され、1人の職員が重傷を負った。その後、パリッシュは運転手のカール・ローレンツに銃撃し、彼のトラックを奪って逃走を図ったのだが、間もなくパトカーによるバリケードに遭遇し、それを突破後に壁に激突。パリッシュは運転席から転がり出て、近くの建物に逃げ込んだのだが、警官に発砲したのがいけなかった。一斉射撃を受けて、蜂の巣となって死亡した。

 死者6人、負傷者4人に及ぶ大惨事だった。

(2013年1月22日/岸田裁月) 


参考資料

http://en.wikipedia.org/wiki/John_Felton_Parish
http://www.findagrave.com/cgi-bin/fg.cgi?page=gr&GRid=96686222


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