1997年1月27日、フロリダ州ウエスト・パーム・ビーチのコニストン中学校において殺人事件が発生した。黒人の生徒、トロニール・マンガム(14)が同級生のジョン・ピエール・カメル(14)を入口前で押し倒し、その胸に3発の銃弾を撃ち込んだのである。
その場で逮捕されたマンガムは、ことの次第をこのように供述した。
「ジョンとその仲間たちは私のことをハメようとしていたんです。私がジョンの腕時計を盗んだとかなんとか、学校側に嘘八百を並び立てて、私を退学させようとしていたんです」
だから、その報復として撃ったと弁明したのだ。
また、マンガムの弁護人は正当防衛だったと主張した。彼はカメルたちにリンチされることを怖れて銃を携帯し、そして発砲してしまったのだと。だが、この主張は到底通るものではない。なにしろマンガムはこの年齢にして185cm以上の身長があったのに対して、カメルは片足が義足だったのである(幼い頃に患った病いが故に切断している)。マンガムがカメルを怖れていたとは思えないのだ。
かくして、14歳の殺人者は有罪となり、終身刑を宣告された。彼は現在もなお刑務所の中にいる。
(2013年1月2日/岸田裁月) |