1944年5月9日、ニューヨーク市ハーレムの小学校で奇妙な事件が発生した。ハロウィン・マスクを被った2人の少女が、年下の少女をペーパーナイフで殺したというのだ。どうしてそんなことが起こったのか? 当時の新聞によれば事情はこうだ。
ちなみに、少女たち(被害者を含む)はいずれも黒人である。
その日、アイリーン・フォスター(13)とマデリーン・カークランド(11)の2人は遅れて登校した。そして、担任教師と同級生たちがセントラル・パークに出掛けていることを知る。日頃から素行が悪かった2人は、教室に誰もいないことを幸いと、本や画用紙、ペーパーナイフ等を盗んでアイリーンの家に持ち帰った。
やがて学校に戻った彼女たちは、下級生のマーガレット・パットン(9)が犯行の一部始終を目撃しており、しかも、そのことを教師にチクっていたことを知る。
「あん畜生、お仕置きじゃあ!」とばかりに、2人はアイリーンの家に取って返し、ハロウィン・マスクとペーパーナイフを手にして学校に向かった。そして、娯楽室で一人ポツンと座るマーガレットの姿を見つけた。マスクを被った2人は彼女に襲い掛かった。年長のアイリーンが身動きが出来ないように押さえつけ、マデリーンがペーパーナイフで滅多刺しにしたのである。
想像すると、なんともシュールな光景である。
2人の少女はその年齢ゆえに、成人として裁かれることなく、鑑別所に収容された。その後のことは不明である。
(2012年12月25日/岸田裁月)
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