1992年5月1日、カリフォルニア州オリヴハーストでの出来事である。
午後2時40分頃、迷彩服に身を包み、ショットガンとソードオフ・ライフルで武装した若い男がリンドハースト高校に侵入し、教師や生徒に目掛けて銃を乱射し始めた。
ロバート・ブレンズ(28・教師)
ジュディー・デイヴィス(17)
ジェイソン・エドワード・ホワイト(19)
ビーモン・A・ヒル(16)
以上の4人が死亡し、他にも10人(うちの1人は教師)が重傷を負った。
まず撃たれたのは公民科教師のロバート・ブレンズだった。授業中に教壇で狙い撃ちされたのだ。次いで撃たれたジュディー・デイヴィスはブレンズの教え子だった。
その後、教室を後にして廊下を進んだ犯人は、出会う者すべてに目掛けて発砲した。その過程でジェイソン・ホワイトが胸を撃たれて死亡した。
4人目のビーモン・ヒルは本来は標的ではなかった。犯人は別の女子生徒に銃口を向けていたのだが、ヒルが彼女を押し倒して庇っために、代わって撃たれてしまったのだ。
この手の事件の犯人は、ひとしきり撃ち終えた後で自殺するものなのだが、彼はそうはしなかった。80人もの生徒を人質に取って籠城したのである。その際に人質たちを相手にグチを述べている。
「最近、彼女にフラれたんだ」
「その後、仕事も失った」
「それもこれも、この学校のせいなんだ」
「この学校は、おれの卒業を認めなかったんだよ」
「俺を落第させたのはあいつだ。ロバート・ブレンズなんだ」
だから、ロバート・ブレンズが最初に撃たれたのだ。その他はすべてとばっちりである。
約8時間後、犯人のエリック・ヒューストン(20)は説得に応じて降伏した。死刑を宣告された彼は、現在もなおサン・クエンティン刑務所に収監されている。
(2012年12月15日/岸田裁月)
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