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レジナルド・ヒンクス
Reginald Hinks (イギリス)



レジナルド・ヒンクス

 電気掃除機の訪問販売員、レジナルド・ヒンクス(33)が離婚歴のある女性、コンスタンス・アン・ジェフリーズと結婚したのは1933年半ばのことである。そして、サマセット州バースにある彼女の家に移り住んだのだが、連れ子のベリル(6)がいるのはいいとして、老いぼれ親父のジェイムス・プーレン(85)がいることには我慢ならなかった。なにしろかなりボケていて、介護士がいなければ何も出来ないのだ。しかし、金は貯め込んでいるようだ。早く死なないかなあ。死ねばいいのになあ。

 間もなくヒンクスは介護士をクビにして、自らが義父の介護を始めた。もちろん、その死を早めるためである。食事をあまり与えずに、散歩に連れ出し、交通量の多い通りに放置したりした。酷い話である。ところが、老いぼれ親父は意外にも丈夫でなかなか死なない。そこで、思い切って殺すことにした。もちろん、自殺を偽装することは忘れない。

 1933年12月1日、通報を受けた警察がヒンクスの家に急行すると、老人が台所で倒れていた。通報者であるヒンクスに何があったのかと訊ねると、
「買い物から帰って来ると、義父がオーブンの中に頭を突っ込んでガス自殺していました」
 しかし、遺体を調べると、後頭部に打撲傷がある。
「これはいったい何だ?」
「これはその、オーブンから引っ張り出す際に出来た傷だと思います」
「ガーンってやっちゃったのか?」
「ガーンってやっちゃいました」
 ところが、検視官によれば、傷は生前のものだという。つまり、自殺は偽装であることが、これにより証明されたのである。

 かくして、義父殺し容疑で有罪になったレジナルド・ヒンクスは、死刑を宣告されて、1934年5月3日に処刑された。短い結婚生活だった。

(2012年10月20日/岸田裁月) 


参考資料

『世界犯罪クロニクル』マーティン・ファイドー著(ワールドフォトプレス)
http://www.murder-uk.com/
http://murderpedia.org/male.H/h/hinks-reginald-ivor.htm
http://eotd.wordpress.com/2008/05/03/3-may-1934-reginald-hinks/


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