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ホセ・ルイス・カルヴァ
Jose Luis Calva Zepeda (メキシコ)



ホセ・ルイス・カルヴァ

 1969年6月20日、メキシコ・シティーで生まれたホセ・ルイス・カルヴァは、とにかく自惚れが強い男だった。自ら詩人と名乗り、街頭で自作の詩集を売り歩いていた彼は、他にも小説家、脚本家、記者、俳優、TV司会者などと名乗り、頻繁に女性を口説いていたという。知人曰く、
「とにかく、俺が、俺が、俺が、というタイプの男でしたね」
 しかし、その実態は「自称」である。商業出版されたものは一つもないし、テレビや映画に出たこともない。但し、ホラー映画の脚本を売り込んでいたことは事実のようだ。

 2007年10月6日、アレハンドラ・ガレアナ(30)の失踪届が両親により警察に提出された。彼女は2児のシングルマザーで、薬局に店員として勤務していた。そして、彼女の新しい恋人が自称詩人のカルヴァだった。

 2日後の10月8日、カルヴァの自宅を捜索した捜査官たちは仰天した。クローゼットの中に頭や手足を切断され、肉を抉り取られた女性の胴体が収容されていたのだ。冷蔵庫の中にも人肉と思しきものがある。また、フライパンの上にはレモン汁を搾られた人肉のステーキが乗っていた。
 この野郎、彼女を喰いやがった!
 カルヴァは逃亡を企ててベランダから飛び降りたが、足を折って病院に収容された。

 彼の部屋には映画『羊たちの沈黙』で食人鬼ハンニバル・レクター博士を演じたアンソニー・ホプキンスの写真が飾られていた。
 また、彼は『食人の本能、又は12日(Instintos Canlbales o 12 dias)」という小説を執筆中だった。人間を食べることに強迫観念を抱いているように思われた。

 彼はこの他にもベロニカ・マルティネス・カサルビアス(31)の殺害を疑われていた。2004年にバラバラになって発見された彼女は、やはりシングルマザーで、薬局の店員だった。

 法廷において、彼は殺害自体は認めたが、食べたことは否定した。遺体を解体したのは、野良犬の餌にして処理するためだと主張したのだ。しかし、そうであるならば、何で調理してレモン汁を搾ったのか? 己れが喰うためではなかったのか?

 かくして、2件の殺人容疑で有罪になったカルヴァには84年の刑が云い渡された。彼は他にも6件の殺人への関与が疑われている。

 2007年12月11日、カルヴァは独房でベルトで首を吊って自殺した。遺書はなかった。残念なことである。自伝を書いていれば、作家デビューが出来たのかも知れないのに。

(2012年11月30日/岸田裁月) 


参考資料

http://en.wikipedia.org/wiki/Jose´_Luis_Calva
http://es.wikipedia.org/wiki/Jose´_Luis_Calva_Zepeda
http://murderpedia.org/male.C/c/calva-zepeda.htm
http://usatoday30.usatoday.com/news/world/2007-10-26-mexico-cannibalism_N.htm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/7139647.stm


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