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アラン・ショウアリー
Alan Showery (アメリカ)



事件を報じる当時の新聞


アラン・ショウアリー

 今回はオカルトじみた小品を一席。

 1977年2月21日、シカゴ近郊エヴァンストンの自宅アパートで、フィリピン人の看護婦、テレジータ・バーサ(48)の遺体が発見された。彼女はナイフで滅多刺しにされた後、シーツに包まれ、火を放たれていた。そのために消防が呼ばれて、遺体が発見された次第である。
 押し入った形跡がないことから、犯人は被害者の顔見知りであることが推測された。動機はおそらく物盗りである。しかし、手掛かりが何一つない。捜査は難航した。

 事件から5ケ月が過ぎた頃、テレジータの同僚で呼吸療法士のレミー・チュアが警察に出頭し、驚くべきことを供述した。なんでもテレジータの死後、彼女が夢に頻繁に現れるようになり、遂に彼女の口から犯人の名前が明かされたというのだ。
「私を殺したのは用務員のアラン・ショウアリーよ。テレビを直してやろうと偽って、私から宝石を奪ったの」
 にわかには信じられない話である。しかし、念のためにショウアリーを尋問したところ、テレビを直す約束をしたことだけは渋々ながらも認めた。夢の話はまんざらデタラメではなさそうだ。間もなくショウアリーの恋人が事件の直後に彼から宝石をプレゼントされていたことが判明。それがテレジータのものであることが彼女の親族により確認された。
 かくして、奇想天外の展開の挙げ句にアラン・ショウアリーは逮捕されたのである。

 弁護側は当然に反論する。
「幽霊の証言を信用できますか?」
 陪審員も考え込んでしまい、評決には至らなかった。しかし、仕切り直しの裁判では有罪が評決されて、ショウアリーには14年の刑が下された。

 夢が事件を解決した例は本件だけではない。他にも赤い納屋事件アーネスト・ダイアーの事件がある。しかし、故人である被害者が犯人を名指ししたのは、おそらく本件が初めてだ。その真偽はともかく、極めて稀有な例と云えるだろう。

(2009年4月18日/岸田裁月) 


参考文献

『世界犯罪クロニクル』マーティン・ファイドー著(ワールドフォトプレス)
http://unsolvedmysteries.wikia.com/wiki/Teresita_Basa


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