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モンティ・リセル
Monte Rissell (アメリカ)



モンティ・リセル

 ロバート・K・レスラーは著書『FBI心理分析官』の中で、モンティ・リセルについてこのように述べている。

「私はリセルの事件には最初から強い興味を持っていた。事件が発生したときに私がこのレイプ殺人犯のプロファイルを作成していたら、間違った推測をしていたに違いないからだ。犯行の数とその凶暴さから、犯人は二十代から三十代の初めだと思った。リセルがまだつかまっていないときに当地の警察にそう伝えていたら、警察は見当違いの容疑者を追っていたところだ」

 それまでの常識からして、十代の少年が十数人もの女性を強姦し、うちの5人を殺害しているとは考えられなかった。また、被害者は白人、黒人、未婚、既婚と様々で一貫性がなかった。まさにプロファイラー泣かせの事例だったのである。

 リセルは多くの連続殺人者と同様に崩壊家庭で育った。7歳の時に両親が離婚し、母親に引き取られた彼は、ヴァージニア州からカリフォルニア州へと移住した。間もなく母親が再婚し、継父からはネグレクトされるか、殴られるかの毎日だった。
 12歳の時に母親がまたもや離婚した。故郷のヴァージニア州に舞い戻ったリセルは、ちょいちょい盗みを働き始めた。そして、14歳の時に住居侵入、窃盗及び強姦の容疑で逮捕され、精神医療施設に収容された。
 驚くべきことに、リセルはこの施設の中でも強姦事件を起している。駐車場やプールで犯行に及んだというのだが、いやはや、随分と監視の緩い施設である。

 やがて「完治した」と判断されたリセルは、18歳の時に釈放された。ところが、3週間後には早くも逮捕されてしまう。容疑は強盗だが、その実質は強姦未遂だった。
 なんだよ。ちっとも治ってないじゃねえかよ。
 裁判を待つまでの間、リセルは定期的に精神科医に通うことを条件に保釈された。彼が一連の殺人に及んだのはこの直後だった。自宅アパート付近で女性を襲い、強姦した後にナイフで滅多刺しにしたのだ。その間もリセルは精神科医に通い続けたが、医師は彼の本性を見抜けなかった。

 リセルが逮捕されたのは全くの偶然だった。たまたま彼の車を捜索した折りに、犯行に用いられた凶器や縄が発見されたのだ。
 かくして5件の殺人で有罪となり、終身刑を云い渡された前代未聞の殺人鬼は、レアケースの見本として格好の研究対象になっている。

(2010年12月26日/岸田裁月) 


参考資料

『FBI心理分析官』ロバート・K・レスラー&トムシャットマン著(早川書房)
http://www.crimelife.com/killers/rissell.html
http://www.johndouglasmindhunter.com/newsletter/020709.php


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