移転しました。https://www.madisons.jp/murder/text3/bateson.html

 

ポール・ベイトソン
Paul Bateson (アメリカ)



『エクソシスト』に出演するベイトソン(右)

 1977年のニューヨークでは、ハドソン川下流の岸辺に黒いポリ袋に入れられた男性のバラバラ死体が漂着する事件が相次いでいた。着衣の多くがグリニッジ・ヴィレッジで販売されたものであったこと、ゲイ特有の刺青が彫り込まれてこと等から、被害者はいずれもゲイであることが推測された。
バッグ・マーダース(The Bag Murders)」と呼ばれた一連の事件の被害者は最終的に6人に及んだ。しかし、全ての被害者の身元は遂に判らなかった。

 そんな中で1977年9月14日、 ゲイの映画評論家、アディソン・ヴェリルの惨殺死体がマンハッタンの彼のアパートで発見された。間もなく容疑者として逮捕されたのが38歳のX線技師、ポール・ベイトソンだった。ベイトソンはグリニッジ・ヴィレッジのゲイ・バーでヴェリルと知り合い、彼のアパートで性行為に及んだ後、フライパンでその頭を殴り、胸をナイフで滅多刺しにしたのである。

 やがてベイトソンは拘置所の中で、快楽のために何人ものゲイの男を殺害したこと、そして、その遺体をバラバラにしてハドソン川に遺棄したことを囚人仲間に自慢し始めた。しかし、ニューヨーク市警はその裏づけを取ることが出来なかった。単なるホラ話であることを否定出来なかったのだ。故にベイトソンはアディソン・ヴェリル殺しの容疑でのみで裁かれて、20年の刑を宣告された。「バッグ・マーダース」の事件は未解決のままである。

 なお、ウィリアム・フリードキン監督、アル・パチーノ主演の『クルージング』(1979)は「バッグ・マーダース」の事件をモチーフにしている。若き刑事がゲイに扮して、ゲイの連続殺人事件を潜入捜査する物語である。ハード・ゲイの世界を露骨に描いており、公開時にはかなり話題になった。

 また、ポール・ベイトソンは同じフリードキン監督の『エクソシスト』(1973)にX線技師の役で出演している。この映画でリアリズムを重視したフリードキンは素人を多く起用していたのだが、その中に後の殺人者がいたというわけだ。『クルージング』の製作に際して、フリードキンは塀の中のベイトソンに面会し、取材したと伝えられている。

(2011年4月24日/岸田裁月) 


参考資料

http://www.francesfarmersrevenge.com/stuff/serialkillers/bateson.htm
http://www.crimezzz.net/serialkillers/B/BATESON_paul.php
http://www.adherents.com/misc/hsk.html
http://en.wikipedia.org/wiki/Cruising_(film)
http://www.imdb.com/title/tt0080569/trivia
http://www.papermag.com/2007/09/cruising_1.php


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