1885年6月26日、アーカンソー州フォートスミスにおいて2人のチェロキー族の男、ジェイムス・アーセンとウィリアム・パーチミールが絞首刑に処された。彼らの容疑は13年前の強盗殺人だった。犯行時、パーチミールは既に成人していたが、アーセンはまだ10歳だったという。これが事実ならばアーセンは「アメリカ史上最年少の死刑囚」ということになる。
1872年11月25日、インディアン準州(現オクラホマ州)フォート・ギブソン近郊で、スウェーデン移民のヘンリー・フェイゲルが殺害された。銃で6発も撃たれた上、岩で頭蓋骨を粉砕されていたのだ。身ぐるみが剥がれていたことから強盗の犯行に違いない。犯人が奪ったのは、衣服を除けば、たったの25セントだった。
間もなく容疑者として逮捕されたのが、チェロキー族のウィリアム・パーチミールとジェイムス・アーセンだった。しかし、2人は裁判中に脱走し、ようやく再逮捕されたのが13年後だったというわけである。
アーセンは既に23歳になっていたので「死刑は当然」との見方もあったのだろうが、犯行時に僅か10歳だったことを考えれば、この判決には問題がある。また、アーセンが白人だったら死刑を宣告されただろうか? おそらく答えはノーだろう。彼はネイティブ・アメリカンだったが故に「アメリカ史上最年少の死刑囚」になったのだ。
(2011年12月8日/岸田裁月) |