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フレデリック・フィールド
Frederick Field (イギリス)


 

 本件にサブタイトルをつけるならば「その手は桑名の焼き蛤の巻」が最も適切だろう。同じ手は二度は通じないという教訓のようなおはなしである。

 1931年10月初め、西ロンドンにある内装工事中の店鋪でノラ・アップチャーチ(20)という売春婦の絞殺死体が発見された。発見者は内装工事にやって来た作業員たちだ。その中にフレデリック・フィールドもいたが、確たる証拠がなく、捜査は進展しないままに月日が流れた。
 1年半後、フィールドが某新聞社を訪れて、
「あの事件の犯人は俺だ。弁護費用を出してくれれば独占取材させてやるぜ」
 と持ちかけた。編集長は二つ返事で承諾し、いくらで折り合ったのかは不明だが、とにかく同紙に懺悔録が掲載されて、フィールドは逮捕された。
 ところが、彼の供述は事実とまるで異なるものだった。こいつ、とんだ喰わせもんだぜ。新聞社から金を騙し取る方便だったに違えねえ。裁判官はこんな心証を得た。陪審員に対して「こいつはインチキ」と説示したために、フィールドは無罪放免となった。

 5年後の1936年、フィールドは入隊していた空軍を脱走した罪で逮捕された。この時、彼はまたしても殺人を自供した。同年4月にロンドンのアパートでベアトリス・サットン(48)を絞殺した件だ。しかし、このたびは警察は入念に捜査し、確かな証拠を掴んでいた。フィールドはまたしても事実とはことなる自供をし、インチキ呼ばわりされて逃げ延びようしていたわけだが、敢えなく撃沈。死刑に処された。
 バーカ。


参考文献

『殺人紳士録』J・H・H・ゴート&ロビン・オーデル著(中央アート出版社)
『世界犯罪クロニクル』マーティン・ファイドー著(ワールドフォトプレス)


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