アーチボルド・ホール |
アーチボルド・ホール |
ロイ・フォンテーンの偽名でも知られるアーチボルド・ホールは常習的な詐欺師だった。意図して殺したわけではない。殺す羽目になったのだ。その一連の犯行はドジ以外の何ものでもなく、そのままコメディに出来るかのような間抜け味に充ちている。 |
デヴィッド・ライト |
そんな彼が初めて人を殺めたのは1977年のことである。久しぶりにシャバに出たホールは、スコットランドはダムフリース在住の未亡人、ペギー・ハドソンに執事として雇われることに成功した。名前はもちろん、お気に入りの「ロイ・フォンテーン」である。ところが、困ったことが生じた。ほどなくして庭師として雇われたデヴィッド・ライトがムショ仲間だったのだ。 |
マイケル・キトー |
抜け目のないホールはすぐにロンドンで新たな執事の職を得る。今度の主人は元下院議員のウォルター・トラバース・スコット=エリオットである。大変な資産家だ。ホールは「しめた!」と指パッチンして喜んだ。十代の頃に逃がした獲物の穴埋めが遂に見つかったのだ。 |
メアリー・コグル |
翌朝、2人はご同業のメアリー・コグルに助けを求めた。彼女は夫人の毛皮や宝石が自分のものになるとの話に眼を輝かせた。 |
ドナルド・ホール |
クリスマスから新年にかけて、ホールとキトーは故人宅から頂戴した金目のものをせっせと売り捌いた。ちょうどその頃、ホールの弟のドナルドが刑期を終えた。17歳も年の離れた弟も兄貴の後を追って詐欺師になっていたのだ。ホールは未熟だが生意気な弟をよく思ってはいなかったが、血の繋がった兄弟には違いない。3人はニュートン・アーロッシュの貸し別荘で暮らし始めた。 |
参考文献 |
『現代殺人百科』コリン・ウィルソン著(青土社) |