ジョン・ジョージ・ヘイグ |
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ジョン・ジョージ・ヘイグは完全犯罪を企んでいた。彼は死体が見つからなければ殺人の罪には問われないと信じていたのだ。だから、死体をこの世から消し去った。しかし、彼がよく口にしていた「Corpus Delicti」というラテン語は、文字通りに「死体」の意味ではない。「罪体」の意味である。つまり犯罪を構成する事実そのものを指すのであり、それが客観的に証明されれば必ずしも死体は必要ないのである。また、死体はなかなかこの世から消し去ることは出来ない。必ず何らかの痕跡を残してしまう。 |
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夫人を案内する予定だったというサセックス州クローリーの「工場=ちっぽけな倉庫」を捜索した警察は、ガスマスク、ゴム手袋、ひどく汚れたゴムの前掛け、ゴム長靴、手押しポンプ、そして、鉄枠と藁のクッションで補強された大きなガラス瓶を発見した。 |
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上の供述の中に解決の糸口があった。彼は溶解物を下水に流すことなく、庭に撒いていたのである。捜査官はドラム缶を転がす際に地面についた跡を辿ってその場所を特定し、一帯の土壌を綿密に調べ上げた。結果、決め手となるいくつもの証拠を発見した。 |
参考文献 |
『殺人紳士録』J・H・H・ゴート&ロビン・オーデル著(中央アート出版社) |