フリッツ・ハールマン |
|
1924年5月17日、ライネ川で遊ぶ子供たちは面白い物を発掘した。人間の頭蓋骨である。子供たちはこの発掘物に喜び、競い合って探し始めた。昨日はハンスが1つ見つけた。今日はマレーネが2つ見つけた。警察も最初は医学生のイタズラだと思ったらしい。しかし、ロベルトが袋に人骨がいっぱいの「大漁」を掘り当てるに及んで、これはただごとではないと思い腰を上げた。 |
犯行現場の屋根裏部屋 ハンス・グランスと犠牲者の骨 |
監獄仲間の手引きで肉の密売を始めたハールマンは、天性の商才があったのか、すぐに自分の屋台を持つようになった。否。商才というよりもズル賢さと云うべきか。彼は警察の頼もしい「情報屋」となり「お目こぼし」で暮らしていたのだ。人々は彼を尊敬を込めて「ハールマン刑事」と呼んだ。彼によくすればそれなりの見返りがあったからだ。警察も彼の提供する情報に重宝した。そんなわけで、彼は闇市の顔役となった。真夜中になるとハノーバー駅で家出少年を補導する彼の姿がよく見られた…。 |
盗み撮りされた法廷でのハールマン |
1924年12月4日から始まったハールマンの裁判は14日興行の茶番劇だった。審理の手順はハールマンが仕切り、彼は法廷で煙草を吸うことも許された。何故か? 警察としては、彼が警察の情報屋で、「刑事」を名乗ることさえも許されていたことをバラされたくなかったからである。この御機嫌取りは効を奏した。ハールマンはすべてを自供し、しかし、余計なこと、つまり自分の警察との関係については押し黙った。 |
参考文献 |
『連続殺人紳士録』ブライアン・レーン&ウィルフレッド・グレッグ著(中央アート出版社) |