殺人の方法はいろいろとあるが「地雷で吹き飛ばす」という豪快な方法は前代未聞である。事件そのものは凡庸だが、その豪快さゆえにエリック・ブラウンは後世に名前を残してしまった。
47歳のアーチボルト・ブラウンは、1942年に自動車事故を起こし、車椅子の世話になることになった。
1943年7月23日、ブラウンは付き添い看護婦に散歩させてもらっていた。やがて彼は煙草を吸いたいと云い出した。看護婦は車椅子を止め、前に回り込もうとした。途端に車椅子が爆発、看護婦は地面に叩きつけられた。奇跡的に彼女は無傷だったが、ブラウンはバラバラに吹き飛んだ。
捜査の結果、爆発物は「ホーキンス75」という対戦車用の地雷であることが判明した。
被害者のブラウンは、もともと気難しい男で、車椅子の世話になってからその傾向は顕著となった。妻子に訳もなく当り散らし、特にまだ未成年の息子エリックに対する仕打ちは酷かった。エリックを尋問すると、車椅子の下に地雷を隠したことを認めた。しかし、動機についてはあくまで「母の幸せを願う一心だった」と云い張った。
エリックは有罪を宣告されたが、精神異常と判定された。
以上は英国で起きた事件であるが、つい先日、我が国でも似たような事件が発生した。両親を殺害して爆発させたのだ。しかし、エリックの事件はかなりマニアックなので、犯人が知っていた可能性は低い。
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