<INTRODUCTION>
やがて湖底に沈みゆこうとしている岐阜県・徳山村にカメラをすえて、消えてゆく故郷とそこに生きる人間の営みを、最高の演技人の共演で描いた文芸巨編。神山征二郎監督の代表作であり、大澤豊が代表を務めた「こぶしプロダクション」の旗揚げ作品となった。
徳山村の教諭平方浩介の原作を、映像の詩人神山征二郎が脚色・監督。準備から完成まで実に八〇〇日、執念が捉えた人間と自然の四季である。
<STORY>
岐阜県徳山村。
この山峡の小さな村ではダム工事が行われていた。村の老人・伝三は妻を亡くして以来、認知症の症状が現れ始めていた。
離村を前に心せわしい息子夫婦は伝三に構っている暇がない。
孤独をつのらせる伝三を悲しい思いで見ていたのが隣家の少年・千太郎だった。
「じいは昔あまご釣りの名人じゃったろう、おいにもおしえてくりょう」
千太郎の誘いで渓流に下りた日から、伝三は回復のきざしを見せるが…。
(カラー画像はいずれも「ふるさと」パンフレットより)