展覧会の紹介
第30回北海道書道連盟展 | 2001年11月22日(木)〜27日(火) 丸井今井札幌本店(中央区南1西2、一条館8階) 12月14日(金)〜20日(木) 北網圏北見文化センター(北見市公園町1) |
筆者が書の批評をするなんておこがましいのですが、思ったことを短く書いていきます。
▼安喰のり子
分からない書の中でも、かなは特に分からないのだけど(篆刻もわからないけど)、安喰さんの作品はどうしてだか好きだ。うまく理由はいえないが、たぶん生来の造型感覚が作者に備わっているのではないかと思う。紙のどこに文字を配置したらいちばんきれいか、作者は会得しているのではないか。今回の立子の句は、書き出しがうまい。
▼阿部和加子
かな。加藤楸邨の句。紙と墨色の調和。
▼阿部岳城
朧月夜。ほんらい直線が多いはずの漢字で、曲線がいきいきと躍っている。
▼石川錦京
「美しきもの皆もろしすずらんのとくしをるるが美しきかな」という、有島武郎の歌。たぶんろうけつ染めによる作品。石川さんの作品は飾り気が無い。
▼石田壱城
「美極」。淡墨。力強さと優美さの同居。
▼宇野渓雪
漢詩、五言を2行。右はらいに独特の味がある。
▼太田俊勝
「廻」。にじみの美しさと、安定感。
▼小川東洲
「亀龍」。隷書だろうか、漢字が表意文字であることがいまさらながらわかる。
▼小黒秋峯
「吐芳揚烈」。大陸的な鷹揚さ。
▼北川稲谷
「石投水」。余白を生かした簡潔さ。
▼小原道城
「超妙」。小品ながら、やわらかく落ち着きのある作品。
▼斎藤嵐翠
「遊戯三昧」。肩の力が抜けた軽さ。
▼斎藤露石
「蜀素帖」の臨書。かすれが独特。
▼塩谷哲朗
方言詩という珍しい題材による近代詩文。あたたかみが漂う。
▼塩谷粧香
「清風」。波打つような曲線が美しい。
▼渋谷北象
「無」。剛球一直線の墨象。
▼島田紅萩
「秋浦千重嶺」。淡墨。紙を左に右に、華麗なる動き。
▼島田青丘
「外」。淡墨による墨象。フォルムよりも飛沫によって構成されているかのような一枚。
▼田上小華
短歌。かならしい流麗さ。
▼竹内津代
「この道や行く人なしに秋の暮」は芭蕉の句。バランス感覚がある。
▼竹下青蘭
唯一の前衛書作品。寸分のゆるぎのない構成。
▼照井心磊
「月華」。抜きん出たシャープさ。
▼中島荘牛
「水如碧玉山如黛」。硬めの線になぜか惹かれるものがある。
▼中野北溟
「午」。簡素なつくりに、枯淡の境地が感じられる。といって、緊密な構成はさすが。
▼中野層雲
解説の紙片には「spread-4」とある。もはや漢字とは呼べないような、金文を思わせる古代の世界だ。
▼水上祥邦
「川」。字の上が空いている。空白の美。
▼三橋啓舟
「聲喊」。くるくると舞うように躍る線。
▼矢橋英壽
「花月夜」。ひょろひょろとした線のおもしろさとかすれ。
▼山田太虚
「樹海」。それほど変わった書ではない。にもかかわらず、堂々としたスケール感。とても二尺八尺の作品とは思えぬほどの大きさをたたえているようだ。
このほか、安藤小芳、小比賀秋嶺、久保観堂、佐藤満、島田無響、辻井京雲、滑志田方〓(くさかんむりに「必」)、羽毛蒼洲、蓮沼久仁子、長谷川煥珂、馬場怜、樋口雅山房、東志青邨、平井翠雪、藤根凱風、藤原大眼、本間孤峯、松本暎子、松永律子、三上禮子、山田起雲、渡辺美明といった方々も今回出品しています。