私の5点 2000年
今年も押し迫って参りました。
全国紙のマネっぽいですが、何人かの方に「今年の私の5点」を選んでいただきました。
まずは、札幌の「芸術の森美術館」の学芸員、吉崎元章さんです。
吉崎さん、お忙しいところ、どうもありがとうございました。
■前衛と反骨のダイナミズム
〜大正アヴァンギャルドからプロレタリア美術へ
会場:市立小樽美術館
会期:2000年6月2日〜7月23日
思想的なことが絡むだけにこれまで美術館ではあまり扱われなかった部分ですが、学芸員の努力のもと「蟹工船」の小林多喜二の故郷小樽で開かれた意義は大きいと思います。骨のある内容の濃い展覧会でした。
■美登位創作の家アートプロジェクト2000 記憶の繭
アーティスト:佐々木秀明
会場:美登位創作の家(旧美登位小学校体育館)
会期:2000年11月18日〜12月3日
見る人の遠い記憶を呼び覚ます「雫を聴く」シリーズを、誰でもが懐かしさを抱く廃校となった小学校の体育館に展開することにより、さらに深く心の奥に響いてくる作品でした。
■中根邸の画家たち〜戦中・戦後の札幌洋画事情
会場:芸術の森美術館
会期:2000年10月22日〜12月17日
手前味噌ですが、ある種話題になり、北海道美術に刺激を与えたと思いますので。
そして、美術活動におけるパトロンの重要性を再認識しました。
■藤川叢三展
会場:中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館
会期:2000年11月3日〜12月17日
この彫刻家の作品を初めてしっかりと見たという人も多いはず。立派な図録が印象的でした。
■十勝の新時代III 伽井丹彌展
会場:北海道立帯広美術館
会期:2000年8月18日〜11月29日
人形のもつ妖艶な雰囲気が、展示室全体に漂い、独特な空間をつくっていました。
現代における彫刻と人形のちがいについて改めて考えさせられました。2001年4月から芸術の森美術館でも人形作家のカリスマ的存在である四谷シモンの展覧会をやります。
あと、旭川美術館の「ふわふわワンダーランド」が好きでしたが、昨年11月スタート
だったので、割愛しました。「20世紀彫刻物語」「岡本太郎展」「北の創造者た
ち2001」も自信作で加えたかったのですが、芸術の森美術館ばかりになってしまうの
でいれていません。
主宰者として私(梁井)も選んでおかなくてはまずいですよね。
今年はあんまり見てないから恥ずかしいですけど(しかも吉崎さんのように会期が分からない)
★難波田龍起展
会場:道立旭川美術館
深い精神性に打たれた。ロスコやニューマンを見ても私はこんなに感動はしないのに、なぜシンプルな抽象画がかくも気高い精神に満ちているのか。
★中根邸の画家たち〜戦中・戦後の札幌洋画事情
会場:芸術の森美術館
中根さんのことは以前栃内忠男さんからうかがっていて気になってはいました。が、こんな労作の展覧会となって結実するとは! いや、ほんと、労作です
★前衛と反骨のダイナミズム
〜大正アヴァンギャルドからプロレタリア美術へ
会場:市立小樽美術館
これも労作。陽のあたらないプロレタリア美術に公立美術館がここまでスポットを当てたのは素晴らしい。
★ロバート・フランク写真展
★大西みつぐ・瀬戸正人・金村修写真展
会場:さっぽろし写真ライブラリー
どちらも北海道で見られたのが夢みたいな、充実した写真展でした。
あと、芸術の森美術館の「岡本太郎展」。万博が懐かしかった。まだ私は5、6歳の幼稚園児でしたが、今回万博のパノラマを見て、あれはスイス館、あれはソ連館…といちいち思い出せる自分がこわかった。当時は現地に行ってないのに、メディアが大騒ぎしていたせいでしょう。それほど強烈な記憶です。