牧師室より

まだ降誕節なので、強引ではあるがクリスマスの話をさせて頂く。 

わたしが小学生の頃の『こどもさんびか』(教団教育委員会編)には、「うれしいうれしいクリスマス」という讃美歌があった。現在の『こどもさんびか』(教団讃美歌委員会編)には収録されていないが、『幼児さんびか』(キリスト教保育連盟編)には収録されていて、まだ手に入るようだ。この曲は輪唱曲なので、楽しく歌った記憶がある。

 この曲を作詞・作曲したのは、岡本敏明氏(1907-77)。岡本氏は牧師の次男として宮崎県で生を受け、国立音楽大学と玉川大学の教授、NHK合唱団の指揮者を務めるなど活躍された方である。また教団の讃美歌改定委員の奉仕もされていた。

 岡本氏は童謡作家としても知られている。「どじょっこふなっこ」は、東北の民謡の歌詞に、彼が曲をつけたものだ。また「かえるのうたが聞こえてくるよ」で始まる「かえるの合唱」は、スイスの教育者が玉川学園で紹介したドイツ語の曲の歌詞を、岡本氏が訳したものである。

 『新・輪唱のたのしみ』(音楽の友社1996)の中で岡本氏は、輪唱曲は何節も必要なく、1節だけで十分で、曲が長すぎてもだめ。そして「音楽の生活は輪唱から」と語っている。

いつでもどこでも楽しめる輪唱讃美歌が、もっと必要なのかもしれない。                        (中沢譲)