牧師室より

16日(日)に衆院総選挙が行われる。直前まで、政党の合従連衡が続いた。政権交代可能な小選挙区、二大政党と言っていたが、12もの政党が乱立した。

「民主党」は、東日本大震災と福島原発事故の復興に全力を尽くせば、国民の支持を得ただろうに、マニフェストにない消費税増税に血道を上げ、大きな分裂を招いた。「自民党」は、安倍晋三氏を総裁に再選した。理解に苦しむ。彼は強力な改憲論者であり、従軍慰安婦は、資料がないからなかったと言い張る歴史改ざん論者である。創価学会を地盤とする「公明党」は地方選では当選者を出せないほど力はなくなっている。「共産党」の主張には賛同するところもあるが、対話できない独りよがりに見えてしまう。「社民党」は村山氏が自民党に担がれて、首相になって以来、ひたすら落ち目を辿っている。

橋下徹氏の「維新の会」と石原慎太郎氏の「太陽の党」が鳴り物入りで連合した。橋下氏は、新自由主義者で、石原氏は核武装を容認する極右である。両者の連合には、諸々の政策で無理があるのではないか。

滋賀県の嘉田由紀子知事が「卒原発」を旗印に「日本未来の党」を発足させた。これに、小沢一郎氏が率いる「国民の生活が第一」が合流し、亀井静香氏、河村たかし氏、「みどりの風」なども加わるという。「みんなの党」はどことも合流しないことになったらしい。

国民が選ぶ議員たちによって、立法府ができ、行政を託している。選挙は自分たちの生活を決める重大な権利行使である。分かり難い選挙になり、誰も予測できないのではないか。選挙後、政党間の合従連衡が起こるのであろう。数合わせではなく、命と共生と平和を守り実現する理念、哲学を持つ政治を期待する。

ドナルド・キーン氏は、311後、

日本永住を決意して、来日された。本当に日本を愛しておられる。そのキーン氏は「力や強さを主張する政党には賛成できない」と語っていた。平和主義者らしいキーン氏の言葉に同感である。また、五木寛之氏の「下山の思想」を思い出す。日本は、もはや登るのではなく、下山している国ではないか。これは落胆すべきことではない。北欧諸国のように、贅沢はしなくても、穏やかで落ち着いた暮らしができる国造りを目指す時にきている。