◇牧師室より◇

「週刊 金曜日」に永 六輔氏がユーモアに満ちた「無名人語録」を連載している。下記の語録が掲載されていた。「憲法を守ろうっていうデモに参加したのよ。でも聖徳太子に始まって、日本の憲法って、国民が守らなくてもいいと書いてあるらしいね。政府が守れって書いてあるって言われて。守ってほしいわ」

確かに、憲法99条の「憲法尊重擁護義務」に「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と謳っている。

天皇始め、国会議員、裁判官、公務員は憲法遵守の義務を負わせられている。ところが、国会議員の中に憲法に反することを「愛国者」であるかのように公言する人がいる。

学校の式典で「君が代」を起立、斉唱させることはアジア・太平洋戦争時代の天皇制への回帰を意味し、主権在民と民主主義の教育の放棄であり、戦争責任の放棄でもあると反対する教師がいる。最高裁は、校長の起立命令は「思想および良心の自由」を定めた憲法19条に違反しないという判決を出し続けている。異議を唱える裁判官もいるが、儀礼、習俗だから多数に従えと少数者を切り捨てている。靖国神社への合祀撤回を求める訴訟もいつも「却下」している。憲法より行政を追認する判決が多い。憲法は少数者の思想、良心、信仰を守るということではないか。国会や裁判所から、憲法が崩されている現状を本当に憂う。