牧師室より

Tさんが急逝された。723日(日)、いつものように早めに見えて礼拝を守り、いつものように挨拶して帰られた。31日(月)の夜、奥様から29日(土)に脳内出血で倒れ、入院しているというファックスを受け、直ぐに電話で事情を伺った。重篤な状態ではあるが、緊急ではないとの印象であった。私は81日(火)は小井沼宣教師を見舞う予定だったので、翌2日(水)に訪ねますと申し上げた。小井沼宣教師を見舞った帰りに携帯電話で奥様から、亡くなったという知らせを受けた。急いでご自宅に伺うと穏やかな顔で召されていた。病床に行けなかったことを申し訳なく思った。今では早過ぎる72年の生涯であった。亡くなられた後、名刺入れの中に奥様の写真があったという。奥様も知らないことであったが、肌身離さず持ち歩く愛妻家であった。

Tさんは高校三年生の時、洗礼を受けた。しばらく教会から離れていたが、娘さんの結婚を機に私たちの教会に見え始め、1989年に転入会された。以後、熱心な教会生活を送り、役員をされ、壮年会には休まず出席し、バザーでは焼きそば係りをしてくださった。物静かな方であったが、話し始めると学者らしい博学を披露された。

 金属材料技術(新素材の創造)に関わる研究に携わってこられた。Tさんは大病を経験し、その後も幾度か救急車で入院しておられる。私も一度、胃潰瘍で大量出血し、命の危険があると聞き、病院に駆けつけたことがある。

 ご自分の病から「死」を見据えての生活であったと推察する。死を覚える時、永遠への思いは篤くなり、謙遜を学ぶ。静かに礼拝を守る姿勢に、私はそのようなTさんの信仰を見てきた。