◇牧師室より◇
札幌に帰られたS兄からメールがきた。4月29日の「みどりの日」を「昭和の日」に変える祝日法改正案が衆院を通過した。S兄の所属する日本キリスト教団北海教区靖国問題特別委員会は公式に意見表明をしようと準備している。S兄はご自分で書かれた抗議文の文案を送ってきた。これを参考に、各自が工夫して、賛成している自民、公明、民主の3党に抗議を、共産、民社の2党に激励の手紙やメールを送ってほしいとの申し出である。
その文案を紹介したい。「1989年2月に祝日法が改正された、4月29日を『みどりの日』として制定された時には、昭和天皇を顕彰するのではなく、自然を大事にする日であると説明されていた。しかるに今国会で提出された『昭和の日』は、戦前の『明治節』が想起され、特定の時代、しかもその前半はアジア諸国、日本の民衆に多大な被害を与えた侵略戦争に明け暮れた1945年までを含めて、無反省に記念し、国民がこぞって祝う『祝日』として定めようとしている。昭和天皇については、その戦争責任をめぐって厳しい批判があったことはわれわれの記憶に新しいではないか。
また『昭和の日』は、『昭和』という元号を国民に対してことさら意識させようとするものであり、必ずや昭和天皇の戦争責任免責と賛美につながることになる。このような『昭和の日』の意図は、この法案を推進しようとする議員らの言説から明ら かである。天皇を過度に意識させる、祝日法改正は撤回されるよう強く要望する。」
日本の祝日は天皇制に関わるものが多い。また「昭和の日」という祝日に変えようとしている。あれだけ、天皇制の元で苦しんだのに、今なお天皇制を打ち出し、国民の間に定着させようとしている。過去の歴史を歪曲、抹殺しようとする偏狭なナショナリズムは確実に進んでいる。そして、戦争をする国へと変貌している。ナショナリズムによって、経済的な弱体化と人心の荒廃を乗り越え、良い国になれると考えているのであろうか。私には理解できない。「昭和の日」制定はアジアからの孤立をますます深めることになる。