◇牧師室から◇
今、日本国民はイラクへの自衛隊派兵問題に最も関心を持っている。日本の将来を方向づけることだから当然である。
「人道的復興支援」と「国際貢献」が「国益」をもたらすという。美しい言葉で、そうあって欲しいと望む。パウロは「わたしたち強い者は、強くない者の弱さを担うべきであり、自分の満足を求めるべきではありません。おのおの善を行なって隣人を喜ばせ、互いの向上に努めるべきです。」と語っている。人を助け、自分も向上する。「復興支援」と「国際貢献」が「国益」を生むという論理は福音的である。しかし、この美しい言葉には大きな偽善があることを発言している本人も知っていよう。
イラク駐在の二人の外交官と運転手が殺害された。政府は二人の遺志を継いで復興支援のためと公言し、自衛隊の派兵を決めた。苦しむ人を助けようとするほど、政府は優しいのだろうか。年間
3万人以上が自殺し、その内、7千人以上が経済的理由であることが判明している。難民申請を求めているミャンマー人を不法滞在の理由で国外退去させようとしている。彼は周りの人々にも信頼され、幸せな家族を築いている。優しい政府なら、彼らにこそ手を差しのべるべきである。それは難しいことではなく、直ぐにでもできる。ブッシュ政権の国連安保理を無視したイラク先制攻撃を安直に支持したため、米国に媚び怖れて、自衛隊を派兵するとしか思えない。自衛隊の派兵は復興支援にはならず、米国支持のアッピールでしかない。そんなことのため、新たな死者を出し、国益どころか、将来取り返しがつかなくなるのではないか。
私の母は
92歳で、多少の痴呆症状もある。その母がテレビを見ながら、「あんな武器を持って自衛隊が行ったら、また戦争になる」と言う。母の感性、歴史観の方がまともであろう。