◇牧師室より◇

 入門講座でヨハネ黙示録を読んだ。黙示文学はユダヤ独特の宗教表現で分かり難いが、壮大な記述は痛快でもある。ローマ皇帝ドミティアヌス(在位 8196年)の時代、教会は組織的な迫害を受けた。パトモス島にいるヨハネは迫害に苦しむクリスチャンに苦しみに耐え、信仰を全うするように励まし書いている。

 地上ではローマ帝国の横暴によって苦悩と流血が広がっていた。著者ヨハネはローマとは直接に言わず、バビロンと言い換え、ローマ皇帝を奇妙な獣や竜として描いている。実名では書けないので、時代を変え、絵画的に表現しているが、これを読んだクリスチャンは直ぐに何を意味しているか分かったであろう。獣や竜は主イエスを信じ従う者たちに恐怖と死をもたらした。「ローマの平和」と言われた時代、その裏側では、多くの血が流されていた。

 著者ヨハネはまた、天上では玉座におられる神と小羊であるキリストに対し、高らかに賛美する荘厳な礼拝を美しく描き出している。そして、獣や竜などを拝まず、迫害に耐え忍んだクリスチャンはこの天上の礼拝に招かれている。

 地の苦難と天の喜びの鮮やかな対比の中で、天の喜びにつながる信仰を生きよと勧めている。また、神と人とが共に住み、目から涙をぬぐわれ、死も悲しみも嘆きも苦労もない、神の栄光で照らされる新しいエルサレムを預言している。そして、キリストの再臨による終末の日を「主イエスよ、来てください」と篤く待望している。迫害に苦しむクリスチャンにとって大きな励まし、慰めであったことが容易に納得できる。

 先週から、同ような迫害状況の下で書かれた旧約聖書のダニエル書を読み始めた。