牧師室より

10月の第1日曜日は、「世界聖餐日」という行事日になっています。「聖餐」によって、世界中のキリスト教会が、一つになることを願って定められてきた行事日です。きっかけは20世紀に起きた二度にわたる世界大戦です。その時代を経験した人たちは、悲惨な戦争が引き起こされてしまった責任の一端は、キリスト教会にもあると考えました。なぜならば、キリスト教会は分裂の歴史を繰り返してきたからです。宗教改革によるカトリック教会とプロテスタント教会の分裂もそうですが、プロテスタント教会はその後も分裂を繰り返してきました。その現実を受け止めて気づかされたことがあったのです。それは教会が信仰によって一つになることができないでいて、どうして世界が平和のために一つになることができようか、ということです。「世界聖餐日」は、第二次世界大戦前夜である1936年、米国長老教会の人たちによって、キリスト教会が一つになることを願って始められた祈りの日です。

教会は、信仰において、祈りにおいて、そして聖餐において、一つになることができずにいます。しかし、「世界聖餐日」を守り始めたキリスト者たちには、一つの希望がありました。たとえまだ、すべてのキリスト者が共に一つの聖餐にあずかることができていないとしても、天においてはすでに神の国の祝宴が、ただ一つのものとして行われている。たとえまだ、地上の教会が分裂していて、欠けの多い聖餐を行っていたとしても、必ず神様のみ前で、ただ一つの食卓にあずからせていただくときが与えられる。その希望に立って、日を定めて、世界中の教会で聖餐にあずかろう。一つにされる希望に生きよう。それが「世界聖餐日」を始めたキリスト者たちの祈りでした。

 私たちが所属する日本基督教団でも、聖餐をめぐる対立があります。一つの教団であっても、一致することができずにいる現実は悲しいことです。私たちの教会も、平和を祈る教会の群れに加わり、主にある一致を願いつつ。本日の聖餐に与りたいと思います。            (中沢譲)