◇牧師室より◇

 T兄が召された。子どもの教会の礼拝中、電話連絡を受けた。祝祷を終え、急いで病院に行ったが、召されていた。S姉は涙を流され、祈ってくださいと言われた。兄の誠実な信仰を顧みて、神の命につつんでくださいと祈った。そして、この一年半の闘病生活を思った。

 胃癌であることが判明した時、かなり進行しているとのことだった。胃を全部摘出したが、再発の可能性があると医者から言われた。兄は十分に知っておられたが、実に淡々と闘病生活を続けられた。心の中の葛藤は計り知れないが、平安な姿勢は最後まで変わらなかった。病院で幾度か、死について語り合った。いつも神に委ねると言っておられた。S姉や子供さんの篤い看病が支えだった。そして、教会員の祈りと励ましを感謝しておられた。

 兄は本当に優しく、潔く、正義感の強い人であった。裏表のない清潔な人柄が多くの友だちを得た。葬儀には兄の死を悼む人々で会堂は溢れた。教会でも信頼され、本当に愛された。愛情のこもった言葉で筋道を立てて、ご自分の意見をはっきり表された。会堂建設に関しては、建蔽率を最大に取った建物にしようと主張された。また、階段昇降機の導入に際しても、強力に主張された。今、それらが有効に働いている。前向きで建設的な兄の発言は教会に勇気を与えてくれた。また、求道者によく声をかけてくださった。兄によって教会員になった人は多い。

 6111ヶ月の生涯は短か過ぎる。教会にとって私にとって、大きな悲しみ、痛手である。しかし、神はよしとして召し上げられた。神の永遠の命に与っている祝福を確信する。ご遺族の上に慰めを切に祈る。