今回はいつもに増して長いよ…
【ホテルのラウンジ】
20日は会社の歓送迎会があった。
んが、その日、オレは18時に会社を上がり歓送迎会を欠席。
新宿南口でようすけちゃんと待ち合わせし、サザンテラスのホテルセンチュリーサザンタワーへ向かった。
ホテルのラウンジで打ち合わせを行うためだ。
テレビに出ることになった。
草野球チーム・iFsのサイト経由で監督・ようすけちゃんのメアドにメールが来た。
「NHKの討論番組に出てくれるファイターズファンを1人か2人探している」と。
16日の月曜、寝しなにようすけちゃんの行動記でその話を知った。
テーマはプロ野球の改革についてらしいのだが、もし出るとしたら何を話そう、と眠ることを忘れて考えた。
あれやこれや考えた結果、「ま、出てやろうか」(笑み)的結論に落ち着いた。
翌日ようすけちゃんに「出ようよ」とメール。
夜には20日に打ち合わせを行うことが決定した。
18時前にきっちりホテルのラウンジに着いたものの、待ち合わせの女性ディレクターはまだいない。
ようすけちゃんのケイタイが鳴る。相手はそのディレクターさん。
左を向くと、ケイタイで話す若い女性がこっちに向かってくる… が、ディレクターにしては若すぎるし、手ぶらだった。
しかし、ようすけちゃんは話しながらその女性に近づいていくので、「あの人なのか?」と思ったら、女性はそのまますれ違って去っていった。
相手と同じタイミングで口が動いていたそうで。
フツーに笑いが止まらなかった。コントよ、これ。
当のディレクターさんはまだ建物の外で、5分くらいで着くという。
ふたりとも寒さによる尿意をガマンしたままホテルに入ったため、ひとまずトイレへ。
するとだ、トイレの洗面台の背中の窓は上から下までガラス張り。
んまー夜景が綺麗なことキレイなこと。右のDoCoMoタワーの後ろには六本木ヒルズや東京タワー、左にはサンシャイン60もよく見えた。
画像はJRの線路群の向こうのタカシマヤタイムズスクエア。遠くの風景は
室内が映り込んでうまく撮れなかった。
ほどなくディレクターさんと合流し、ラウンジに入る。
ラウンジは線路と反対側で、新宿副都心(都庁があるから「都心」でいいのか?)の高層ビル街が間近に迫り、こちらもとてつもなくステキな風景だ。
昼は間違いなく富士山が見えるだろう。
飲み物をどうぞ、と言われ、一番安いコーヒーを選ぶ。でも¥700! 支払い金額は¥809だ。
軽いデート風な流れでここに来るのもいいなぁと思ったが、たっかいわ。
番組はBS1の『BSディベート』。月イチで日曜の夜にやっているそうなのだが、オレの住処にはBSアンテナがないので観られない。
なまじ実家にいても、裏の『ガキの使い』を観ているだろうから、どの道オレには接点がなかった番組だ。
各々の言いたいことの取材と、番組や来局時の説明を聞いて打ち合わせは終了。
番組に出るファンを集めるのにいろいろ苦労があったことも聞かせてもらった。
各球団にファンクラブ会員から探せないか頼んでも、個人情報保護のために断られるケースがほとんどだったとか。
iFsのサイトもそんな状況でたまたま検索したらひっかかったんだそうな。
【テレビに関わった話】
NHKにはちょいちょい縁がある。
オレ自身も2003年にNHK BSのミニ番組の制作スタッフからメールをもらった。
Winters's WEBSITEの中にあるユニフォーム関連のことで質問されたのだ。その内容はひみつ。
やはり、番組で扱うことについてネットで検索したらウチがひっかかったらしい。
また、就職活動をマトモにやらずに迎えた専門学校2年の3学期、NHKの中でテロップ製作をする会社に応募した。学校に求人が来ていたのだ。
渋谷のマンションの一室の会社事務所で、面接をしただけであっさり採用決定。
後日、就業内容の説明で事務所を再訪。「半年は月給14万で週休1日でやってもらう」と聞かされる。
表情のないオッサンに実際にNHK内に連れて行かれ、職場の案内もされた。
テレビ局は24時間動くので、週休1日の上に時間が不規則になる。それで14万じゃとてもやってられない。
帰ってから姉に相談すると、似たような仕事をしていた友人がいる、とのこと。
聞いてもらうと、奇しくもその友人さんがいたのはオレが受けたその会社だった。
その会社の現場を仕切るWという男がいて、束縛やイビリがひどくてみんなすぐやめるんだと。
NHK内を案内したオッサンこそ、まさにWだった。冷酷そのものの顔だったなぁ。
当然、採用は辞退した。
テレビに映ったことはあるが、きちんと場を与えられてテレビに出るのは初めてだ。
んが、家族はなんだかんだでそういうとこに出た経験がある。
オレの父は学生時代は芝居をやっていて、ラジオドラマなんかに出ていたそうだ。昭和9年生まれなので、テレビはまだないころかな。
姉は林家ぺー・パー子夫婦とつきあいがあり、かつてテレ朝でやっていた『いいとも』の裏番組・『まっ昼間王』にペー・パーと一緒に出たことがある。
何をしに出たのかは忘れた。
母は知人の紹介からテレ朝の夕方のニュース『スーパーJチャンネル』の生活の知恵的コーナーに出た。
コント山口君と竹田君の竹田君が家にレポーターとしてやってきた。
母の化粧が異常に濃く、照明でテカってたのが印象的。
オレは「映った」ことならある。中2の、ちょうと東京ドームが開場した1988年のことだ。
恥ずかしながら鉄道少年だったオレは、この中学時代によく鉄道写真を撮りに出かけていた。
芸術的なものでなく、ほとんどが駅のホームで撮った単なる記録的なやつなんだけど。
この年、ヨーロッパを走る「オリエント急行」の車両が海を渡り、日本全国を走り回るという一大イベントがあった。
しかも当時奇跡の復活を遂げたSL・D51 498号機がオリエント急行を引っぱることになり、それを撮りにその列車の終点の大宮駅まで出かけた。
平日。授業が終わるとテニス部の練習をサボり、急いで大宮へ。
D51+オリエント急行を撮影できるホームは鉄道バカで溢れかえっていた。とにかく一大事だったのだ。
人が多すぎあんまりマトモな写真は撮れなかったが、その場に居合わせた満足感いっぱいで帰った。
翌日、部活の3年生に「オマエ、きのうSL観に行ってたろう」と言われる。
NHKのニュースで、D51+オリエント急行に浮かれる鉄道バカのひとりとして思いっきり映っていたらしい。これもNHKだな…
意外にサボりをとがめられることなく済んだのだが、恥ずかしさこの上なかった。
ちなみにこのオリエント急行を日本に呼ぼう企画はフジテレビ主催のものだったりする。
【NHK入り】
22日夜、渋谷のNHK放送センターへ出向く。
ようすけちゃんと合流し西口玄関へ入ると、いかにもそれらしき人がわんさか待っている。
他の番組の参加者もいたようだが、我々と一緒の人は太った男子が多いのが特徴だった。オレよりもっと太ってて身長のある人たちね。
ほかにも老若男女いろんな人がいた。
局内はIDカードがないと入れないので、我々「オーディエンス」はIDカード代わりに番組で使う名札を付けさせられる。
同時に出席とりをして、済むと謝礼の番組特製パスネットと百貨店の商品券を渡された。
パスネット
名札は「鈴 木 会社員」だった。年齢とか都道府県とかも書かれるかと思ってたんだけど。下の名前もなし。
全国に何百万人いるんだか。同じ書き方になる人たち。
今日日の名札は大概ピンとクリップの両方がついているタイプで、胸ポケがないとピンで服に穴を開けざるを得なくなる。
オレは名札使用とその付け方まで予測してジャケットを着てきたが、ようすけちゃんは胸ポケなしだった。
オレ、したたかすぎなのか?(笑み)
手続きが済むと控え室を教えられる。控え室と言っても狭いもんだと思ったら、実質荷物置き場。
荷物を置いたところで早くもスタジオ入りを促される。ずいぶんいきなりなのね。
テレビスタジオには初めて入った。
天井には照明がギッシリ、カメラが5台。体が震えるような緊張は起きないが、気が引き締まる。
席はあらかじめ決められていた。
中央に山口アナウンサーと6人の論者がテーブルを囲んで円く座り、バックにファン24人がハの字で並ぶ。
オレは下手(しもて:画面向かって左側)側の下の段・中央寄りの端から2番目、ようすけちゃんはオレの斜め後ろ、上段の中央寄りの端の席だった。
二人並ぶもんだとばっかり思ってたが… それにしても、なんだか目立つ席になっちゃったなぁ。
オレの左にはオレより大きく太めの人がすでに席についていて、よろしくお願いしますとあいさつしてきた。
聞くと、ロッテファンで、マリンのわりと近所の商店会の人。近所ったって、球場至近に商店街はないんだけどね。
商店会全体でロッテを応援しているそうで、本人は内野観戦派。日本シリーズもきちんと球場で観てきたとか。
去年のナマ観戦は東京ドームの対楽天戦2試合だけのオレが、こういう人と並んじゃっていいんだろうか?
と、ちゃっかりFsファン代表でテレビに出る後ろめたさを感じる。
このロッテファンの方、出演オファーはなんと収録の3日前だったそうで、我々と同じくファン仲間のもう一人と一緒の出演。
反対側の席に座っているもう一人の方も太い体型(重量級を揃えた、と言っていた)だが、
マニア度が高い「リアルプロ野球ファン」のビジュアル面だった(笑み)
番組は論者の討論がメインで、合間にその討論についてどう思うかを我々オーディエンスが挙手でコメントする。
朝生なんかと同じスタイルだ。
直前の討論の内容を踏まえて話すのは難しいことで、発言するチャンスは少ないんだろう。
逆に、見た目、しっかりした話を容易してそうなファンも何人かいるし。
席にはフリップ(NHKの人はボードと呼んでいた。クイズ番組でよくみるアレね)とラベルをはがした爽健美茶のミニボトル、
まい泉(まいせん)のカツサンドが置かれていた。「まい泉」はテレビ現場のケータリングの話でよく聞くとんかつ屋。
カツサンドは休憩の間に食べていいというのだが、そんなに長い間(ま)は本番終了までなかった。
本番に入る前に、番組後半に掲示するフリップを極太マッキーで書かされる。
自分が思っている、人気向上のための案を書くのだ。
よくクイズ番組の芸能人のフリップを見て「もっとキレイに答え書けよ」って思うもんだが、書きづらいのがよーくわかった。
オレが書いたのは
●オルタネイトユニフォーム
●メディアの協力(フルネーム呼称・中継の工夫)
だったと思う。大きな字でわかりやすく、と言われたものの、2つの要素を書くために小さめの字になってしまった。
何が言いたいかはここで説明しちゃうか。
●オルタネイトユニフォーム
オルタネイトユニフォームはWinters's WEBSITEのファイターズのコーナーでも書いているもの。
ホーム・ビジターの2パターンのほかに、第三・第四のパターンとして設けられたのが「オルタネイトユニフォーム」。
メジャーリーグではオルタネイトがあるチームが多く、法則を設けて使いわけたり、記念試合に限って着たり、
連敗中の気分転換で変えたりと、いろいろな使い方がある。
昨年はロッテがホーム用に3パターンを用意し、先発投手がどれを着るか決める、という面白い試みを行った。
しかし、黒ズボンパターンが大不評でほとんど出番なく半・幻のユニフォームと化し、実質2パターンだった。
ほか、阪神は交流戦ホーム用に昔のユニフォームを復刻、ベイは交流戦用・夏用をそれぞれホーム・ビジター分作り、
4パターンのオルタネイトユニフォームが生まれた上、帽子も数パターン用意された。帽子の中には選手に不評でお蔵入りになったものもあった。
今年は巨人がメーカー変更によりユニフォームデザインを変更した上、サンデーユニフォーム(ホーム用のみ)を新たに作った。
そのデザインは決していいとは思えなかったが、試みはうれしいかぎり。
オルタネイトユニフォームをオレが奨めるのは、単純に見た目の変化を求めるのが理由。
1シーズンまったく同じユニフォームだと飽きがくるし、選手も変化があったほうがフレッシュな気分でプレーできると思う。
プロ野球はスポーツだけれども、客にとっては見せ物であり娯楽なわけで、華やかさを失ってはいけない。
さらにこんなのはどうか?
ホームユニフォームを5パターンくらい作り、ファンが「きょうはどのパターンか」を予想するのだ。
ケイタイ向けの専用アクセスページを設け、会員登録した人はホームの毎試合、プレイボール1時間前(締切時刻)までに予想を送信する。
選手は試合直前に練習ユニフォームから着替え、プレイボールのタイミングが正解発表となる。
ファンは正解ごとにたまるポイントを重ねていき、シーズンを終えてポイント数の多いファンに次季の試合の始球式の権利を与えたり、
なかなか手に入らないグッズがもらえたり、選手との食事会に行けたり、というサービスが行われる。
参加者全員への抽選プレゼントも当然だし、一定ポイントごとに必ずもらえるグッズを設けたりしてもいい。
こうすることによって、「きょうはどうなるか」というワクワク感も出るし、
ファン同士の「ポイント競争」でその周りの人々も誘いこむこともできるかもしれない。
そしてなにより、球場に来られないファンでも「参加」ができる。
球団からファンのケイタイに情報を流すことができるのも、言うまでもないことだ。
●メディアの協力
プロスポーツ全般的にそうではあるが、テレビ中継では選手の苗字だけを呼ぶことが多い。
プロ野球では球場のスコアボードも苗字のみだ。
スポーツ観戦は、出ている選手のことを知ってくると興味の度合いが増す。
プロ野球の女性ファンには「あの選手カッコイイー」がきっかけで、最終的にその所属チームのファンになった、というパターンの人たちがかなりいる。
メディアが選手を苗字だけでなくフルネームで呼称するだけでも、ファンの親しみやすさが違ってくるような気がするのだ。
ファーストネームって重要。オレの名札もアイデンティティ0だ。
そして、テレビ中継をもっと楽しくする。
巨人戦の視聴率がどんどん低下しているのだが、ひとつは日テレの中継のつまらなさが原因ではないかと思う。
堅い表現に終始し、解説者は掛布氏をはじめ技術論や精神論ばかり。
河村アナは解説者を見下して飼い慣らし、好きにしゃべらせず自分のアナウンス術に酔ってしまっている。
ヘタをすれば、解説者のコメントのあとに「ハイ、その通りです」とまるで立場の逆転した言い回しをすることすらある。
もちろん河村だけがやっているわけではないのだが、地上波では年間半分近くの試合を担当する日テレがこうなのだから困る。
野球をやっている人間ならともかく、その他、技術・戦術に興味のない人々は、
そんな中継を続ける限り、観たとしても得点だけ確認するだけですぐにチャンネルを変えてしまう。
もっと選手の普段の姿(中日・山本昌のラジコンなど…)を紹介したり、
ユニフォームの着こなしのこだわり(Fsなのに黒のアンダーシャツを着なかった入来…)だったり、ベンチ裏で何をしているのかとか、
各選手の人間臭い面を引き出して広めて行く努力をしてほしい。ユニフォームを脱げば普通の若者なのだという親近感を持たせるのだ。
これにより、選手そのものに興味を持った上でチームに興味を持ち、ゆくゆくはリーグを、12球団全体を観るファンが生まれてくるのだ。
要は、興味を持っていない人たちに対応できるいろいろな入り口を設けるべきだということだ。
冒頭の「もし出るとしたら何を話そう、と眠ることを忘れて考えた」の中身の一部がこれだった。
番組は放送時に間にニュースを挟むので、第1部・第2部に分かれる。
今回用意されているテーマは
第1部 論点1「選手年俸を抑えるべきか」 論点2「収入管理 アメリカ分配型か自由競争型か」
第2部 論点3「地元密着Jリーグ型で人気回復できるか」 論点4「戦力均衡をはかるべきか ドラフト FA」
だ。
フリップ掲示は第2部の冒頭、論点3に入るところで行う。
ただ、オレの考えた二つは「地元密着」とされるとジャストフィットではない話。
20日の打ち合わせの時点で「テーマに絡まない話でも大丈夫」と言われたものの、これでは発言チャンスは訪れないんだろうなぁ。
オレの右のベイファンの女性(たぶん年上)は、書くことがなくて困っていた。「どうしよう」という独り言を何度も…
聞くと、左のロッテファンの人同様やっぱり急に出ることになったらしいのだが、この人の場合、なーんも考えないで「来ちゃった」感が満々だった。
なかなか書けずに悩んだ挙げ句「ファンサービス」ってひと言だけ書いていた。
「その内容を問うてるんですけど…」というツッコミが出かかったが、ノドの奥で止めた(笑み)
この人、オレ以上にここにいちゃいけないわ。かなり気楽になった。
ちなみに、フリップにオレのマークである
を描こうかと考えたのだが、場の空気がそれをさせてくれなかった。
っていうか、オレが小心者だったのだ。
フリップは回収された。
誰にしゃべらせるか決めたり、映ったらマズイ内容が書いていないかをスタッフがチェックをするためだろう。
を描いてたらなんか言われたかも。
拍手の練習や本番中の注意などを聞いて、ようやく10分ほどの休憩。
局に入ってから流れが続いてトイレをずっとガマンしていたので、すぐさまトイレに向かったあと、
控え室でようすけちゃんにケイタイカメラ撮影を頼んだ。
アンパンマン、ではない。
思いっきりはっちゃけた顔をしたつもりが、あんまりそうでもなかった。
この写り方、いつもに増して首ねぇなぁ。首すくめてるからだけど。
これを「過去の醜い姿」として振り返る日が来るといいのだが… 特にダイエットはしていない(笑み)
メガネは伊達で、たまーにかける。
この日は黒ジャケ、黒セーター、黒ズボンだったので、なんとなく黒メガネを…。
収録日前日の『ナイナイサイズ』でファッションメガネの話をやっていた影響もある。
矢部が訪れた3軒の店のうち、いつか入ってやろうと思っていた職場の近所・骨通りのメガネ屋が2軒も出てきて驚いた。
最近、伊達メガネをかける男が増えていて、メガネ男フェチの女もまた増えているという。
オレは5年くらい前にこの伊達メガネを買ったので、時代の先取りの先取りをしていたわけだ。ハハ。
【本番】
スタジオに戻る。本番直前にようやく論者登場。
阪神球団取締役・野崎勝義氏、ロッテ球団代表・瀬戸山隆三氏(おととし古田に握手拒否された、あの人)、
ソフトバンク球団取締役・小林至氏(東大出身の元ロッテ投手)、プロ野球選手会事務局長・松原徹氏、帝京大学教授・大坪正則氏、
スポーツジャーナリスト・永谷脩氏の6人。
キャスターは山口勝アナウンサー、アシスタントが川手飛鳥アナウンサーだ。
論者はひとりひとり紹介されながら入ってくる。
論者のテーブルは台の上にあって、両サイドのステップを上がって行くように作ってあるのだが、
永谷氏は台の周りを囲んだ岩のレプリカを踏んで上がろうとした。
あくまでもテレビのセットにすぎず、「岩」はバキッと音をたてて凹み、永谷氏はドッキリに引っかかった人みたいになってしまった。
論者もこういうところはシロウトで面白い。
小林至氏は昨年別の局のプロ野球討論でしゃべっているのを観た。
ロッテ退団後はジャーナリスト的なこともしていたが、渡米して大学に通ったりした後、ダイエー球団のフロントに入った。
東大卒のインテリジェンスのせいなのか、極端な論理や表現が多く、こういう番組では他の論者に攻撃されやすい。
しかし、討論をかき回すには恰好の存在でもある。
落ち着きがないのも特徴で、調子が出てくるとひと言ひと言体を揺らしながら話すクセがある。
フリップを持ちながら話すと、フリップも揺れまくりで見苦しいのだ。
オレはその昨年観た番組での印象から、討論番組での小林至氏はあんまり好きではなかった。
出演依頼が来た時点で、「小林至がいたらイヤだなー」と言ってたらホントにいたので苦笑いした。
そんな小林至氏の席は、オレの正面… つまり、小林至氏の背中にオレが座っているのだ。
悪い印象を持っている人がしゃべる間、オレが見切れているわけで、巡り合わせは面白い。
【見切れる】の意味がわかんない人は調べてみよう。テレビ用語。
肩慣らしとマイク・カメラのテストを兼ねて、「きょうの朝食」というテーマで各論者がしゃべらされる。
渋いダミ声の松原氏は朝は金沢にいたとか、永谷氏は二日酔いで朝はとても食事できなかった… なんて話が出た。
本番前に練習した長拍手で第1部の本番スタート。
奇遇にも、東京から札幌へ移ったFsの収支の変化のVTRが冒頭に流れる。
VTRの間は気を抜いていい時間で、スタート直後にこれがあるのはいいタイミング。
VTRが明けると、山口キャスターがフリップ2枚を説明するのだが、キーワードを隠した紙をはがそうとしたらうまくはがれない。
隣の野崎氏が気を利かせてフリップを抑え、ようやく紙がはがれた。ノリが強かったのだ。
でも、あまりにスムーズじゃないシーンだったなぁ。
ここから討論開始。
小林至氏がしゃべることが多いのは予想どおりだった。
そして、世界のプロスポーツを広く調べていることもまたよくわかった。
画面には映らないが、テーブルの下ではしっかり貧乏ゆすりをしていた(笑み)
テーブルの内側には白いランプがあり、論者の発言時間が長引くと点滅する。
当然、これまた小林至氏のときが一番点滅していた。
選手年俸高騰の討論のあと、オーディエンスの最初のコメント機会が訪れた。
やはり話が難しく、手が上がったのはちょっとだけ。オレももちろん手を挙げられない。
討論のほうは、小林至氏と大坪氏が反する形が多く、朝生のようなやりとりも出て楽しかった。
ただ、政治論のような毛色ではないので、ケンカ越しになることはない。
オレは傍観者のまま第1部終了。ところが、撮り直しが発生。
例の「フリップ紙はがし」が美しくなかったので、山口キャスターの冒頭のコメントを丸々撮り直すことになった。
撮り直しに臨んだ山口キャスター、1枚目のフリップの紙はがしが成功して気が抜けたのか、
「選手年俸が1億円を超えた場合」というセリフを「1兆円」としゃべってしまった。
瀬戸山氏が直後に無言で首を横に振り、山口キャスターもミスに気づいた。
「近い将来、そういう時代が来るかもしれませんが…」と自己フォロー。これが「NG」の瞬間。
NG大賞的な番組じゃないと出会えないシーンに立ち会えて感動(笑み)
2度目の撮り直しがOKとなり休憩に。
ヘタにしゃべって恥をかくのはイヤだけど、このまんま観客で終わるのもアレだなぁ…
とかなんとか考えながらタバコを吸った。
腹が減っていたが、カツサンドを喰うまでの余裕はない。食い物を押し込んで本番中にウンコしたくなったら困るし。
スタジオに戻って第2部開始。
山口キャスターの掛け声とともに、席に戻ってきたフリップを一斉に掲げる。
各自のフリップを山口キャスターが簡単に読み上げていく。
ここで指名されることが唯一の発言チャンスだと思っていたが、指名されず終了。
でもホッとした。当てられてもきれいにまとめて話す自信がなかったのだ。
オーディエンス用の発言時間ランプもあって、こちらは赤い電球。
我々は1分程度が発言時間の目安に設定されていて、1分を超えると点滅する。
この点滅までの間には、きっとまとまらなかっただろうなぁ。
地域密着の点で3度目のオーディエンス発言機会。
例のリアルファン(爆み)の方がコメントしたのだが、話はじめから言葉がまとまらず、
しまいには言葉が出なくなって「すいません」を連発して止まってしまった。
山口キャスターが指名し、話すときはこの山口キャスターに向けて話すスタイルになる。
山口キャスターだけでなく、論者も全員、発言するオーディエンスをガン見(み)する。
あれだけ見られたら、シロウトは緊張するよなぁ。
言うことがあって挙手したリアルファンの方があぁなってしまった気持ちもわかる。
あとは黙って聴いてるだけだ… と思いながら過ごしていると、
最後の論点4「戦力均衡を図るべきか」のところでまたオーディエンスの発言タイムがやってきた。
反対側の席の人が数人話したところで、オレは意を決して手を挙げた。
山口キャスターがこっち側へ向きを変えた。
「えー、まだ話してない方は… じゃぁ、鈴木さん」
! 当てられてしまった!(笑み)
このテーマで話そうなんて全く思っていなかったのだが、ちょっとだけ話したいことが浮かんだので手を挙げたのだ。
「戦力均衡の必要なし。大きな戦力がいなければ、つぎに優れた選手が代わりに育つ」
という話をした。韓国へ渡ったときの新浦壽夫や、昨年の楽天・有銘兼久の例を挙げた。
巨人で力の衰えが見えてきた新浦は、縁のある韓国プロ野球へ身を投じた。
当時の日本と韓国のプロ野球のレベルの差は今以上に大きく、「オレがやるしかない」と悟った新浦は絶対的エースとして活躍し、英雄となった。
のち日本に戻り、大洋で活躍したあと、ダイエー、ヤクルトなどで40代までプレーした。
有銘は近鉄では中継ぎ起用が精一杯のプロ未勝利投手だったが、コマ不足のため先発させてみたら好投。
さらにプロ初勝利を初完封で飾り、後半のローテの軸になった。
そんな話をしていたのだが、オレも「論者ガン見」の魔の手に悩まされた。
話を締めくくるのがうまくいかず、終盤カミカミになってしまった… が、リアルファンのようにはならず。
「あぁ、しゃべったしゃべった。よかったぁー」
と内心喜んでいたら、オレの後ろの女性が指された。
また論者がこっちをガン見している。でも、オレのほうじゃなく、後ろの女性だ。
こういうとき、見切れてるかもしれないオレはどこを見てどうしてたらいいのかわからなくなった。
顔と肩がこわばり、入学・入社面接のときのような妙な緊張に襲われた。
この瞬間が収録でいちばん硬直した場面だった。やだなぁ、ヘンな顔で見切れてたら。
【収録後】
ということで、なんとか1度だけ発言して終了。
2人が2度発言した以外は、1度発言か発言なしかだったので、とりあえずはよかった。
ま、オンエアされるかどうかはわからないんだけどね。
でもキツそうだったのは止まっちゃったリアルファンの人の分だけなので、ほかはみんな流れるんじゃないかと思う。
切っちゃうと話がつながらないし。
なお、ようすけちゃんは自身で書いているとおり、残念ながら発言できずに終わった。
挙手はしてたんだけどね。
野崎氏は退席時にオーディエンスに「ありがとうございました」と挨拶して帰って行った。
すんごく穏やかでいい人。虎色の縞のネクタイをしていたのが印象的。
スタジオを出てタバコを吸っていると、討論中は反発しあっていた大坪氏と小林至氏が挨拶していた。
「こんど酒の席ででも話しましょう」とお互い笑いながら話していた。
こんな場面も想像がつかなくて面白い。
収録が終わったのは22時半すぎ。
18時半の集合だったので、かなり空腹。
でもすぐ局を出なきゃいけない空気だったので、カツサンドを喰うヒマもない。
結局、ようすけちゃんと代々木八幡駅前の中華屋でメシを喰って帰った。
カツサンドがもったいないので、帰宅後食べたのは言うまでもない。
やっぱり長すぎたな。今回のコラム。
なかなかできない経験をさせてもらったので、ついつい書きすぎてしまった。
オレがテレビに出ることは、同僚や友人に教えたんだけど、一人暮らしの奴のほとんどがBSを観られない環境であることがわかった。
このオレ自身も元実家用のBSチューナーつきビデオデッキを持ちながらアンテナを設置していないので、O.A.は観られない。
ただ、NHKからビデオを送っていただけるとのことで、それを待つことにした。
実家に帰れば観られるんだけど、終電なくなっちゃうからムリなのだ。
◇放送予定(NHK BS1)
2006年1月29日(日)(このコラムのアップ当日)22:10-24:00
2006年2月5日(日)13:10-15:00(再放送)
番組サイト:BSディベート
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