9月のある日、仕事がひと段落したのでランチを喰いに出ようとしたら、女子3人と同じタイミングになった。
で、4人でメシへ。
話しているうち、うちの職場にはオレを含めて10月生まれが多いことがわかった。
このときいたうちの一人、Sはオレの10日前、10月5日が誕生日だった。
10月4日、表参道の駅にあった東京メトロの情報冊子「metro min.(メトロミニッツ)」を取った。
眺めていると、「東京メトロオリジナルプラスティックウォッチ」が発売されるという。
オレがHITOFUDEGAKI CLUBに載せているスウォッチ(最近更新してないや)風のビニールベルトで、
そのベルトにはコーポレートカラーのストライプが入っている、おもちゃっぽいけどステキなやつだ。
東京メトロは営団から移行した際に作ったロゴマークを青の濃淡にしたわけだが、
このカラーはオレが生来31年間利用している東西線のラインカラーと被っていて、時計のベルトは東西線そのものに見える。
オレにとって、この時計は「買わないといけない」のだ。
metro min.の情報を読むと、この時計は限定4,000本だが、その価格はたった¥2,000。
この冊子を取った1日前の10月3日発売だという。
東西線の葛西にある地下鉄博物館、定期券売り場、メトロ版キオスク「METRO'S」、同じくコンビニ「METRO'S」で販売。
さらには10月2日に横浜で行われた「YOKOHAMAトレインフェスティバル」というイベントでも売ったらしい。
東京メトロの駅の数は膨大。METRO'Sも改札外に一箇所のところから、ホーム毎にそれぞれ置かれている駅までさまざまだ。
そう考えると、1箇所で扱う数は少ないんだろうなぁ。
発売から1日経ったこの日はいつもどおり早い時間の終業はできず、駅のMETRO'Sは閉まっていた。
5日の朝10時前、妙典駅のMETRO'Sでちょっとドキドキしながら「プラスティックウォッチありますか?」と訪ねる。
何本欲しいか訊かれたので「2本」と答える。
過去に東西線の車両・05系のケイタイストラップが出たときも2つ買って、1つは保管用にした。
今回も同じ目的だ。
ところが、店員のおばちゃんに「あ、もうこれしかないわ」と、左前方にぶら下げてあったプラスティックウォッチを指さされた。
そもそも時計なんぞどこに置いて売るもんなのかもわからないので、店に来るなりあるかどうか訪ねたもんだったが、
実は目の前にあったのだ。そしてそれが妙典キオスクの最後の1本だった。
直後、店の前で雑誌を整理していたオッサン(「おじさん」と書くのがどうも気持ち悪いので、敢えてオッサン)が
「あのね、ナンギョウ(南行徳駅のこと。地元民もそう呼ぶ)もラスト1本って言ってたから、それまだあったら確保してあげるよ」
となんとも親切な言葉。すぐにケイタイを取り出し連絡してくれた。
このオッサンもMETRO'Sの店員で、見た目パンチパーマっぽくっておっかなそうだが、いい人だった。
幸い南行の1本はまだ残っており、取り置きしてくれるというのだが、コアタイムの11時出社をするには途中下車ができない時刻。
その旨説明すると、
「じゃ、こっちに持ってきておくから」
とこれまた親切な対応。こっちが翌日ちょっと早く出て南行で途中下車すべきところなんだけど。
よろしくおねがいします、と頭を下げてホームへ。
しっかし、3日目でもう売り切れとは。妙典でこうなんだから、大きい駅だともっと早くなくなってたんだろうな。
隣の行徳の名も出てこなかったし… と電車の中で考えてたら、この5日がSの誕生日ということを思い出した。
ん〜、この時計あげたら喜ぶかもなぁ。見せびらかしたい分もあるし。
もう1本確保できているので、これをあげることにした。
メールで「プレゼント買ったから会社で渡すけど、ツボ外れたらゴメン」と伝えると、
「鈴木さん'sチョイスはツボなので、期待してます」と返ってきた。
彼女とは同じ仕事をやっているので割と話をする機会が多く、お笑い好きだったりおもちゃやキャラクター好きなところもオレと被る。
時計はスウォッチと同じようなクリアケース入りだが、上の画像のように、
ポリのパッケージの中に黄色い台紙とダッサい「ラベル」が入れてあり、その中にクリアケースが入っている。
中身がスタイリッシュかつキッチュなデザインなのに、この入れ物ときたら。
このダサいラベル… っていうか値段が大書きされたまま女子にあげるのはアレなので、会社の封筒に入れる。
そして「大したもんじゃないから、中見たら『ギャフン』って言え」と渡した。
とりあえず渡して仕事してたら、Sがオレんとこに来て
「あれはギャフンですよー、すんごい可愛いじゃないですかー」
と。
を、それはよかった。予想どおり、ツボだった。
モノあげて喜ばれるのはいいね。ニヤニヤしてしまった(笑み)
「私もプレゼント買いますけど、なんかリクエストあります?」
と訊かれたんだけど、欲しいモノ買ってもらうのもつまんない。
「この時計¥2,000だから、おんなじくらいのモノで」ということにした。
翌日朝、約束どおり妙典のMETRO'Sで隠しておいてもらったもう1本を購入。
これはオレの装着用となり、保管用はナシ。
職場でネタが被らないよう、Sは休日に時計を使うということした。
最近はどの鉄道会社もグッズをよく売っていて、電車型チョロQをはじめ、いろんなモノが出ている。
時計の情報を調べていると、10月8日に「くるトレ君」と「電車型目覚まし時計」が発売されるという。
これは、パスネット協議会(パスネットを利用できる27の鉄道会社・交通局の集まり)がらみの企画で、
うち16社局のそれぞれの車両をモチーフにしたものがその社局の駅や施設で販売される。(ちなみにようすけちゃんとこの小田急はナシ)
「くるトレ君」の紹介文は“自分で方向転換します。障害物もくるっと回避して走り続ける不思議な電車!”というもの。
走り方がチョロQ式なのか電動式なのかわからないが、走らせて遊ぶものだ。
オレが注目したのは目覚まし時計のほう。
こちらはくるトレ君より絞られて6社(京急・相鉄・箱根登山鉄道・新京成・北総・東葉高速鉄道)だけの販売。神奈川系3社と千葉の3社だ。
東葉高速はメトロ東西線の延長部分の鉄道で、相互乗り入れをしていて、東西線の電車は西は三鷹、東は勝田台まで走り回っている。
もともとは東西線が西船橋からそのまま延びる予定だったところを別会社が引き継いで建設したものだ。
開業当初からつい最近まで、東葉高速の電車は食パン顔をした東西線5000系を改装した車両・1000形だけだった。
いまはようやく東西線05系の最新型と一緒の新車・2000系を登場させて、徐々に1000形を廃車することになった。
東葉の目覚まし時計は、この古くさい1000形がモデルになっている。
同じタイミングで出るくるトレ君は新車の2000系なんだけど、目覚ましのほうは構造上、平べったい食パン顔の電車のほうがいいらしい。
5000系のなれの果てで、顔には縁取りパーツをつけ、中途半端に窓の周りを黒く塗った間に合わせ電車が「おもちゃ」になる。
これは見逃せないのだ。
ちなみにオリジナルの東西線5000系は今年度中に全廃の予定で編成数は激減、出会えるチャンスがかなり低くなった。
東西線の次に開業した千代田線の6000系以降、営団地下鉄の車両はすべてアルミ製の電車となった。
東西線より老舗の銀座線・丸ノ内線・日比谷線はすでにアルミ車両への置き換えが済んでいる。
東京メトロ随一の乗客数を誇る東西線は車両数が多く、アルミ製の05系への置き換えは長い年月を要し、
いまや東京メトロの車両でアルミでないのは東西線5000系の数編成だけとなったのだ。
5000系こそ生来乗ってきた車両。これがなくなるのはとってもさみしいことだ。
話はそれたが、10月19日、過去の休日出勤の代休をとったので、1個¥900のこの東葉の電車型目覚まし時計を買いに行くことにした。
東葉版は1,000個のみ。発売から11日経っているし、買うのには東葉線内まで繰り出さなきゃいけない。
朝9時すぎ、サイトで問い合わせ先を調べて、東葉高速鉄道の総務に電話する。
すると、売り切れの駅が多いが、まだ残ってはいるとのこと。
続いてこちらから一番近い北習志野駅に電話して、2個取り置きをしてもらった。ちょっと恥ずかしかったが(笑み)
取り置きで安心したので、前日の疲れをとるためもう一度寝て、15時すぎにようやく家を出た。
東葉を利用するのは数度目。あっち方面に用が起こらないので、東西線に入ってくる車両はしょっちゅう使うけれども、路線自体はあまり縁がない。
駅の構造はよく知らず、電話したときに「目覚ましは売店で?」と訊いたら、駅の事務室で売っている、とのことだった。
ウチから成田空港へ出るには便利な路線で、東西線からの直通電車で終点の東葉勝田台まで行き、そこから京成の空港行に乗り換えるだけだ。
北習志野駅で降りる。駅事務室だっていうから、とりあえず改札出なきゃ、と精算する。
改札を出ようとしたとき、左側の有人改札が目に入った。
…もしや、ここで受け取れるのかも?
と、恐る恐る「電話で目覚まし時計を頼みましたスズキですが」と言うと、すでにビニール袋に2箱入れてある目覚ましがサッと出てきた。
改札内から受け取れたのだ。
これだったら、改札出ないで引き返せば、妙典で定期で出られたのだ。えーと、ホントはダメなのかな?(笑み)
東葉は建設時に用地買収にてこずったため、運賃がべらぼうに高い。
オレの定期の区間の西船橋(ちょくちょく使うので、妙典の2駅先の西船橋まで買っている)から3駅目だが、¥420かかった。
2個で¥1,800の品物を買うのに、往復¥840もかかるんじゃなぁ。
ということで、今来た道をそのまま帰るのがつまらないこともあって、帰りは北習志野を通る新京成で新津田沼へ出て、歩いて数分の津田沼からJRで西船橋へ出ることにした。
新津田沼の駅舎はイトーヨーカドーの2階にあり、捜している本があってヨーカドーの本屋へ寄ったが、見つからず。
船橋には東武と西武があり、ともに大きな書店が入っている。普段なかなか来ない方面だから、ついでなので船橋にも寄ることにした。
総武線の快速なら1駅。
船橋での途中下車で¥420越えになるんだろうが、別にいいのだ。
西武もなく、東武の書店に行く。
池袋には東口に西武、西口に東武があることが有名だが、船橋は北口に東武、南口に西武がある(笑み)
船橋駅の自由通路を抜けると、「We Love Marines」が聞こえてきた。
ロッテのパ・リーグ優勝記念セールの真っ只中で、優勝決定2日後だった。
そういえば、南口の西武も、優勝セールのときはひねもすシゲル松崎の歌声が流れていて、店員はノイローゼにならないかと心配だった。
東武の書店でも捜し物は見つからず。まだ持っていない吉田戦車のマンガを買った。
本屋を出て気づくと、館内には「白いボールのファンタジー」が流れていた。
素晴らしい! こんなところでこの曲に出会えるとは。
買い物に来ているオバハンどもにはまったく縁のない曲が流れている風景、シュールだった。
船橋からまた1駅、¥130で西船橋へ出て、東西線に乗り換えて帰る。
あとで調べたら、北習志野-新津田沼が¥140、津田沼-船橋が¥150だったので、合計¥420。ジャストだった。
距離は遠回りなのだが、同じ運賃で2度の「外出」が可能なのだ。恐るべし、東葉の運賃。
こちらのパッケージはさすがにきちんとしている。箱の横には1000形の特徴的な縁取り顔のイラストが入っている。
実物は4ドアなんだけど、デフォルメされている分ドアは減る。さらに、液晶画面のために、「オモテ側」はドア間1枚窓に。
「ウラ」側は実物どおり、田の字に並んだ窓が表現されている。
こういうのって、前後とも運転台がある「両運転台」スタイルにされがちだが、これは「片運転台」。
運転台の反対側の面は、電池のフタになっていて、まったく実物とはちがう形。
アラームが鳴ると、ドアの窓が白く発光する。
底に赤ボタンと黒ボタンがあって、この2つのボタンだけで月日・時刻・アラームのセット、アラーム・時報のON/OFFなどいろんな設定ができる。
肝心のアラームは、あんまり音が大きくないかな。スヌーズもないから、本気での目覚まし使用は不安。
この電車型目覚ましは画像では大きさがわからないが、折り畳んだケイタイよりも小さいものだ。
左の写真で運転台の脇の角の線、右の写真で時計の左端や床下が赤くなっているのは、ケイタイのカメラのランプが映っているから。
撮るときに赤いランプがつくという、メイワクな機能だ。ケイタイでの盗撮防止対策かな?
じつはチョロQ式になっていて、こうして走る。
運転台側へただ押すだけでもコロコロ進んで行くので、寝起きでアラームを止めようと触ったときに「逃げられる」可能性もあるわけだ。
アラームを止めるには赤ボタン・黒ボタンのどちらかを押すのだが、アラーム音も発光も30秒間だけなので、ほったらかしで十分だ。
さて、Sがオレに誕生日プレゼントをくれるという話だったが、この目覚ましで遊んでる時点でその15日は過ぎている。
15日は土曜。「調子が悪くてじつはまだプレゼントを買いに行けてない」というメールを16日にもらった。
平日は忙しくて、よほど近所でないと、モノを買いに行く余裕はない。
ということで、24日の月曜にプレゼントをもらったのだが、その1つが世にも恐ろしいモノだった…
(次回へ続く)
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