12年、前人未踏、秋風


2001.9.24 Mon.
パ・リーグ公式戦
Fs-BW 28回戦[東京ドーム] 観衆:14,000人
0-3
TN
1
2
3
4
5
6
7
8
9
R
BW
2
0
0
0
1
0
0
0
0
3
F
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0

W加藤10勝7敗 S大久保7勝3敗14S L金村7勝12敗



-STARTING MEMBER-


Fs
 
BW
1
小笠原
葛 城
2
石 本
大 島
3
片 岡
4
田中幸
ビティエロ
5
井 出
アリアス
6
金 子
日 高
7
中 村
藤 井
8
實 松
進 藤
9
奈良原
相 川
P
金 村
加 藤

この時期になってくると、試合日程もパラパラになってくる。
この日も最初から単戦での設定。23日が秋分の日なので、その振替休日の月曜の試合である。
前日の23日は大阪ドームで近鉄戦。これも単戦。その前の試合は19日まで遡る。

この20・21・22日と3日の空きの間に、球団がいろんなことを考えていたようだ。

22日のスポーツ新聞の情報から、こんな話が出た。
 大島監督、勝率4割で来季続投】
 「のこり8試合で5勝しろ、そうすれば勝率は4割台。それなら来季も監督続投」
21日の球団首脳のコメントらしい。当初3年契約だったはずだが、あまりの負けっぷりに状況が変わってしまった。
すでに白井二軍監督を一軍ヘッドコーチにして、古屋現ヘッドは打撃コーチに専念、五十嵐コーチを二軍へ…
という構想も報道されている。
しかし、勝率.400に満たないチームに、残り試合を勝率.625で終えろというのは誠に酷なことである。

そして23日、マジック4で臨んだ近鉄との試合は、パウエルガンの投手戦となった。
しかし、2回の川口のタイムリーツーベース1本で試合は決し、かなりな惜敗。
が、負けは負けであって、のこり7試合で5勝がノルマとなった。
 

それを踏まえたこの日、Fsは今季大きな故障はないものの、負けが先行している金村を立てた。
対するは18年目・36歳のベテラン、加藤伸一
前の登板・17日のロッテ戦で2カ月ぶりの9勝目を挙げ、その勢いでこの試合に2ケタ・10勝を賭ける。
Fsは今年幾度か対戦しているが、打ったり抑えられたり、予測がつかないところだ。
加藤が崩れるのは制球が安定しないときである。

さて、私は出るのが少し遅れてしまい、ドームに入ったのは2回表。
すでに1回に2点獲られてリードを許していた。
よく見ると2人の走者を背負った金村。しかし、葛城をしっかり空振りの三振に斬った。

2回裏は三者凡退。きょうの加藤は制球がいいようだ。
小野同様、シュートのかかる球を駆使して、ゴロの山を築いていく。
負けるときは大概制球難なのは小野も同じである。
ストレートはコンスタントに140km/hを超える。まぁまぁ、幾多の故障に悩まされた36歳とは思えない。

3回表の金村も安定した投球で2三振の三者凡退。
こちらは基本的に球速が遅いのだが、それでもきょうはMAX141km/h。調子は悪くないぞ。

4回裏・ユキオ金子のヒットで二死一・二塁のチャンスだったが、の打球はショートへ。
当たりは強いゴロだけど、野手がいるところへ転がっていく。
 

5回表。今季ベイとのトレードでやってきた進藤が先頭打者。
勝負強さを買われていたが、打率.230台・いつしか8番なんていうかなり地味な打順に落ち着いてしまっていた。
思えば「キャラが同じじゃん」とあちこちからツッコまれていた交換相手の小川博文は、久々のレギュラーを掴んで頑張っている。
進藤も地味になっちゃったなぁ」と言った私の舌が乾かぬうちに、意地を見せられた。
私はネット裏3列目で観ていたので聞こえちゃったかな(笑み)
ま、そんなことはないが、レフト線ギリギリに入るツーベースを放った。
九番・相川、トップの葛城と若手のふたりを抑えたものの、大島にはしっかりセンターにヒットを喰らった。
井出の送球もホームには至らず、追加点。0-3とされた。

6回表・二死一塁で迎えたのは7番・スタメンの藤井
前半戦、とことんFs戦で一発を放ってきた藤井だが、このところ元気がない。
バッテリーは徹底した変化球攻めで、藤井の大好きなストレートはストライクゾーンに投げない。
きわどい変化球に対しファウルで粘る藤井も最後は見逃し三振。この回で引っ込められた。
13本塁打、打率は2割に満たない。今年の契約更改はかなりな覚悟が必要である。

来季のオリックス監督に内定している石毛宏典氏の使い方によっては、来季藤井が復活する可能性もある。
このところ代打での出場が多いが、元来4回立ってナンボの選手。もともと打率は高くないのだ。
そのかわり、大事なところではガツーンと一発打つのが藤井の持ち味。
大ベテランとなってからダイエーに移籍したとき、すでに自分の出番はなかった…そんな経験を持つ石毛氏が、
歴戦の戦士をどう扱っていくかが見物である。
 

6回裏・無死一・二塁のチャンスにユキオがショートゴロ併殺。続く井出もまたショートゴロ。
この回から藤井の打順に入った塩崎が軽快に裁く。加藤もゴロゴロゴロゴロ…熟練の味。

7回表を金村が三者凡退で切り抜けたその裏、金子と連続ショートゴロ。前の回のユキオから4人連続である。
實松には代打・阿久根。前日から一軍に合流したばかりだ。
ショートゴロは避けたが、空振り三振。…おい、当たりもしないのか(笑み)
せめて別のところにゴロ打つとかさぁ…。ま、同じか。

8回表・代打の阿久根に代わって野口がマスク。ピッチャーも井場に代わった。
日程がスカスカだけに、0-3井場が出ても文句はない。
金村は10奪三振。球のキレがよく、来年に期待を残す投球内容だった気がする。

一死からが左中間を破るツーベース。これが今シーズン50本目。
前日、フィル・クラークの持つシーズン48本(1998年)の日本プロ野球記録を破ったばかりだった。
新記録更新もさることながら、前人未踏の50本台に達した貴重な瞬間を見たわけだ。
この瞬間を夜のスポーツニュースでも流していたが、内野席に恋人のヤワラちゃんがいた模様。拍手してた。
そうだったのか。別にどうでもいいけど(爆み)
ちなみに私の座った近所には、プロボクサーのセレス小林がいた。なんとか級のチャンピオンだったよなぁ、たしか。
ガン井出関根なんかと春先に自主トレを一緒にした人だ。
試合中にオーロラビジョンで紹介されてしまい、サイン&握手&写真攻めに遭っていた。
球団に招待されたからなんだろうけど、落ち着いて観戦できなくてかわいそうだった。
 

8回裏も加藤は三者凡退で難なく切り抜け、完封が見えてきた。

9回は演出家・ミラバルが登場。今回は進藤にヒットを許しただけで、無失点。
このところ、イメージは悪いけど無失点で切り抜けることが多くて、結果は出してるなぁ。
 

9回裏、驚いた。オリックス大久保を出してきた。セーブは2ケタ、新人王最有力候補だ。
でも、ここはベテランに華をもたせてよかったんじゃないの?
先発両投手の制球安定、試合時間が短いところを見ても、加藤の球数って大したことないんじゃない?

結局、大久保にも手も足も出ず、最後の井出のセカンドゴロも間一髪フォースアウト。
状況が状況ならセーフって言われてもいいタイミングだったが…。
まったく勝てるニオイのない試合だった。
 

あとで調べたら、加藤の球数はたった99球だった。
完投させてもらえなかったが、これで10勝目。
なんと当時在籍していたダイエーホークス創設年の1989年以来12年ぶりの2ケタ勝利。
これって、もんのすごいことだ。
84年にプロ入りしたときのチームは南海ホークス
1年目から一軍で投げ続けているが、とちゅう1990、92、93、95年は故障で一軍出場なし。
これだけのブランクがあった選手である。
ダイエーに見切りを付けられ96年に移った広島では3年間そこそこ頑張ったものの、
成績と年俸が釣り合わずさらに放出の憂き目。
ふたたびテストで入ったのが今のオリックスだ。

決して美しいとは言えない投球フォームは、幾多の故障を味わった上で生まれたフォームなのだろう。
昨年遅咲きエースとしてブレイクしたも、この加藤のフォーム、投球術を参考にして結果を出したという。
どんなベテランでも、人に教えることによって自分にもプラスになる発見があったりするはずだ。
そして、先発投手が足りないという現状も彼にいい方向に作用した。

この日の夜、巨人との天王山で快投を演じた(結局同点にされ降板したが)入来智も、絶対的な先発投手不足の中、
コーチに、リリーフより先発向きの性格を見抜かれてローテーションに抜擢され、見事自身初の2ケタ勝利を挙げた。
オリックスをたった2年でクビになった前田浩継も、勝手に曲がるストレートを矯正されかけたオリックスとは正反対に、
コーチに「そのクセ球を活かした投球をしろ」と指導され、先発の一角に加わった。
ちなみに、このふたりの話に出てきた“コーチ”とは伊東昭光投手コーチである。
すんごいのね、この人。

まったく、環境の変化は人の人生を大きく変えることもあるわけだ…
 

さて、この日環境がとっても厳しくなってしまった人がいる。
大島監督だ。

ついに、のこり6試合で5勝しないとクビという、とてつもない状況になった。
選手に自分のクビをかける。自分が試合に出てどうこうの世界じゃないだけに、クビのかかった監督ほどキッツイものもないなぁ。
しかもこのスカスカ日程。昨年途中、審判の誤審がきっかけで胃を悪くして緊急入院したこともある大島さん、大丈夫だろうか。

秋風…

【●●●今季観戦通算 7勝16敗 勝率.304●●●】



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