「念願のルート66の地を往く」
〜アメリカにかつて存在した、伝説のハイウェイ〜
「ゲット ユーア キックス オン ルート66」の歌でもおなじみの「ルート66」は
一世を風靡した1950年代にテレビで見た同名のテレビ映画以来の憧れの地であった。
それから50数年たった今ルート66の一部を訪ねることが出来た。
66歳になったら行こうと、ルート66に関してはいろいろ調べたが、
所詮、運転免許が無い人間には、相棒がいない限り不可能なことだ。
所詮は夢物語か?
昭和24年に慶応幼稚舎を卒業して、ハワイのハワイカイに住んでいる友人の
元ハワイ三田会会長の吉田昭さんが旗振りでハワイで同窓会を開こうという事になり、
その後上海でも開いた。そして今年はラスベガスで開くことになった。


以前にラスベガスを訪問した時、その昔の映画で懐かしいデスバレー、
モニュメントバレー、グランドキャニオンを訪ねた時、ルート66にも近い事を知った。

ラスベガスからウイリアムスまでグレイハウンドも走っている。
なんとかいけないかと考えていた時、同窓会に参加する友人が一度行ったが、
もう一度行ってもいいと言い出し、此れは幸いと友人夫妻と
もう一人そして私、面子は4人で成立した。


そこで以前にデスバレー観光を頼んだラスベガスのDYNAXツアーに依頼、
95号線でフーバーダム経由キングマン〜ハックベリ〜セリグマン〜ウイリアムス〜
フラグスタフで日帰り可能か?費用は?
問い合わせラスベガスを朝6時発で帰着は午後8時で行ける事が判った。

勿論走りっぱなしでは無く、途中見物したり、買い物をしたりするオプション有りだ。
費用は一人160ドル、その後ガソリンの高騰は続くが160ドルに変化はなかった。

ラスベガスにはホノルルからハワイアン航空のファーストで行く、
席が革張りで広く、食事やサービスがいいのと、到着時間が時差2時間<夏時間は3時間>
あるが問題ないこと、帰りが朝出て昼過ぎホノルル着がいいことだ。


9月30日ラスベガスのヒルトンバケーションクラブ アト ザ フラミンゴを
DYNAXツアーのフジイさんの運転する6人乗りのバンで
憧れの地ルート66に向かい出発した。
69歳の誕生日を迎える寸前だ。

日の出の朝日がまぶしい中フーバーダムを通り抜けていく。
此処には9−11の同時テロ以来チェックポイントが設けられている。
ここにテロ攻撃があると電力、水に多大な損傷を受ける恐れがあるからだ。

わざわざ迂回路が設けられていた。
此処にはネバダとアリゾナの境界線がありアリゾナに入ると時差が一時間有るそうだが
今はネバダが夏時間なので時差が無いが、アメリカなのに一ミリ他洲に入るだけで
時差があるアメリカの広大な広さに改めて実感。

此処で車から降りる時友人の一人が持ち込んだコーヒーカップをひっくり返した。
ドライバーのフジイさんは「乗る前にご注意しようかと思いましたが、
ご存知の事と思い言いませんでしたが、何処の車でも飲み物は持ち込み禁止です」と厳しい一言。

そういえばラスベガスの劇場でピザを食べながら入場しようとしたアメリカ人夫婦が
注意されていた事を思い出した。


キングマンの所で高速に入らず、いよいよルート66の道に車は入った。
夢に見たルート66だ。ナッツキングコールの声が聞こえるようだ。
シニアの心が青春に戻る瞬間だ。

ここでトイレ休憩に入った店に手提げ袋にルート66と書いたのがあり、
手ごろなので買うが、こうしたお土産はあとで買うと言う事は、旅先では不可能、
思いついた時買わないと二度とお目にかかれない。

広大なアメリカの地、ルート66は地平線の遥かかなたまで一直線で何もない風景だ。
時々道路横に立つヒストリカル ルート66の看板が眼に入る。
心の中はエキサイトだ。




ルート66の標識がある所で車をとめ写真を撮っていると
道沿いの一軒家に住んでいる老人が写真を撮ってあげると突然現れた。

そしてウエブサイトを見てくれと名刺をくれた。
老人は此処でインターネットを通じてキリストの布教をしているようだ。

庭先に美しいバラが咲いているのが印象的だ。



ルート66の横を線路がある。
時折長い車列の貨物と往きかう、車両の数を数えると100両はある。

やがてセリグマンの町に入る。
此処には床屋をしているアンジェロとホアンの兄弟がおり、
かってはルート66アソシエーションの会長をしていたが、
弟のホアンは近年なくなりアンジェロは自分の店のお土産店の中にある床屋で、
にこにこと観光客に愛想を振り撒いていた。

近年は外国の観光客もバスで此処を訪れるツアーが多いそうだ。
思わずアンジェロと床屋の椅子に座り一緒に写真を撮った。
そして念願のルーと66とマーク入りのティーシャツを購入した。


この周辺にはその昔の建物がそのまま残してあり、ジェイル、監獄とか、
囚人護送車とか、新品中古の銃ありとか、いかにも時代を感じさせる看板が目に付く。

面白いのは昔のままの建物で銀行があることだ。

私にしてみればどれも映画でお馴染みの風景だ。
昼前ぐらいにウイリアムスに到着、気温は17度ぐらいひんやりして、気持ちがいい。
此処からはグランドキャニオンに一日一本の昔ながらの列車が出ていて、
途中で列車強盗が出たりなどのアトラクションがあるのが面白い。

駅の構内にはお土産店があり、客のいない時間だけに、ひっそりしていた。
フラグスタフに入り昼食となる。
何処にはいるか街の中といっても猫の額ほどだが探す。

なんとなく小奇麗な店があり中に入ると昼前なのにかなりの人がいる。
ここでハーフサンドウイチ、勿論ローストビーフだ。ビールと言うと無いと
言われアイステイにする。スープがアメリカ的味で塩味がありそれが美味しい。
値段は6ドル50セント、日本人にはこのハーフというサイズがいい。
昼食時間になると店の中は客で満杯となっていた。
店の名前はMax and Thelma's Restaurant 1201 W Route 66 Suite 200 Flagstaff Az
我々には最適な地での店であった。

ここにミュージアム オブ ノーザン アリゾナというネイテイブな人たちの
歴史や文化を一同に集めた珍しいミュージアムがあり、
そこには彼らが編んだ見事な織物が陳列販売している。

そしてこの辺りは静かなアメリカを感じさせる住宅地で、平和の瞬間を感じた。
何処まで走っても真直ぐの道ルート66には、道すがらいろいろの顔が存在していたが、
気をつけないとあっという間に見落とす場所が多々あった。

綺麗に舗装された道にはかっての馬車の轍は見当たらなかったが、
当時の空気は存在したように感じた。そして充分にアメリカを楽しんだ。

走った距離は1200キロ、シカゴからロスまで4000キロ余のルート66のうちのほんの一部だった。

イーストウエストジャーナル誌(ハワイ)掲載

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