離婚(あるいは別居)後に,子供との面会交流を求める方法

2011(平成23)年11月17日
2016(平成28)年3月21日改訂

 

1 離婚の際の親権
 日本では,婚姻している夫婦に,未成年の子供がいた場合,夫婦が共同して親権を行使します(民法818条)。

 しかし,夫婦が離婚した場合,未成年の子供については夫婦のどちらか一方が親権者となり,子供を引き取って育てます(但し,例外的に未成年の子供の親権者になる親と未成年の子供を引取って育てる監護者になる親が別になる場合もありますが,

 本稿は,親権者と監護者が一致していることを前提にします。)。

 これを,単独親権制といいます(民法819条)。

2 面会交流権
 未成年の子供の親権者でない親は,未成年の子供と会う権利があります。

 離婚の際に,「子供とは今後一切会いません。」等の約束をしていても,親は子供と会う権利があります。

 夫婦は離婚すれば他人になりますが,親子の関係は離婚によっても影響がないからです。

 このように,子供の親権者ではない親が,実際に子供と会って直接会話をしたり,電話,手紙,電子メール等を使って間接的に意思疎通を行ったり,通知票や写真等で子供の様子を知らせてもらったりする等の方法で,子供と何らかの交流を持つことを,「面会交流」といいます。

 かつては,同じ意味で「面接交渉」という言葉が用いられましたが,現在は,「面会交流」という言葉が一般的です(民法766条参照。「子との面会及びその他の交流」という文言が使われています。)。

3 面会交流を求める方法
 親権者でない親が,子供の親権者に対し「未成年の子供と会いたい。」と要求したにもかかわらず,子供の親権者が,子供と親権者でない親とを会わせない場合には,親権者でない親は,家庭裁判所に対して,子供との面会交流を求める調停を申し立てることが出来ます。

 その調停が,話し合いがつかずに不成立になった場合には,家庭裁判所が審判により,面会交流について判断します。

4 離婚前に面会交流を求める方法
 父母が離婚はしていないものの,婚姻関係が破綻して別居状態にある場合の,別居親と子供の面会交流については,民法766条を類推適用し,家事事件手続法別表第2の3項に定める「子の監護に関する処分」事件として,家庭裁判所が調停や適当な処分を命ずることができる,というのが,最高裁判所の立場です(最決平成12年5月1日判時1715号17頁)。

 そのため離婚前でも,ある夫婦が,婚姻関係が破綻して別居状態にある場合,子供と同居していない親が,子供と同居している親に申し入れても,子供と会わせてもらえない場合には,子供と会うことができない親は,家庭裁判所に対して,子供との面会交流を求める調停を申し立てることができます。

 その調停が,話し合いがつかずに不成立になった場合には,家庭裁判所が審判により,面会交流について判断します。

5 面会交流の調停・審判を申し立てることができる者
 面会交流調停ないし審判の申立権者は,父又は母であり(民法766条),祖父母については,一部例外的な扱いをした事例(東京高判昭和52年12月9日家月30巻8号42頁)はあるものの,面会交流の申立権はない,とするのが,現在の実務・多数説の取り扱いです。


以上


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