内縁関係の解消
平成22(2010)年12月1日
- 1 内縁とは,婚姻届を提出していないことにより正式な夫婦ではないが,男女が婚姻の意思を持って実際に夫婦生活を営んでいる関係を言います。戸籍には何らの記載も存在しません。
- 2 しかし,そのような内縁関係を正当な理由がないのに破棄された場合は,戸籍上の夫婦である場合の離婚と同様に,相手方に対して内縁破棄に伴う慰謝料請求をすることができます。
- 3 また,内縁関係が成立してから内縁関係が解消されるまでの間に,その当事者が助け合って財産を形成した場合は,その財産について内縁関係の解消のときに財産分与の請求ができます。
その場合の財産分与の考え方は,離婚の場合と同じですので,離婚の項を参考になさって下さい。
財産分与の金額や支払方法について,当事者間での話し合いが出来ない場合は,家庭裁判所に調停を申し立てることが出来ます。
そして,調停によっても話し合いが出来なかった場合は,家庭裁判所の審判によって判断することになります。
その場合は,法律上の婚姻と同様に,当事者双方がその協力によって得た財産の額,その他一切の事情を考慮して判断することになります。
- 4 また,内縁関係が不当に破棄された場合の慰謝料については,法律上の婚姻の場合の離婚と同様に様々な考慮要素を総合して判断されることになります。
この慰謝料請求については,話し合いがつかない場合家庭裁判所に調停申立をすることが出来ますが,調停でも話し合いがつかない場合は,相手方を被告として地方裁判所(訴額が140万円以下の場合は簡易裁判所)に対して慰謝料請求訴訟を提起する必要があります。
- 5 内縁関係の当事者間に子供が生まれている場合の親権者は,通常母親となっておりますので,内縁関係の解消の場合に親権者の決定の問題は,通常発生しません。
- 6 その子供の養育料については親権者がその相手方に対して養育料の請求をすることが出来ます。それも法律上の夫婦間の離婚の場合と同様に考えます。話し合いがつかない場合は家庭裁判所に調停申立をします。調停によっても話し合いがつかない場合は,家庭裁判所が審判により養育料の金額及び支払方法等について判断をすることになります。
以上