遺産分割の方法と遺産分割の期限
2010(平成22)年9月28日改訂
2020(令和2)年8月3日改訂
2020(令和2)年11月14日改訂
2022(令和4)年3月9日改訂
2022(令和4)年7月25日改訂
2024(令和6)年3月22日改訂
2024(令和6)年6月17日改訂
- 第1 遺産分割の方法
- ① 現物分割
- ② 代償分割
- ③ 換価分割
- ④ 共有分割
相続が開始して相続人が数人いる場合は,遺産は共同相続人全員の共有になります。
その共有している遺産を各相続人に分配するのが遺産分割です。
遺産分割の方法は,1)遺言による指定分割,2)協議による分割,3)調停による分割,4)審判による分割の4つの方法があります。
1)遺言書があれば遺言書により分割します。遺言書がない場合は2)以下の方法により分割します。
2)の協議による分割は,共同相続人全員の合意により遺産を分割する方法です。共同相続人全員が必ずしも会って話す必要はなく,通常は遺産分割協議書という書面を作成して,それに遺産の分割方法を定めて,共同相続人全員がそれぞれ署名して,共同相続人全員がそれぞれの実印を押印して,それぞれの実印についての印鑑登録証明書を添付するという方法がとられます。
3)の調停による分割は,共同相続人間での遺産分割協議がまとまらないときや,協議ができないときに,各共同相続人は一人でも二人以上でも家庭裁判所に遺産分割調停の申し立てをすることができます。
調停手続は,共同相続人の全員が,調停申立人ないし相手方になる必要があります。
申立をする家庭裁判所は,相手方の住所地(相手方が複数いて,住所地が異なる場合は,そのすべてに土地管轄が生じます。)を管轄する又は当事者が合意で定める家庭裁判所になります。(家事法245条1項)
遺産分割の調停手続きは,調停委員や家事審判官(裁判官)が話し合いの斡旋をしてくれます。
4)の審判による分割は,遺産分割調停が,話し合いがまとまらなかったり,共同相続人が一人でも調停に出頭しなかったりして,不成立になった場合に,審判手続きに移行して行われるものです。
審判手続きでは,家事審判官(裁判官)が,民法の分割基準に従って各相続人の相続分に応じて審判により分割を実行します。
遺産分割の審判は家庭裁判所の審判官が,審判手続により審判(判決と同じようなもの)をなし,その審判に基づいて遺産分割がなされるものです。
裁判官の遺産分割方法に関する考え方は、
の順序で判断するものと思われます。
この遺産分割の審判に対しては,高等裁判所に即時抗告をすることができます。この即時抗告期間は2週間です。
第2 遺産分割の期限
遺産分割については,現在は法的に期限は定められていません。
ただし,2021(令和3)年に成立した令和3年法律第24号民法等の一部を改正する法律の内,2024(令和6)年4月1日から施行された改正不動産登記法76条の2は,不動産の所有権の登記名義人が死亡して相続が開始し,その相続によって当該不動産の所有権を取得した者は,自己のために相続の開始があったことを知り,かつ,当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に所有権移転登記を申請しなければならないと定められています。
その期限までに遺産分割が未了であれば,法定相続分に従った所有権移転登記をすることになります。
その後に遺産分割がなされた場合は改めてその遺産分割に従った所有権移転登記をすることになります。
この相続には,2024(令和6)年4月1日以前に発生した相続も含まれます。
この改正は所有者不明土地解消のためです。
以上