個人保証の制限(保護)-その2
個人保証の保証契約締結時及び保証契約締結後の情報提供義務
2020(令和2)年2月19日
民法が改正され、以下の個人保証保護の規定が2020(令和2)年4月1日から施行されます。
- 第1 契約締結時の情報提供義務(改正民法465条の10)
- 1 「事業のために負担する義務」の個人保証(根保証を含む)を委託するときは、委託者である主債務者は委託を受けた者に対し以下の情報を提供しなければならない。
- ① 財産及び収支の状況
- ② 他の債務の有無・その額・その履行状況
- ③ 他の担保の有無・その内容
- 2 主たる債務者である委託者が委託を受けた者に対し、上記の情報の提供をせず又は事実と異なる情報を提供したために委託を受けた者が上記①~③を誤認し、そのために保証契約を締結した場合、主たる債務者がその事項に関して情報提供せず又は事実と異なる情報を提供したことを債権者が知り又は知り得たときは、委託を受けた保証人は保証契約を取り消すことができる。
- 3 これらの規定は、法人保証人には適用されません。
- 第2 契約締結後の情報提供義務(改正民法458条の2、458条の3)
- 1 委託保証人から情報開示請求があったとき(改正民法458条の2)
債権者は、委託保証人(個人保証人に限られない。法人保証人も情報開示請求が出来ます。)に対し、元本・利息・違約金・損害賠償その他の債務についての不履行の有無・残額・期限の到来している額に関する情報を提供しなければならない。
この場合債権者は守秘義務から解放されます。 - ① この規定に違反したとき、保証人は債権者に対し損害賠償請求が可能と解されます。
なお、この場合に保証契約解除も可能かどうか問題があります。 - ② 無委託保証人から情報開示請求があったときは、債権者に関し信義則上の義務と守秘義務との相反問題となります。
- 2 主債務者が期限の利益を喪失したとき(458条の3)
- ① 債権者は、個人保証人(委託保証人に限られない。無委託保証人にも適用されます。)に対し、期限の利益喪失日から2ヶ月以内に、その旨を通知しなければならない。
- ② 債権者が①の通知義務に違反した場合は、期限の利益喪失時から通知した時までに生じた遅延損害金(期限の利益喪失により増加した分)の保証履行を請求できない。
- ③ これらの規定は、法人保証人には適用されません。