民事訴訟における立証活動で有用な「内容証明郵便」と「配達証明(郵便)」のセット

2019(平成31)年1月1日

 

 

 民事訴訟においては、弁論主義から、事実の主張をする者がその主張する事実を証明しなければならず、その事実の証明ができなければ、その主張する事実は判決において考慮されないことになります。

 そこで、文書により相手方に対し特定の期日に特定の法律上の意思表示をしたという事実を証明するのに有用なのが、「内容証明郵便」と「配達証明(郵便)」のセットです。

 「クーリングオフ」や「契約の解除」等の意思表示がなされた事実の立証に有用です。

 

 「内容証明郵便」とは、

いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって日本郵便株式会社が証明する郵便です。

 「内容証明郵便」の差出方法は、集配郵便局ないし指定された郵便局に、差出人が、受取人に送付する内容文書及びその内容文書と同じ内容の謄本2通(これを差出人と郵便局が各1通ずつ保有します。)、すなわち同じ内容の文書を3通と、差出人及び受取人の住所氏名を記載した封筒と内容証明郵便の加算料金を含む郵便料金、並びに印鑑を持参して行います。

 内容文書・謄本とも、用紙の大きさ、記載用具は問いません。

 市販の内容証明用紙以外の用紙を用いても、またコピーにより作成してもかまいません。

 ただし、内容証明郵便には字数・行数の制限があります。

 縦書きの場合は、1行20字以内、1枚26行以内です。

 横書きの場合は、別の字数でも可能な場合があります。

 詳細は、郵便局に確認されるか該当書籍やインターネットでご確認ください。

 

 内容文書と謄本2通合計3通を郵便局職員がチェックし、郵便約款通りに作成されていて3通が同文であることを確認すれば、3通に同じ受付番号が刻印されます。

 

 差出人は、差し出した日から5年以内に限り、差出郵便局に保管されている謄本の閲覧を請求できますし、差出郵便局に謄本を提出して再度証明を受けることができます。

 

 「内容証明郵便」は、電子内容証明郵便としてインターネット上からも出せます。

 これを、「電子内容証明郵便」といいます。

 パソコンで内容証明を希望する文書を作成して、インターネットで日本郵便株式会社の新東京支店に送信すれば、新東京支店が3通分の印刷や封入をして内容証明郵便を発送してくれます。

 料金支払方法は、クレジットカードか料金後納の利用者登録をして支払います。

 

 「配達証明(郵便)」とは、

一般書留郵便物等を配達した事実を証明する制度です。

 「内容証明郵便」とセットにすれば、郵便物等配達証明書が葉書で、上記のように同一番号で刻印された「内容証明郵便」の内容文書を配達証明書に記載された期日に配達・交付した事実を証明するサービスです。

 

 民事訴訟では、内容文書と同一内容の差出人が保有する「内容証明郵便」の謄本と「配達証明(郵便)」の郵便物等配達証明書の葉書を証拠として提出することにより、「内容証明郵便」の謄本と同一内容の内容文書が相手方に特定の期日に配達・交付され、法律的効果を発生する意思表示が相手方に対しなされたことを証明することができます。

 

 弁護実務においては、「内容証明郵便」と「配達証明(郵便)」をセットにして法律的な意思表示をすることが重要です。

 

 

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