交通事故による営業車(緑ナンバートラック、タクシー等)の休車損害(休車損)
2018(平成30)年2月7日
- 第1 休車損害について
- 第2 休車損害の算出
- 第3 民事訴訟法248条による休車損害の認定
- 第4 予備車両(遊休車両)がある場合の休車損害
- 第5 代車料と休車損害との関係
運送会社の貨物自動車やタクシー等の営業車が交通事故により損傷して営業ができなくなったために損害が発生した場合、当該被害車の相当な修理期間または買替期間の範囲内で損害が認められます。
営業免許を受けていない所謂「白ナンバー」の営業車でも道路運送法違反による制裁と私法上の損害賠償の問題は別と考えられますので休車損害の請求はできると思います。
休車損害は、被害車両によって1日当たりに得られる利益額に相当な修理期間または買替期間を乗して算出されます。
被害車両の1日当たりの営業利益は、事故前3ヶ月ないし1年の売り上げ実績を基に算出します。
売り上げから控除される経費は、車両を使用しないことにより免れた変動経費として、燃料代・通行料・修理代・運転手の乗務手当等に限るべきです。
固定経費である、乗務手当以外の人件費・減価償却費・保険料・駐車場代・税金等は控除すべきではないと思います。
休車損害の算出にあたり、経費率を認めるに足りる証拠がないとして、民事訴訟法248条(損害額の認定)に基づき相当な損害額を認定した裁判例があります。
予備車両(遊休車両)がある場合は、現実に休車損害が発生しないので、休車損害は認められません。
遊休車の存在については、立証資料が加害者の手元になく、証拠への距離等を考えれば、被害車両を保有する被害者が遊休車の不存在について立証責任を負担すると考えるのが公平と思われます。
代車料と休車損害は、いずれも被害車両を使用できなかったことによる損害であり、両方を重複して請求することはできません。
以上
- ・ 公益財団法人 日弁連交通事故相談センター東京支部 編集・発行
民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準 - ・ 園部厚著
わかりやすい物損交通事故紛争解決の手引(第3版)
株式会社民事法研究会発行 - ・ 園部厚著
交通事故物的損害の認定の実際(理論と裁判例)
改訂版
株式会社青林書院発行 - ・ 大嶋芳樹・羽成守・松居英二著
新版 交通事故の法律相談
学陽書房発行
参考文献