弁護士費用と法テラスの民事法律扶助
- 第1 法的紛争が発生した場合は,法律知識を基に,適切な対応を行う必要があります。
- 第2 弁護士費用について
- 1 法律相談
法律相談の場合は,30分5000円(税別)であることが一般的です。 - 2 着手金と報酬金
着手金とは,事件解決の成功不成功に関係なく,弁護士が事件に着手するにあたって発生する費用です。
報酬金とは,事件解決に成功した場合に発生する費用です。
着手金及び報酬金は,当該紛争の「経済的利益」によって算定します。
たとえば,300万円の貸金請求であれば,「経済的利益」は300万円と考えられます。
着手金は,「経済的利益の8%程度」,報酬金は「経済的利益の16%程度」というのが一般的のようです。 - 3 実費について
事件解決のために,相手方に内容証明郵便を配達証明付きで出したり,訴訟を提起した際には,郵便費用や,裁判所に納める印紙等の実費代が,別途かかります。
また,遠方の地で事件処理を行うような場合などには,旅費・日当が発生することもあります。 - 第3 法テラスについて
- 1 法テラスの正式名称は,「日本司法支援センター」です。
- 2 法テラスは,個人が法的な紛争に巻き込まれたときに,裁判その他の法による紛争の解決のための制度の利用をより容易にすることを目的に,弁護士・司法書士等のサービスをより身近に受けられるようにするための総合的な支援を行っている,独立行政法人です。
法テラスが行っている業務は,情報提供業務,民事法律扶助業務,司法過疎対策業務,犯罪被害者支援業務,国選弁護等関連業務などです。 - 3 法テラスの民事法律扶助業務について
- (1)経済的に余裕がない日本国民個人が,法的紛争に巻き込まれた際には,民事法律扶助業務による援助を受けることができます。なお,株式会社等の法人や,組合等の団体は,民事法律扶助の対象者に含まれません。
また,日本国に住所を有し適法に在留する外国人であれば,扶助事業の対象者になります。 - (2)経済的に余裕がない日本国民個人や日本国に住所を有し適法に在留する外国人は,同一の案件について3回まで,無料で法律相談を受けることができますし,弁護士・司法書士の費用の立替えを行う代理援助制度や,書類作成援助業務を利用することができます。
ただし,法テラスは弁護士費用を立て替えるだけであり,弁護士・司法書士費用自体は発生します(なお,生活保護受給者等については,申請によって償還義務が免除されることがあります。)。 - (3)法テラスが立て替えた弁護士・司法書士の費用は,事件進行中は,毎月5000円ないし1万円を,法テラスに支払う必要があります。
事件終了後は,法テラスが立て替えた費用の残りを,原則3年以内に支払いが終わるように,月々の分割返済額が決定されます。 - 4 法テラスを利用するための要件
- (1)資力が一定額以下であること(夫婦間の紛争の場合を除き,配偶者に収入又は資産がある場合は,原則として,夫婦の収入や財産を加算した金額で判断されます。)
- ア 月収(賞与を含む手取り月収額)が一定額以下であること
単身者=18万2000円(大都市圏は20万2000円)以下
2人家族=25万1000円(大都市圏は27万6100円)以下
3人家族=27万2000円(大都市圏は29万9200円)以下
4人家族=29万9000円(大都市圏は32万8900円)以下
単身者=4万1000円(大都市圏は5万3000円)以下
2人家族=5万3000円(大都市圏は6万8000円)以下
3人家族=6万6000円(大都市圏は8万5000円)以下
4人家族=7万1000円(大都市圏は9万2000円)以下 - イ 保有資産が一定額以下であること
単身者=180万円以下
2人家族=250万円以下
3人家族=270万円以下
4人家族=300万円以下 - (2)勝訴の見込みがないとはいえないこと
- (3)民事法律扶助の趣旨に適すること
- 5 必要書類
- (1)収入に関する書類
- (2)本籍地を記載して,世帯全員を記載した,住民票謄本(ただし,マイナンバーは記載しないもの。)
- (3)その他
- 6 援助申込書
当事務所に備え付けてあります。
また,法テラスの事務所にもありますし,法テラスと契約している法律事務所であれば,援助申込用紙を備えてあります。 - 7 法テラスのホームページ
http://www.houterasu.or.jp/index.html
間違った法律知識を基に対応を行ってしまうと,取り返しがつかないことがありますので,法律専門家である弁護士の,助言・援助を受けた方が安全でしょう。
しかし,法律家の助言・援助を受けるに当たって,費用が用意できないため,なかなか専門家に相談しづらい場合もあります。
そこで,一般的な弁護士費用と,弁護士費用を立て替えてくれる法テラスの民事法律扶助について説明します。
法テラスの代理援助制度や,書類作成援助業務は,経済的に余裕がない個人を対象としています。
そのため,法テラスの代理援助制度や,書類作成援助業務を利用する場合には,収入等を証明する書類が必要になります。
具体的には,源泉徴収票,直近の給与明細2か月分,課税証明書,確定申告書写し,生活保護受給証明書,年金証書(通知書の写し*基礎年金番号のないもの),非課税証明書などのいずれかを,法テラスに提出して,審査を受ける必要があります。
多重債務事件の場合は,債務一覧表
交通事故事件の場合は,交通事故証明書・診断書
離婚事件・相続事件の場合は,戸籍謄本
が必要になります。詳しくは,担当弁護士又は法テラスにお問い合わせ下さい。
以上