相続人に未成年者がいて,その親も相続人であるような場合は,その未成年者に特別代理人の選任が必要です。

2013(平成25)年12月10日
2015(平成27)年1月30日改訂

 

 相続が開始して相続人が数人いる場合,遺産は共同相続人全員の共有になります。その共有している遺産を各相続人に分配するのが遺産分割です。

 遺産分割の方法は,①遺言による指定分割②協議による分割③調停による分割④審判による分割の4つがあります。遺言書がない場合は①は該当せず,「協議」,「調停」,「審判」の選択肢になります。

 「協議」とは,共同相続人全員の合意により遺産を分割する方法です。共同相続人全員が一堂に会する必要はなく,通常は遺産分割協議書という書面を作成,それに共同相続人全員が署名・押印するという方法がとられます。

 相続人の1人が未成年者で,その未成年者の法定代理人の親権者である親も相続人である場合は,遺産分割という観点からは未成年者の親権者である親と未成年者との利益は相反してしまいます。

 それで未成年者について特別代理人の選任を家庭裁判所に請求し,家庭裁判所から選任された特別代理人と遺産分割協議ないし調停をすることが必要になります。

 また,親が複数の未成年者の親権者である場合にも,未成年者間の利益が相反する可能性があるので,未成年者に特別代理人を選任する必要が生じる場合があります。

 「調停」は,協議がまとまらないときや協議ができない時,各共同相続人が家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てする方法です。調停手続きは,調停委員や家事裁判官が話し合いの斡旋をすることで進められます。

 「調停」が不調に終わった場合は「審判」になります。審判手続きでは,家事審判官が民法の分割基準に従い,各相続人の相続分に応じて分割を実行します。

 ただし,相続人の1人が未成年者で,その未成年者の法定代理人の親権者である親も相続人である場合に,親子全員が同時に相続放棄をする場合は,利益相反行為にならず,未成年者に特別代理人を選任する必要がないと考えられます。

以上

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