しもまっち数列(Simomacci
progression)
等差数列でも等比数列でもある数列とはどんな数列でしょう。すぐ思い浮かぶのは、
1,1,1,1,1,1,…とか、2,2,2,2,…という、いわゆる公差が0、公比が1のタイプの数列です。
さて、今、を満たす数列を「フィボナッチ型数列」と呼ぶことにします。
普通フィボナッチ数列といわれる、1,1,2,3,5,8,・・・の他、1,3,4,7,11,18,29,・・・
などという数列も「フィボナッチ型数列」とします。
このとき、フィボナッチ型数列でなおかつ等差数列であるような数列、また、フィボナ
ッチ型数列でなおかつ等比数列であるような数列はあるでしょうか。
フィボナッチ型等差数列は、0,0,0,0,…しかありません。では、フィボナッチ型等比数列は
あるでしょうか。これについて考えてみましょう。
まず、フィボナッチ型数列(を満たす数列)の性質について調べましょう。
フィボナッチ型数列どうしの一次結合もまたフィボナッチ型数列である |
【証明】
のとき、とおくと、
がいえるので、
が成り立つ。
つまり、フィボナッチ型数列はベクトル空間をなしているのですね。
フィボナッチ型数列の一般項を求めてみましょう。
漸化式 において、という変形を行うことができれば、
fn+1=★fn という等比数列の漸化式になるので、一般項を求めることができます。
両者の係数を比較すると、 このようなα,βは方程式、
の解です。この方程式を特性方程式と呼びます。
これを解いてα,βを求めると、 を得ます。
…@
…A
@,Aより、初項と第2項が決まれば一般項を求めることができます。
例えば、数列 1,1,2,3,5,8,13,21,… の一般項は、@において、
初項 、公比βの等比数列を考えることで、
また、Aについても同様にして、
この式を片々引いて、
ここで、 とおいて整理すると、
と一般項が得られました。
さて、今と同様の方法で、フィボナッチ型数列、1,3,4,7,11,18,29,…の一般項を求めてみると、
が得られます。
ここで、 という数列を考えます。
この数列はフィボナッチ型数列の一次結合なので、フィボナッチ型数列ですね。
また、 と表されるので、この数列は等比数列でもあります。
このようにして「フィボナッチ型等比数列」が得られました。
,…
この数列はフィボナッチ型数列。それでいて、この数列は初項 、
公比の等比数列でもあります。
このような事実は既に知られていることかと思いますが、ここではとりあえず、
このような数列を「しもまっち数列」と名づけておきます。