死海文書に、終末予言が書かれている。終末の時代には、光の子たちと闇の子たちとの戦
いがあり、イスラエルのメシアとアロンのメシアという2人の救世主が現れ、光の子たち
を助けて、闇の子たちを滅ぼすのだという。
キリスト教やユダヤ教では、メシアは一人だけと思われているので、2人のメシアは死海
文書の独特のものである。
死海文書とは
死海周辺の洞窟から見つかった巻き物。ユダヤ教の一派であるクムラン教団が紀元前2世
紀から紀元1世紀の期間に制作したもの。旧約聖書の内容が含まれており、旧約聖書の写
本としては世界最古のものになる。
死海文書の内容
・外典創世記
・聖マルコのイザヤ写本
・ヘブライ大学のイザヤ写本
・ハバクク書注解
・共同体の規則
クムラン教団のルール
・戦いの書
光の子たちと闇の子たちの40年にわたる大戦争の経緯、
人類最終戦争の様子、兵器や兵士の条件、戦略が書かれている。
・詩篇集
滅亡の予言、義の教師、それに敵対する存在が書かれている。
光の子と闇の子
・光の子 真実の霊に導かれて歩む義の存在
・闇の子 欺瞞の霊に迷わされた欺瞞に満ちた存在
二人のメシア
・イスラエルのメシア
イスラエルの王ダビデの血統から生まれる。
東の国に現れる。
・アロンのメシア
アロンの血統であるレビ族から生まれる。
イスラエルのメシアを助ける。
死海文書には次の記述がある。
「およそ律法の会議から離れて、心かたくなまでに歩んではならない。その時は共同体の
人々が初めに教えられた掟によって裁かれる。一人の預言者とアロンおよびイスラエルの
メシアの現れるまで。」
イスラエルのメシアはイエス・キリストで、アロンのメシアはバプテスマのヨハネと思わ
れる。キリストの最初の来臨のときも、まず、バプテスマのヨハネが道を備え、その後、
御業をイエス・キリストに引き継がれた。終末の時代にも、バプテスマのヨハネがまず、
道を備え、その後、イエス・キリストが来臨するのだろう。末日聖徒イエス・キリスト教
会では、次のように説明している。ジョセフ・スミスが預言者として召され、バプテスマ
のヨハネが現れ、アロン神権を授けた。近い将来、イエス・キリストが来臨し、世の悪を
滅ぼし、平和な世界を作る。
終末の時代はいつか
ユダヤが1つになった70年後に、ユダヤ民族と他民族が40年に及ぶ戦争を引き起こす
とされている。40年の内訳は5年間の前哨戦、6年間の準備期間、29年間の戦争。
ユダヤが1つになった時を、イスラエル国の建国の1948年とすると、1948年から70年後は
2018年、さらに40年後は2058年になる。死海文書は1947年に見つかっている。2017年には
アメリカがエルサレムをイスラエルの首都としてアメリカ大使館を移転した。これが戦争
のきっかけになるかもしれない。
終末予言
死海文書に記載されている終末予言のいくつかを以下に載せる。
「まず光の子の軍が、闇の子の軍に戦いを仕掛ける。
闇の子を支持するのは契約を破った者たちだ。
両軍とも天使の助けを得て戦いを続けるが、
神の意志は光の子に向くだろう。」
「神の民に救いと栄光が訪れ、闇の民は破滅が訪れる。
世界から不平等が消え去り、闇の民の権利はすべて消え去る。
光と闇は天使の助けを得て戦いを続けるが、神は光の子に微笑む。
光の子らは最終的にメシアの出現によって勝利と救いをもたらし、
闇の子らは背後に控える悪の権化ベリアルとその使いとともに永遠に滅ぼされる。」
「やがてすべての神の民に救いが訪れる。
神の側につく者には栄光が訪れ、サタンの側につく者には絶え間ない破壊に苛まれる。
ヤペテの息子らは大いに困惑し、アッシリアに対する全ての援助は打ち切られる。
キッティームによる支配は終焉を迎え、不平等は無くなる。
闇の子らが享受していた特権は跡形もなく消え去るのみだ。」
「この世界のありとあらゆる高みに激流があふれ、
業火が全ての泉を枯れさせるがごとく、
全ての木々を飲み尽くし枯れさせる。
まばゆいほどの明るさの炎とともに現れる激流は
その水を飲んだ者すべてを焦熱させる。」
「わたしは邪悪な国土に出陣し、邪悪な者たちと礼を共にした。
貧しい者たちの命は、おおいなる混乱の中でもてあそばれ、
押し寄せる厄災がわたしの歩みと同調していた。
そのとき滅びの罠があちこちで開き、
邪悪の網と邪悪な者達の投網が全ての水面を覆いつくすのだ。
滅びの矢は一斉に放たれて、ひとつ残らず命中するだろう。」
「悪が永遠に終わり、世界の基準となる義が太陽と共に出現するであろう」
イスラエルのメシアが東の国に現れることについて
このことについて、一部の人は、イスラエルのメシアは日本人から現れると主張している。
末日聖徒の私としては、イスラエルのメシアとはイエス・キリストだと思っているので、
受け入れられない。終末の時代において、イエス・キリストはパレスチナの地に現れる前
に、アメリカ大陸に現れるといわれている。パレスチナから見るとアメリカ大陸は西にあ
る。しかし、リーハイの家族のアメリカ大陸への航路は、東周りで、紅海からインド洋、
南シナ海、太平洋を通ってアメリカ大陸へ到達している。ある意味、アメリカ大陸は東の
国と言えなくはない。
また、別の解釈もできる。
東からやってくる人物について黙示録7:2-4には、次のようにある。
「また、もうひとりの御使が、生ける神の印を持って、日の出る方から上って来るのを見
た。彼は地と海とをそこなう権威を授かっている四人の御使にむかって、大声で叫んで言
った、
『わたしたちの神の僕らの額に、わたしたちが印をおしてしまうまでは、地と海と木とを
そこなってはならない。』
わたしは印をおされた者の数を聞いたが、イスラエルの子らのすべての部族のうち、印を
おされた者は十四万四千人であった。」
さらにこの人物について教義と聖約77:9,14には、次のようにある。
「問い。黙示録第7章2節の、東から上って来る天使によって、わたしたちは何を理解す
べきか。
答え。わたしたちは次のように理解すべきである。すなわち、東から上って来る天使は、
イスラエルの12の部族を治めるために生ける神の印を与えられている者である。それゆ
え、彼は永遠の福音を持っている4人の天使に叫んで、「わたしたちの神の僕たちの額に、
わたしたちが印を押してしまうまでは、地も、海も、木も損なってはならない」と言う。
また、もしあなたがたがそれを受け入れることを望めば、この人こそ、イスラエルの部族
を集め、万事を元どおりにするために来ることになっているエライアスである。
問い。黙示録第10章に述べられている、ヨハネが食べた小さな巻き物によって、わたし
たちは何を理解すべきか。
答え。わたしたちは次のように理解すべきである。すなわち、それは彼がイスラエルのも
ろもろの部族を集めるという使命であり、定めであった。見よ、この人こそ、書き記され
ているように、必ず来て万事を元どおりにするエライアスである。」
この人物は黙示録の筆者のヨハネである。神の印とは、メルキゼデク神権であり、これは
ヨハネによって、1829年にジョセフ・スミスに回復された。印を押された者とは、メルキ
ゼデク神権の大祭司の職に召された者のことである。ジョセフ・スミスが神権を受けたア
メリカ大陸から見ると、ヨハネは東の国の出身である。
つまり、アロンのメシアは、バプテスマのヨハネで、イスラエルのメシアは、黙示者のヨ
ハネであるという解釈もできる。
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