ネルソン大管長が手術中に受けた啓示

ネルソン大管長は教会の使徒に召される前は心臓外科医をしていた。
ネルソン大管長が手術中に受けた啓示について総大会で語っている。

2003年4月の総大会  土曜午前の部会
祈りがもたらす穏やかな力

祈りに関する個人的な経験

たいていの人は祈りがもたらす穏やかな力を味わった経験があります。わたしはユタ州南
部出身のステーク祝福師のおかげで、そういう経験をしました。初めて診察室で彼に会っ
たのは40年以上前のことで、当時、心臓外科手術はまだ始まったばかりでした。聖徒と呼
ぶにふさわしいこの男性は心臓の障害で大変苦しんでおり、助けを懇願していました。心
臓の弁さえ治療すればよくなると考えていたのです。

精密検査の結果、障害のある弁が二つあることが分かりました。外科手術で片方は治せま
すが、もう一方は無理でした。それで、手術はしない方がよいということになり、この知
らせを聞いて彼は大いに落胆しました。

その後もこの祝福師は何度かやって来ましたが、同じ結論を伝えることしかできませんで
した。ついに彼はわらにもすがる思いで、感情を高ぶらせながら言いました。
「ネルソン先生。わたしは助けを祈り求め、あなたのもとへ導かれて来ました。主はどう
やってその弁を治せばよいかわたしには示してくださらないでしょう。しかしあなたにな
らお示しになれるはずです。あなたなら理解できるからです。もし手術してくださるなら、
王はあなたにどうすればよいか教えてくださいます。どうかわたしに必要な手術をしてく
ださい。そしてあなたに必要な助けを祈り求めてください。」

この兄弟の強い信仰はわたしの心を大きく揺さぶりました。その願いをまた拒むことなど
できませんでした。二人で熱心に祈った後、わたしは手術を行うことに同意しました。一
生を決める重要な日に備えて何度も何度も祈りました。しかし三尖弁の逆流をどう処置す
ればよいのか答えは出ませんでした。手術が始まってからでさえ、助手に「どうするつも
りですか」と聞かれました。「分かりません。」そう答えました。

手術が始まりました。一つ目の弁の狭窄を取り除いてから、二つ目の弁を調べました。弁
膜自体に傷はありませんが、拡張して正常に機能していませんでした。

よく調べているうちに、一つのメッセージが心にはっきりと聞こえてきました。「リング
を縮小しなさい。」わたしはそのメッセージを助手に伝えました。「リングをうまく縮小
して正常な大きさにでぎれは、弁膜組織は十分残ります。」

でも、どうすればいいのでしょう。ウエストの大きいズボンをベルトで調節するような具
合にはいきませんし、馬に鞍くらを着けて腹帯で締めるようにもいきません。そのときで
す。鮮明なイメージが心に浮かび上がってきて、どのように縫い合わせればよいのか、プ
リーツやタックをどこにつければよいのか、どのように仕上げればよいのかが分かったの
です。そのとき心に浮かんだイメーシを今でも思い出すことができます。どこを縫い合わ
せるべきかを示す8点線まで完全に覚えています。手術は心に描いたとおりに終了しました。
弁の調子を試してみましたが、血液の漏れは驚くほど減少していました。

助手は言いました。「奇跡です。」
わたしは答えました。「祈りに対する答えです。」

患者の快復は速く、満足のいくものでした。この出来事は、ただこの兄弟が奇跡的に助か
っただけではなく、同じような症状を抱える人々にも手術で助かる道が開かれたことを意
味しました。わたしには何の功績もありません。信仰深い祝福師と、祈りにこたえてくだ
さった神こそたたえられなければなりません。信仰深いこの男性はその後何年も生き、そ
れから永遠の栄光を受ける場所へ召されました。




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