ギリシャ神話に「パンドラの箱」という、物語があります。
天上の神々は、人類最初の女性を作り、パンドラと名付けました。
最高神であるゼウスは、彼女を地上に送るとき、彼女にある箱を持たせました。
ゼウスは、彼女に、その箱は絶対に開けてはいけないと言いました。
しかし、彼女は好奇心に負けて、その箱を開けてしまいました。
すると、中から疫病、犯罪、欠乏、悲しみなど、あらゆる災いが飛び出して、
地上に広まってしまいました。
慌てて箱を閉めたのですが、ほとんどが出てしまい、
箱の中には「希望」だけが残されていました。
聖書の中の創世記にも似たような話が載っています。
最初の女性エバが、食べるなと言われていた木の実を、
アダムと一緒に食べてしまいました。
その結果、人類と地球に堕落が起きました。堕落は人類に災いをもたらしました。
人類は病気なったり、歳を取ったりして、死ぬ体になりました。
また、肉体的欲求に悩まされるようになり、罪を犯しやすくなりました。
地球にも変化が起こりました。
自然災害が起きたり、危険生物がいたり、食糧を苦労して手に入れなければならない
状態になりました。
しかし、パンドラの箱のように、災いだけでなく、同時に希望も与えられました。
この場合の希望とは、キリストの福音のことです。
アダムとエバがエデンの園から追放された後に、キリストの福音が与えられました。
キリストの福音とは、キリストの贖いにより、私たちに祝福が与えられることです。
この祝福は、この世で与えられるものと、次の世で与えられるものがあります。
この世で与えられる祝福は、聖霊の賜物です。
これは、聖霊を常に伴侶にできるというものです。
このことによって、試練や苦難が多いこの世で、神様から直接、慰め、癒し、平安、
導き、助け、力を受けることができます。
自分に起こる、あらゆることに、神様の御業と愛を感じることができるようになり、
試練や苦難を成長のかてとすることができます。
次の世で与えられる祝福は、不死不滅と永遠の命です。
不死不滅とは、病気になったり、歳を取ったり、死んだりしない完全な体に復活する
ことです。
永遠の命とは、神様の元に帰り、永遠に一緒に住むことができることです。
元々、創世記には、楽園追放後にキリストの福音が与えられたことが書いてありました。
しかし、現在の創世記からは、抜き取られています。(1ニーファイ13:26-35)
抜き取られ部分はジョセフ・スミスによって回復されました。
それは、モーセ書の5章と6章にしるされています。
モーセ書のこの部分を短くまとめるとこうなります。
ある日、天使がアダムに現れて、キリストが犠牲になられることを説明しました。
そして、悔い改めと神様に祈ることを求めました。
また、聖霊がアダムに降りてきて、堕落と贖いの意味について説明しました。
堕落によって、善悪の知識を得、子孫を持つことができ、この世で喜びを受ける
ことができるようになりました。
贖いによって、復活して、再び神に会えるようになります。
キリストを信じて、罪を悔い改める者は救われます。
バプテスマを受けるならば、聖霊の賜物を受けます。
すべてのものをキリストの名によって求めれば、何でも求めるものは与えらます。
そして、アダムは聖霊に連れ去られ、水の中に運ばれ、水に沈められ、
そして水から連れ出されました。
このようにして、彼はバプテスマを受け、聖霊の賜物を受けました。
以上がモーセ書に書かれていることのまとめでした。
パンドラの箱に、災いと希望がセットで入っていたように、
神様の計画にも、堕落と贖いがセットで入っていました。
堕落は余計な出来事ではなく、私たちの成長に必要不可欠なものでした。
創世記から重要な記録が抜き取られているので、
他のキリスト教会では、アダムとエバが余計なことをしたために、
予定外にキリストの贖いが必要になったと捉えています。
真理が回復された当教会では、地球が作られる前から、
キリストの贖いが計画されていたことが知らされています。
堕落がなければ、贖いは必要ありません。
堕落は当初から予定されていました。
ただ、天のお父様は事前に私たちやサタンたちには知らせていなかっただけでした。
そうとは知らず、サタンは神様の計画をダメにしようとエバを誘惑して、
禁断の実を食べさせましたが、結局、計画通りに動いてしまったのです。
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参照聖句
モーセ5章
05 主は彼らに、主なる彼らの神を礼拝し、主へのささげ物として群れの初子をささげる
ようにと戒めを与えた。アダムは主の戒めに従順であった。
06 多くの日の後、主の天使がアダムに現れて言った。『あなたはなぜ主に犠牲をささげ
るのか。』そこで、アダムは彼に答えた。『わたしには分かりません。ただ、主がわ
たしに命じられたのです。』
07 すると、天使は語って言った。『これは、御父の、恵みと真理に満ちている独り子の
犠牲のひながたである。
08 したがって、あなたが行うすべてのことを御子の御名によって行いなさい。また、悔
い改めて、いつまでも御子の御名によって神に呼び求めなさい。』
09 その日、御父と御子のことを証する聖霊がアダムに降り、そして言った。『わたしは
初めから、また今から後とこしえに、父の独り子である。あなたは堕落したので、贖
いを受けることができる。全人類、まことにそれを望むすべての者も同様である。』
10 その日、アダムは神をたたえ、満たされて、地のすべての氏族について預言し始めて
言った。『神の御名がたたえられるように。わたしの背きのゆえに、わたしの目は開
かれた。わたしはこの世で喜びを受け、再び肉体にあって神にまみえるであろう。』
11 彼の妻エバは、これらすべてのことを聞き、喜びながら言った。『わたしたちの背き
がなかったならば、わたしたちは決して子孫を持つことはなく、また善悪も、贖いの
喜びも、神がすべての従順な者に与えてくださる永遠の命も、決して知ることはなか
ったでしょう。』
14 主なる神は至る所で聖霊によって人々に呼びかけ、悔い改めるように命じた。
15 また、『御子を信じて自分の罪を悔い改めるすべての者は救われる。しかし、信じな
いで悔い改めないすべての者は、罰の定めを受ける。御言葉は堅い定めとして神の口
から出たので、それらは成就しなければならない』と告げた。
モーセ6章
48 エノクは彼らに言った。「アダムが堕落したので、わたしたちは存在しています。そ
して、アダムの堕落によって死が生じ、わたしたちは不幸と災いを受ける者とされて
いるのです。
49 まことに、サタンは人の子らの中にやって来て、彼を拝むように誘惑します。そして、
人々は肉欲や官能におぼれ、悪魔に従う者となって、神の御前から締め出されていま
す。
50 しかし、神はわたしたちの先祖に、すべての人が悔い改めなければならないことをお
知らせになりました。
51 神は御自身の声によって、わたしたちの先祖アダムに呼びかけて言われました。『わ
たしは神である。わたしは世界を造り、また人々を、彼らが肉体にある前に作った。』
52 神はまた彼に言われました。『あなたがわたしに心を向け、わたしの声を聴き、そし
て信じ、あなたのすべての背きを悔い改め、まことに水の中で、恵みと真理に満ちて
いる独り子、すなわちイエス・キリストの名によって、すなわちその名によって人の
子らに救いが及ぶ、天下に与えられる唯一の名によってバプテスマを受けるならば、
あなたは聖霊の賜物を受けるであろう。すべてのものをその名によって求めれば、何
でも求めるものはあなたに与えられるであろう。』
53 わたしたちの先祖アダムは、主に語って、『人が悔い改めて水の中でバプテスマを受
けなければならないのは、なぜでしょうか』と尋ねました。すると、主はアダムに、
『見よ、わたしはエデンの園でのあなたの背きを赦した』と言われました。
54 このことから、『神の御子は最初のとがを贖われ、それによって両親の罪がその子供
たちの頭に帰することはあり得ない。彼らは世の初めから罪がない』という言葉が人
々の間に広まりました。
55 主はアダムに語って言われました。『あなたの子供たちは罪のうちに宿されるので、
まことに彼らが成長し始めると、彼らの心の中に罪が宿る。そして、彼らは善を尊ぶ
ことを知るために、苦さを味わうのである。
56 そして、善悪を知ることが彼らに許される。それゆえ、彼らは自ら選択し行動する者
である。そこで、わたしはあなたに別の律法と戒めを与えた。
57 それゆえ、あなたの子供たちに次のことを教えなさい。すなわち、どこにいる人でも
すべての人が、悔い改めなければならない。そうしなければ、決して神の王国を受け
継ぐことはできない。清くない者はそこに住むことはできない。すなわち、神の前に
住むことができないからである。アダムの言葉で、聖なる人とは神の名である。また、
神の独り子の名は、人の子、すなわちイエス・キリストであり、時の中間に来る義に
かなった裁き主である。
58 さて、わたしはあなたに戒めを与える。あなたの子供たちに次のことを率直に教えな
さい。すなわち、
59 背きによって堕落が生じ、その堕落が死をもたらす。あなたがたは水と血と、わたし
が造った霊とによってこの世に生まれ、ちりから生けるものとなったので、まことに
あなたがたは、水と御霊によって再び天の王国に生まれ、血によって、すなわちわた
しの独り子の血によって清くされなければならない。それは、あなたがたがすべての
罪から聖められ、この世において永遠の命の言葉を享受し、来るべき世において永遠
の命、すなわち不死不滅の栄光を享受するためである。
60 それは、あなたが水によって戒めを守り、御霊によって義とされ、血によって聖めら
れるからである。
61 それゆえ、天の記録、慰め主、不死不滅の栄光の平和なること、すべてのものの真理、
すべてのものを生かし活気づけるもの、すべてのものを知っており、知恵と憐れみと
真理と公正と公平によって一切の権威を持つものが授けられて、あなたがたの内にと
どまる。
62 さて見よ、わたしはあなたに言う。これが、時の中間に来るわたしの独り子の血によ
ってすべての人に与えられる救いの計画である。
63 見よ、すべてのものにはそれに似たものがある。すべてのものは、現世にかかわるも
のも霊にかかわるものも、わたしのことを証するために創造され、造られている。す
なわち、上の天にあるもの、地の上にあるもの、地の中にあるもの、地の下にあるも
の、上のものも下のものも、すべてのものがわたしのことを証するのである。』
64 このように主がわたしたちの先祖アダムと語られたとき、アダムは主に叫び求めまし
た。すると、彼は主の御霊に連れ去られ、水の中に運ばれ、水に沈められ、そして水
から連れ出されました。
65 このようにして、彼はバプテスマを受け、神の御霊が彼に降られました。このように
して、彼は御霊によって生まれ、内なる人において生かされた者となったのです。
66 そして、彼は天からの声が告げられるのを聞きました。『あなたは火と聖霊によって
バプテスマを受けた。これは今から後とこしえに、父と子の証である。
67 あなたは、永遠から永遠にわたって、日の初めもなく年の終わりもない者の位に従う
者である。
68 見よ、あなたはわたしにあって一つであり、神の子である。このようにして、すべて
の者はわたしの子となることができるのである。アーメン。』」
2ニーファイ2章
22 アダムがもし背かなかったならば、彼は堕落をせずにそのままエデンの園にいたであ
ろう。そして創造されたすべてのものは、創造された後の状態そのままで存続したに
違いない。また、すべてのものはとこしえに存続し、終わりがなかったに違いない。
23 そして、アダムとエバは子供を持たなかったであろう。また、不幸を知らないので喜
びもなく、罪を知らないので善も行わず、罪のない状態にとどまっていたであろう。
24 しかし見よ、すべての物事は、万事を御存じである御方の知恵によって行われてきた。
25 アダムが堕落したのは人が存在するためであり、人が存在するのは喜びを得るためで
ある。
26 そして時が満ちると、人の子らを堕落から贖うためにメシヤが来られる。人の子らは
堕落から贖われているので、すでにとこしえに自由となり、善悪を知るようになって
いる。彼らは、神が下された戒めによって、大いなる終わりの日に律法に伴う罰を受
けるほかは、思いのままに行動することができ、強いられることはないのである。
27 そのため、人は肉においては自由であり、人のために必要なものはすべて与えられる。
そして人は、すべての人の偉大な仲保者を通じて自由と永遠の命を選ぶことも、ある
いは悪魔の束縛と力に応じて束縛と死を選ぶことも自由である。悪魔は、すべての人
が自分のように惨めになることを求めているからである。
1ニーファイ13章
26 そして、これらが小羊の十二使徒の手によってユダヤ人から異邦人に伝わってから、
あなたには、ほかのあらゆる教会にも増して大きな忌まわしい教会が設立されるのが
見える。見よ、その教会の者たちは、分かりやすくて大変貴い多くの部分を小羊の福
音から取り去り、また主の多くの聖約も取り去ってしまったからである。
27 彼らがこれをしたのは、主の正しい道を曲げて人の子らの目をくらまし、その心をか
たくなにするためである。
28 したがってあなたには、あの書物があの大きな忌まわしい教会の手を経て出て来てか
らは、神の小羊の書物から分かりやすくて貴い多くの部分が取り去られていることが
分かる。
29 そして、これらの分かりやすくて貴い部分が取り去られてから、この書物は異邦人で
あるすべての国民に伝わる。まことに、それが囚われの身から逃れた異邦人とともに、
あなたの見た大海を渡って、異邦人であるすべての国民に伝わった後、非常に多くの
人がつまずき、まことにサタンがその人々を大いに支配する力を持つほどになるのが
見える。それは、神の小羊にある明瞭さによって人の子らに理解しやすかった、分か
りやすくて貴い多くの部分が、その書物から取り去られてしまったため、すなわち子
羊の福音からこれらのことが取り去られてしまったためである。
32 また主なる神は、異邦人が恐ろしい盲目の状態にとこしえにとどまることも許されな
い。あなたが見る彼らのその状態は、小羊の福音の分かりやすくて大変貴い部分があ
の忌まわしい教会によって差し止められたためである。そして、あなたはその教会が
設立されるのを見たのである。
34 そして、主の天使はわたしに言った。「神の小羊は次のように言われる。『見よ、わ
たしはイスラエルの家の残りの者、すなわちわたしが話しているこの残りの者とは、
あなたの父の子孫であるが、彼らに裁きをもって報いを加え、異邦人の手によって彼
らを悩ました後、また娼婦の母であるあの忌まわしい教会が、小羊の福音の大変分か
りやすくて貴い部分のため、すなわちその部分があの忌まわしい教会によって差し止
められたために、異邦人が甚だしくつまずいた後、』小羊はこう言われ、さらに『そ
の日わたしは異邦人を憐れみ、力をもって、わたしの福音の中の分かりやすくて貴い
多くの部分を彼らに明らかにしよう』と小羊は言われる。
35 見よ、小羊は言われる。『わたしはあなたの子孫にわたし自身を現し、わたしが教え
る分かりやすくて貴い多くのことを記させる。そして、あなたの子孫が滅ぼされ、ま
た不信仰に陥り、またあなたの兄たちの子孫もそうなった後、まさにこれらのことは
隠されて、小羊の賜物と力によって異邦人にもたらされる。』
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