世間一般の人が求める神仏的なものといえば、
占い、風水、姓名判断、パワースポット、おみくじ、お守り等である。
それは、恋愛、結婚、妊娠、安産、子育て、
お金、仕事、勉強、健康、安全を得るためである。
一方、当教会の信者が求めるものは何だろうか。
何を得たくて、信仰をしているのだろうか。
世間一般の人は、物質的なものを求める。
当教会の信者は精神的なものを求める。
精神的なものは死後の世界に持っていける。
物質的なものは死後の世界に持っていけない。
世間一般の人は、良い学校を出て、大きな会社に就職し、
理想の人と結婚し、立派な家に住み、
衆望を集め、豊かな財産に恵まれ、
誉れ高き勲章を得ることを求める。
これらは、死後の世界に持っていけない。
当教会の信者が大切するのは、
どれだけの経験と感動をなしえたかということ。
それぞれの心に刻まれた経験と感動は、
どのようなことがあっても決して失われることがない。
また、いくら社会で成功しても、社会的な地位は、
次の世界には持っていけない。
一方、家族の関係は、聖約の元に永遠に続けることができ、
次の世界に持っていける。
・幸福とは何なのか
・幸福とは、人が求めるものを得ることができることだと思う。
人によって、求めるものが違うので、幸福はまちまちである。
しかし、だれでも幸福になりたいという気持ちは持っている。
・当教会の信者でも、この世に生きていくからには、物質的なものも求める。
祈るときも、家族や仲間の健康や安全を願う。それは悪いことではない。
過度に物質的なものに執着することが良くないのである。
・それが酷い場合には依存症になり、人を苦しめる。
依存症には、薬物、アルコール、ギャンブル、不適切な性行為、
ポルノグラフィー、摂食障害などがある。
・人が求めるもの
・根本的なものは、命(健康)、自由、財産である。
・2次的なものは、平和(安全)、友愛、平等である。
平和を求めるのは、命、自由、財産を守りたいからだし、
友愛を求めるのは、お互い助け合って、命、財産を守りたいからだし、
平等を求めるのは、自由、財産の不公平を無くしたいからだ。
・生物としての欲求(生理的欲求)
食欲、性欲、睡眠欲、排泄欲、空気・水が欲しい、
健康・安全が欲しい(暑さや寒さを避けたい、怪我を避けたい)
・人間としての欲求(社会的欲求)
集団に加わりたい、仲間との関係を良好に保ちたい、
恋愛・結婚したい、
お金・財産が欲しい、
仕事・勉強でうまくいきたい
地位・名誉が欲しい、
他人に認められたい、褒められたい、
他人よりも優れていたい、尊敬されたい、
知的好奇心を満たしたい、何かを創造したい、
美しいものを見たり、心地よい音を聴くなどの感覚の快楽を味わいたい
世の中に貢献したい、愛する人を気遣い守りたい
・真(科学、哲学)、善(宗教)、美(芸術)を求めるということもある。
・行動の分析
以下に挙げる行動には、上記の複数の欲求が絡んでいる。
それらについて分析してみると。
・美しい容姿のために整形を繰り返す
他人に認められたい、褒められたい、異性を獲得したい
・衣食住が保証されたい
命、安全、健康を維持する。
高級な衣服や住居は社会的地位も表す。
・国連は各国の幸福度ランキングを出しているが、
その指数は次の項目からなっている。
・所得 1人当たりの国内総生産
・健康 健康寿命
・福祉 社会的支援 困難時に信頼できる人がいるか
・自由 人生選択の自由度
・寛容 他者へ施しをしているか
・正直 社会の腐敗度 政府や企業における汚職のなさ
*2019年の報告では、日本は156か国中58位だった。
指数別では、所得が24位、健康が2位、福祉が50位、
自由が64位、寛容が92位、正直が39位だった。
・徳と罪
徳は幸福を増進させ、罪は幸福を阻害する。
・7つ罪とそれに対する徳
・暴食 <-> 節制
・色欲 <-> 純潔
・強欲 <-> 救恤
・憤怒 <-> 慈悲
・怠惰 <-> 勤勉
・傲慢 <-> 謙譲
・嫉妬 <-> 忍耐
・七つの社会的罪
・理念なき政治
・労働なき富
・良心なき快楽
・人格なき学識
・道徳なき商業
・人間性なき科学
・献身なき信仰
・幸福を阻害するものの例
・過去の出来事に対する怒りが人を苦しめる。
許すことによって苦しみから解放される。
・将来に対する不安
自分にできる備えはできる限りするが、
どうにもできないことは、忘れる。
当教会の信者であれば、神様に委ねる。
・孤独と絶望
人は自分がしている仕事に社会貢献としての意味が見いだせないとき、孤独を感じ絶望する。
孤独と絶望は幸福の反対のものである。
・刑務所の囚人
ロシアのある刑務所では囚人に対して、次のような労働をさせていた。
まず、ある樽の中の水を、バケツで、別の樽に移す。
移し終わったら、その樽の水を元の樽に移し戻す。これを繰り返す。
これ以外は、虐待もなく待遇のよい刑務所だった。
しかし、多くの自殺者が出た。
・水俣湾の漁師
水俣湾ではチッソという会社が汚染物質を海に流したため、海の魚が汚染され、
その魚を食べた人が、重い病気にかかった。
チッソは、漁師の生活の補償をするため、漁師に魚をとってもらい、それを買い取った。
そして、その魚はコンクリート詰めにされ廃棄された。
生活費については問題がなくなったが、多くの漁師は漁師の仕事を辞めた。
・幸せについての詩
・感謝
しあわせだから、感謝するんじゃなくて、
感謝するから、しあわせになる。
神様の愛を感じるから、お祈りするんじゃなくて、
お祈りするから、神様の愛を感じる。
・長いスプーン
地獄へ行ってみた。
そこには、暖かい大量のスープがあった。
しかし、それをすくうためのスプーンは、
柄の長さが2メートルもあった。
スープをすくっても自分の口には運べないので、
イライラし、争いごとばかりしていた。
天国へ行ってみた。
そこにも、暖かい大量のスープがあった。
そして、それをすくうためのスプーンも、
同じく柄の長さが2メートルもあった。
スープをすくって、お互いの相手の口に運んだので、
みんなは満腹でしあわせだった。
・幸せについての格言
・幸せは欲しいものを全部手に入れることではなく、
持っているもの全てを楽しむこと。
・幸せが外側から来ることを期待していては決して幸せにはならない。
その逆で、何か外から幸せが来ることを待てば待つほど、もっと悲しくなる。
それを得られないから悲しい。
それを得たとしても、それを失うのが不安で悲しい。
・幸せは選択。結果ではなく。
何ごともあなたを幸せにはしない。あなたが幸せであることを選ぶまでは。
誰もあなたを幸せにはしない。あなたが幸せでいることを決めるまでは。
あなたの幸せはあなたにやってくるものではなく、
それはあなたの内面からだけ来ることができる。
・三大幸福論 ヒルティ(1891年) アラン(1925年) ラッセル(1930年)
・ヒルティの幸福論
・キリスト教による幸福を説いた。
当教会の信者が求める幸福と重複するので内容は省略する。
・アランの幸福論
・自分が幸福になることが世の中にとっても良いこと
・不幸にはかならず原因がある。
原因を冷静に見つめることで解決する。
・自分を不機嫌にするものを気にしない。
・体の疲れが原因なら体を休める。
深呼吸、体操、マッサージ、伸び、あくび、微笑む
・幸せだから笑うのではない、笑うから幸せなのだ。
幸福になろうと行動するべき。
・感情をコントロールする。
意志の力で感情に打ち勝つ。
悲観主義は感情で、楽観主義は「意志」による。
意識的に発想を変える。
例)雨が降って嫌だ→いいお湿りだ。
今を幸福だと思うこと。
・幸福になりたいと思ったら、そのために「努力」しなければならい
喜びは「行動」とともにやってくる
・自分から率先してやる
幸福は他人から与えられるのでなく、自分で作り出すもの。
・人との付き合いを改善する。
・礼儀正しさ
感情をコントロールし、相手に合わせる(社交ダンスのように)
自然な物腰、処世術を身に着ける(習慣になる)
・信頼
他人が不幸であっても、同情するのでなく、快活に付き合っていく。
・自分の不幸を他人に話さない。
・他人に言われた悪口を気にしない。
・他人を束縛しない。
・自分のことを考えず、遠くを見る。広々とした視野を持つ。
・相手のありのままを受け入れる。
・幸福は義務である。
自分が幸福になることが、社会や他人に対しても幸福になる。
自分の中に幸福がなければ、人に幸福を与えることはできない。
幸福は伝搬する。
・ラッセルの幸福論
・不幸の原因 = 自己没頭
・罪の意識の取りつかれている
小さいころに植え付けられた道徳から解放されない。
・ナルシシズム
自分を賛美し、人からも賛美されたい。
・誇大妄想
権力を求め、愛されるより恐れられることを望む。
・不幸を退ける方法
・究極のポジティブ・シンキング。
・不幸自慢をしたり、不幸を受け入れるのでなく、
新しい生きがいを見つけたり、新しい趣味を持つ。
自分自身に捕らわれるのでなく、外に目を向ける。
・自分がいちばん望んでいるものが何であるかを発見して、
徐々にこれらのものを数多く獲得していく。
・望んでいるもののいくつかを、本質的に獲得不可能なものとして
上手に捨てていく。
・自分の欠点に無関心になる。
だんだん注意を外界の事物に集中するようにする。
・思考をコントロールする
不幸の要因別の対処方法
・悲観主義
今できる事をする。
・競争
人を比較するのでなく、やっていることを楽しむ。
・退屈と興奮
刺激を求めすぎるのでなく、退屈を楽しむ。
・疲れ
精神的な不安が原因。
宇宙全体からみれば今の不安は大したことでない。
・ねたみ
他者と比較を止める、今の状態を楽しむ。相手を褒める。
・罪の意識
罪悪感の原因を分析する。
・被害妄想
自分の動機は利他的でないと自覚する。
自分の美点を過大評価しない。
他人が自分に興味を寄せてくれると期待しない。
他人が自分を迫害しようとしていると考えない。
・世評に対するおびえ
他人の批判を無視する。
・熱中すると幸福になれる。
成果を出し、評価される。仕事だけでなく趣味も。
・気持ちのバランスを取る。
幸福の源泉と、それぞれの注意点
・熱意
熱意を外に向けるが、行き過ぎない。
行き過ぎると、依存症になり、健康、能力、収入、妻子への義務を害する。
・愛情
一方的でなく、愛情を与え合う。
愛情を与えられると、自信を持つ。
自信をもって物事をするとうまくいく。
・家族
親が子供に愛情を与え過ぎると過干渉になる。
子供の人格に対して尊敬の念を抱く必要がある。
・仕事
技術の行使と建設性の観点を持つ。
・私心のない興味
趣味はわざわざ探すものではなく、
自然にやりたいと湧き上がってくるものにする。
義務的にならないようにする。
趣味の効用
・気晴らしになる
・釣り合いの感覚を保つ(視野が広がる)
・悲しみをいやす
・努力とあきらめ
幸福には努力が必要だが、そのために、大切なものを犠牲にするなら、
それをあきらめる。
・他者と関わり、世界とつながる
・客観的な生き方
自己没頭するのではなく、興味と愛情を外に向けて広げる。
そのことによって、人から好意を抱いてもらう。
双方向の関係を築くことによって幸福になれる。
・人格内部との統合
意識している事と無意識に思い込んでいる事が異なってしまうと苦しむ。
自分の欲求と社会からの要求を明確にして統合する。
例)夫の暴力を受けていて、離婚したい。
離婚は良くないという社会的圧力があり、離婚できない。
この場合は自分の欲求を優先して離婚すべきだと自分を納得させる。
・社会との統合
社会とつながっている。
宇宙的な視点を持つ。
・全人類が仲間だと実感する。
・永遠の視点を持つことにより、自分と子孫を結び付け、
将来世代の幸せを考えることができる。
例)平和運動を行うことになる。
・当教会の信者が求める幸福とは
・この世の人生という近視眼的観点から離れ、
この世の人生を超えた長時間観点で考える。
そのために備える。
・逆に、この現世でしか得られないものを考える。
この世に生まれる前の天界では得られないものがあるから、現世に来た。
前世では得られなかった現世のものは何か。
それは、肉体を持つこと、神様と離れて暮らすこと、人の親になること。
真の幸福は肉体的、物質的なものではなく、
霊的、精神的なものにあると思われがちだが、
神様は肉体的、物質的なものを経験させるために、
この世に送ってくださった。
肉体的、物質的なものを正しく使って得られるものに真の幸福の鍵がある。
純潔や知恵の言葉などの戒めは、肉体的、物質的なものを正しく使うための
取り扱い説明書のようなものである。
・御父のお与えになる祝福はすべてわたしたちの幸福を目的としている。
福音の教え、戒め、神権の儀式、家族関係、預言者、神殿、
美しい創造物、逆境を経験する機会などがある。
・キリストによる贖いは、わたしたちが幸福になるためにある。
私たちの究極的な目的は、不死不滅と永遠の生命を得る事。
キリストによる贖いは、これを得させるために行われた。
不死不滅とは、復活によって完全な肉体を得ることであり、
永遠の生命とは、再び神様とともに住み、
神様のような資質を身に着けることである。
かつて、神様は人間であったが、神様になった。
私たちも、神様のようになり、霊の子供たちを導くようになる。
神様の資質を得ることが、私達の究極の目的である。
・真の幸福に至る唯一の道は福音に従った生活を送ること。
戒めを守り、強くなれるよう祈り求め、罪を悔い改め、
健全な活動に参加し、有意義な奉仕を行おうと努力する。
そして、霊的成長、奉仕、勤勉からもたらされる
尽きることのない喜びを得る。
・自分が幸せになることは、周囲の人も幸せにする力がある。
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