神権会のレッスン
貧しい人や困っている人を助ける
ダリン・H・オークス管長
大管長会第一顧問
2022年10月 土曜午前の部会
【導入】
・神は助けが必要な人々を助けるために多くの組織や個人を鼓舞している。
・教会は、助けの必要な人々に仕えることに力を入れており、
その取り組みでほかの人々と協力することに力を入れている。
【お話のまとめ】
・助けの必要な人々を助けることは、宗教における共通の原則だ。
・教会が行っている支援の例
・世界188か国で、2021年の支援額は、ほぼ10億ドル、
会員のボランティアはのべ600万時間以上。
・断食献金
毎月の初めに断食し、助けを必要としている人々を助けるために、食べなかった食
事に相当する金額を献金する。世界中で人道支援や奉仕に寄付をしている。
・竜巻や地震などの自然災害による破壊と混乱に苦しんでいる人々を救済
・信教の自由への支援 ・学校、短大、大学
・人種差別やそのほかの偏見との闘い ・病気の予防法と治療法の研究
・障害のある人の支援 ・音楽と博物館などの組織への支援
・道徳的また物理的環境の改善
・教会外の人々との協力の例
・国連世界食糧計画:寄付
・赤十字社と赤新月社:自然災害や紛争に対応し、救援物資の提供
・カトリック救援事業会 ・ムスリム・エイド
・ウォーター・フォア・ピープル ・イスラエイド
・教会外の人々が行っている支援の例
・カンドハリ夫妻は、食べ物のない人に食物を提供した。
・ザヘ・サルール氏は医療専門家を組織し、シリア内戦など様々な危機の中で、
一般市民に医療を提供した。
・ガブリエル氏は難民の中にいるほかの教師たちを組織し、避難生活の中で、
何千人もの小学生の子供たちに学習の機会を提供した。
・自ら進んで善を行う(教義と聖約58:26-28)
見よ、わたしがすべてのことを命じるのは適切ではない。すべてのことを強いられて
行う者は怠惰であって、賢い僕ではない。まことに、わたしは言う。人は熱心に善い
ことに携わり、多くのことをその自由意志によって行い、義にかなう多くのことを成
し遂げなければならない。人は自らの内に力があり、それによって自ら選択し行動す
る者だからである。そして、人は善を行うならば、決してその報いを失うことはない。
・人に仕えることは、神に仕えること(モーサヤ2:17)
あなたがたが同胞のために務めるのは、とりもなおさず、あなたがたの神のために務
めるのである。
・教会外の人々による支援も必要(Orson F. Whitney)
神は、御自分の大いなる驚くべき業を成し遂げるために、複数の民を使っている。
一つの民には、それは規模が大きすぎ、難しすぎる。
・キリストは世のすべての人を照らす光。これにより人は、神と人に仕えるように啓発さ
れる。(モロナイ7:13-18)
善を行い、神を愛し、神に仕えるように誘い、促すものはすべて、神の霊感を受けて
いるのである。見よ、善悪をわきまえることができるように、すべての人にキリスト
の御霊が与えられているからである。さて、その判断の方法をあなたがたに教えよう。
善を行うように誘い、またキリストを信じるように勧めるものはすべて、キリストの
力と賜物によって送り出されているのである。さて、わたしの同胞よ、あなたがたは
判断する際に用いる光、すなわちキリストの光について知っている。
・義にかなった民の模範に従う(アルマ1:30)
このようにして、彼らは裕福な暮らしの中で、着る物のない者や飢えている者、渇い
ている者、病気の者を追い払うことがなかった。また、彼らは老いた者にも若い者に
も、束縛された者にも自由な者にも、男にも女にも、また教会員であるなしの区別な
く、すべての人に物を惜しまなかった。
・多くの善いことを行うように、神が多くの組織や個人を鼓舞している。
わたしたちが、ほかの人々によって行われる善い行いを認め、
支援する時間と手段があるときにそれを支援するべきだ。
【補足情報】
・日本での支援の例(リアホナ2021年3月号)
・熊本:豪雨被害者への支援
・沖縄:セカンド・ハーベスト・ジャパンと協力して生活困窮者に食料を配る。
・埼玉:日本赤十字社と協力して、献血活動
・シオン
シオンとは心の清い状態であり、このような人の集まり、つまり民のことである。
「主はその民をシオンと呼ばれた、彼らが心を一つにし、思いを一つにし、義の
うちに住んだからである。そして、彼らの中に貧しいものはいなかった。」
(モーセ7:18)
「心の清い者、これこそシオンである。」(教義と聖約97:21)
シオンという言葉には、心の清い人々が住む所という意味もある。
エノクとその民が築き、天に取り上げられた町はシオンと名付けられた。
「エノクは、義をもって神の民に教えを説き続けた。そして、その生涯に、彼は
一つの町を建て、それは聖なる都、すなわちシオンと呼ばれた。彼はまことに、
時がたってシオンが天に取り上げられるのを見た。エノクの生涯におけるシオン
の時代は、合わせて365年であった。エノクとそのすべての民は神とともに歩
み、彼はシオンの中に住んだ。それから、シオンはなくなった。神が御自身の懐
にそれを迎え入れられたからである。そのことから、『シオンは消え失せた』と
いう言葉が広まった。」(モーセ7:19,21,68,69)
天に取り上げられたこのシオンは、福千年の時代にこの世に戻ってくる。
そして、やがて建てられる新エルサレム(シオン)に合流する。
ニーファイ人の中にも、キリストの降臨後166年の間、シオンの時代があった。
「彼らは互いに教え互いに仕えあった。そして、彼らはすべてのものを共有し、
皆、互いに公正に振る舞った。」(3ニーファイ26:19)
「(キリスト誕生から)第36年には、民はニーファイ人もレーマン人もともに
皆、地の全面で主に帰依した。そして、彼らの中にはまったく争いがなく、論争
もなく、皆、互いに公正に振る舞った。また、彼らはすべてのものを共有したの
で、物持ちも貧しい者も、束縛された者も自由な者もなく、皆自由であり、天の
賜物にあずかる者となった。」(4ニーファイ2,3)
初期のキリスト教会でも、シオンの状態にあった。
「信者たちはみな一緒にいて、いっさいの物を共有にし、資産や持ち物を売って
は、必要に応じてみんなの者に分け与えた。」(使徒行伝2:44,45)
「信じたものの群れは、心を一つにし思いを一つにして、誰一人その持ち物を自
分のものだと主張するものが無く、いっさいの物を共有にしていた。」
(使徒行伝4:32)
シオンは将来この地上に築かれる。
シオンを築くということは、あらゆる時代の神の民が関心を示してきたことであ
る。各時代の預言者たちはこの時代を予言した。しかし、彼らはそれを見ること
なく世を去った。わたしたちは、この時代、すなわち時の満ちる神権時代に生ま
れ、シオンを築くことに加わる。
新エルサレムは福千年に備えて建設される最初のシオン共同体となる。ミズーリ
州インデペンデンスに建設される。新エルサレムはすべてのシオンを管理する中
心地、首都である。新エルサレムからシオン共同体の建設が全世界に広がる。シ
オンのステークを通じてシオンの社会は備えられ強められる。シオンはまず南北
アメリカで発展し、全世界に満ちる。
主の再臨の前の大きな艱難から主の民を守るために、シオンが設けられる。
神は聖徒をシオンに集め、その後、荒廃と滅亡を起こされる。
集められた心の清い者を除き誰もそれから逃れられない。
シオンと共産主義
財産を共有する点では似ている。しかし、その依り所とする思想が違っている。
共産主義 │シオン(奉献の律法)
・無神論である。 │・「神」を依り所とする。
宗教は麻薬のようなものである。 │ この世界のすべての物は本来、神の
あの世で報われるので、現状を改革し│ 物であるという考えが、人から私利
なくてもよいという無気力を起こさせ│ 私欲を消し去る。資産を所有してい
るものと考える。 │ るのではなく、管理を任されている。
・この社会制度の維持のために国家的暴│・教会員の「心の清さ」(愛、分かち
力が用いられる。 │ 合いの精神)で維持される。
労働者という「自分」が資本家という│ 生活に困っていない「自分」が生活
「他者」から利益を奪い返すという │ に困っている「他者」を助けるとい
「闘争」によって「平等」を実現する│ う「愛の精神」によって「平等」を
と考える。 │ 実現すると考える。
・「平等」とは、だれもが同じ量の配分│・「平等」とは、だれもが自立してい
を受けることを言う。(魚を与える)│ る状態を言う。(釣り道具を与える)
・感想、意見
・このような慈善活動は、私たちの教会以外の団体でもできるので、
それに任せておいて、私たちは、回復された教会でしかできない
ことに専念すべきではないか。たとえば、回復された福音を世界中に
知らせるとか、死者のために身代わりの儀式を行うとかは、
私たちの教会でしかできないこと。慈善活動にお金と労力を掛けている
暇はないと思うのですが。
・キリストの究極の戒めは神と人を愛すること。慈善活動は人を愛するこ
との実践である。
・シオンや福千年の社会は、助け合いの精神で成り立っている。
慈善活動はそれの準備になる。
・シオンを築くことは、わたしたちの教会しかできないこと。
・私たちが人を愛することを通して、その人は神の愛を知ることができる。
・慈善活動によって、周囲の人々に当教会が怪しい宗教ではないと
わかってもらえる。
統一教会やオウム真理教の問題が起こって、それ以前は毎月のように
バプテスマがあったが、これ以降、新興宗教団体に対する警戒感が
強くなったため、バプテスマが年に1、2回に減ってしまった。
・今回のお話は、教会がどのような慈善活動をしているかの紹介だが、
単に、それだけでなく、キリストの再臨に備える内容になっている。
・総大会は教会員でない人も参加できるので、教会員でない人でも、
分かる内容になっているのですが、教会員だけが気づくことができる
ことや、神殿の儀式を受けた人が気づける内容も密かに盛り込まれて
いる。
・今後、再臨が近付くにつれ、戦争、疫病、自然災害等が頻度と規模を
増してくる。このようなとき、助け合いが益々必要になってくる。
シオンを築くためにも、このことが身についていないといけない。
・前回の総大会は伝道についての話が多かったが、今回はシオンに関する
話が多かった気がする。オークス管長、十二使徒のベドナー長老、
十二使徒のクリスタファーソン長老、管理ビショップのコセー兄弟。
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