神権会のレッスン
そのとき、わたしは弱さを強さに変えよう
ケビン・S・ハミルトン
七十人
2022年4月 土曜午後の部会
リアホナ2022年5月号 50ページ
【導入】
・悔い改める必要がある。
・へりくだって、キリストを信じる信仰を持つならば、
キリストの恵みによって弱さを強さに変えていただける。
【お話のまとめ】
・刑務所長のダフィーは囚人たちの更生に尽力した。
囚人は変われないという批判に対し、人間は毎日変わると主張した。
・人は変わることはできないと、サタンは偽る。
・人は変わることができる
・神の子供として、神から受け継いだ特質がある。
・変わることは悔い改めること。悔い改めは罰でなく、変わること。
・神の祝福を受けるための条件
・信仰を持つ、正しいことをする、悔い改めるなど。
・救い主はありのままの人を神の王国に迎え入れることはできない。
清くない者はそこに住むことができない。自分の罪を解決しなければならない。
・弱さは強さに変わり得る
・変わるために神の力を受けるのにも条件がある。
キリストの前にへりくだり、キリストを信じるならば、弱さを強さに変えられる。
・人には弱さが与えられている。これは現世における経験の一環。
キリストの贖罪を通して、弱さを克服することができる。
・変わるための条件
1)へりくだる(謙遜)
・謙遜の反対は高慢。神の考えや気持ちよりも自分の考えや気持ちが優先される。
・子供のように従順で、柔和で、謙遜になるべき。
・生ける預言者に従う、神殿の聖約を交わして守る、日々悔い改める、変わりた
いと望み、心を神に従わせる謙遜さが必要。
2)キリストを信じる信仰を持つ
・キリストはわたしたちを清め、癒し、強くする力を持っていると信じる。
・その信仰により、能力を授かり、贖罪による祝福を受ける。
3)主は恵みを通して、弱さを強さに変えることができる。
・わたしたちが変われるよう、主が力を授けてくれる。
あらゆる障害、あらゆる問題、あらゆる弱さを克服する力を与えてくれる。
習癖や依存症、悪を行う性癖さえも克服できる。
・御父の子供として、わたしたちには、変わるための力が備わっている。
・妻の曽祖父のジェームズ・B・キーサー
彼は若くして母を亡くし、苦労を重ねた。教会から離れ、悪い習慣がしみついた。
大恐慌と第二次世界大戦のさなかに、仕事を探すため、ロサンゼルスの姉夫婦のもと
に身を寄せた。彼らの影響で、彼は教会への関心を取り戻し、モルモン書を読み始め
た。アルマ書34章を読んでいたときに次の言葉に心が動かされた。
「まことに、進み出て、もはや心をかたくなにしないでほしい。見よ、現世は人が神
にお会いする用意をする時期である。まことに、現世の生涯は、人が各自の務めを
果たす時期である。」
彼は悔い改める決意をし、神に赦しと生活を変えるために必要な力を願い求めた。
彼は生涯の終わりまで献身的な末日聖徒であり続けた。
・時には、二歩進んで一歩下がっているように感じることもあるかもしれないが、
信仰をもって、へりくだりながら前進し続けよう。
【補足情報】
・今回のテーマは「改心すること」。キーは「謙遜」。
謙遜になることによって、神の力を経験することができる。
・キリストの贖いは、死と罪を克服するだけでなく、弱さ、欠点、不完全さ、苦難を
克服する力も与える。
・エテル12:27
もし人がわたしのもとに来るならば、わたしは彼らに各々の弱さを示そう。わた
しは人を謙遜にするために、人に弱さを与える。わたしの前にへりくだるすべて
の者に対して、わたしの恵みは十分である。もし彼らがわたしの前にへりくだり、
わたしを信じるならば、そのとき、わたしは彼らの弱さを強さに変えよう。
・賛美歌 71番 高ぶりを慎み
1. 弱きを悟りて 慎む者みな
主は導きて 祈りにこたえん
高ぶり慎み 主に祈り求む
主は安きもて 報いとなさん
2. 慎み求めよ 主は道示さん
汝れ愛をもて 仕うるために
高ぶり慎み 主に求め行かん
主はみもとへと 連れ行きたまわん
・弱さを強さに変えた例
・ベートーベン
耳が聞こえなくなってから名曲を作った。
・エノク
エノクは口が重かったが、それを克服して力強い教師になった。
(モーセ6:26-47)
・シェリー・マン
シェリー・マンは5歳の時、小児麻痺にかかった。両親は毎日、彼女をプール
に連れて行き、水の力で何とか腕を動かす訓練をさせた。そして、ようやく水
のないところでも自力で腕を上げることができた時には、大声をあげ泣いて喜
んだ。次の目標は、プールの横幅を泳ぎきることである。次いで縦幅、その後
何回もと、繰り返し訓練が続けられた。来る日も来る日も泳ぎ続け、忍耐の連
続であった。そしてついに、水泳の中でも最も難しい種目と言われるバタフラ
イで金メダルに輝いたのである。
・ヒーバー・J・グラント
グラント大管長は多くの苦手なものがあったが、努力によって克服した。
・野球
彼は野球が下手だったので仲間から物笑いの種にされた。彼はその冷やか
しを受けて立つと、野球道具を買うお金を稼いで、家畜小屋の壁に向かっ
て何時間もボールを投げ続けた。この粘り強さの結果、ヒーバーは後に優
勝チームでプレーすることになった。
・字
学校では字が下手なためにクラスの友達にからかわれた。彼は奮い立ち、
書き方と簿記の先生になると固く決心した。余暇を利用して書き方の練習
を始めた。そして何年も練習を重ねて、ついに「傑出した能筆家」との異
名を頂くまでになった。彼は書き方の準州大会で第1位となり、デゼレト
大学(現在のユタ大学)で書き方と簿記の教師になった。
・歌
彼は10歳のときに歌に見込みがないと言われ、43歳になるまで歌えなかっ
た。43歳のときに、歌のうまい秘書に歌の教師を依頼した。練習を始めて
から2時間たっても、練習曲の一行すら歌えなかった。その歌を5000回以
上練習してから、人前で歌う機会があったが、結果は惨惜たるものだった。
それからさらに同じ曲を6か月間練習した。その後、数時間の練習で一つ
の歌を歌えるようになった。
・座右の銘
あきらめずに努力すれば何でも簡単にできるようになる。それは、その物
事の性質に変化があったのではなく、わたしたちの力が増したからだ。
・才能と弱点は反対のものに見えるが、どちらも神様から私達に与えられた課題である。
それをこなすことによって、私達は強くなり、それを長所にすることができる。
・神に頼るとは、神まかせにして、自分は何もしないことではない。
例えば、落とし物をして、探しても見つからないとき、神に祈るが、自分も探し続ける。
そうすると、誰かが拾って交番に届けてくれたり、探す場所がひらめいたりして、見つ
かることがある。
日本には次の格言もある。
・人事を尽くして天命を待つ
・天は自ら助く者を助く
・長年かけて身に着いた悪い習慣から離れるのは大変。
何度も何度も挫折しながら、克服していかなければならない。
例えば、自転車に乗れるようになるには、何十回、何百回も転んで、
上達しなければならない。
漫画家やアニメーターはフリーハンドで綺麗な丸や直線を書くことができる。
しかし、そのようになるには、何千、何万も丸や直線を書いてきた。
1、2回、失敗しただけで、諦めてはいけない。
7の70倍まで、努力し続ける必要がある。
・キリストの贖いの力は、悔い改めた後に効力を及ぼすだけでなく、悔い改めているとき
にも効力を及ぼす。
・自分の無力さを実感したときに、神に頼る必要性を感じ、謙遜になる。
ウクライナの教会では、戦争前より今の方が、集会への出席者が多くなった。
・力の差
神 > サタン > 自分
サタンの誘惑に勝つには、神の介在が不可欠である。
・曾祖父の人生の記録が子孫に伝わっていることがすごい。
先祖は子孫のために人生の役に立つ記録を残し、
子孫は先祖の記録から人生の役に立つことを学ぶ。
先祖の心が子孫に向き、子孫の心が先祖に向いている。
聖書やモルモン書も先祖が子孫のために残した記録。
もし、聖文などの神に心を向けさせる記録が無ければ、
全地は悪に満ち、ことごとく荒廃していただろう。
・条件反射制御法
「やめたいのにやめられない悪い習慣をやめる技術」(フォレスト出版) より
悪い習慣は、条件反射になっている。梅干しを見ただけで唾液が出るというようなもの。
唾液が出ないように、考えただけでは唾液が止まらないように、しみついた悪い習慣は、
止めようと考えただけでは克服できない。
「条件反射制御法」は「条件反射」に働きかける作業だ。強すぎて制御不能となった
「条件反射」の活動を訓練によって中断させ、最終的に行動制御ができるようにする。
「条件反射制御法」は「くい打ち」と「空振り」の2つがある。
・くい打ち
・条件付けられた反射にストップをかける方法。
・「くい」を打った後は習慣となった行動をしないという事実をつくり、これを計画
的に反復する。
・動作にはキーワードをつける。
・悪口を言う癖を治したい場合、「私は今、人の悪口を、言わない、大丈夫」と言い
ながら、胸に手を当ててその手で拳を作り、親指を握りこむ動きをする。
これをすることで習慣行動を意識し、大脳が刺激を受ける。
・初めのうちは「条件反射」が作動するが、「制御刺激」を意識的に行っているため、
習慣行動は失敗に終わる。この「失敗」が反復すると、習慣行動は徐々に弱まって
いくので、習慣行動をしない条件付けができるようになる。
・1日に20回以上この作業を行えば、ほとんどの人は2週間ほどで、「制御刺激」が習
慣行動をしない「刺激」として条件付けられる。
・1回の「制御刺激」と次の「制御刺激」の間まで20分以上、間隔をあけなくてはな
らない。「刺激」に対する「反応」としての行動が継続されるのは、20分程度。
・言葉は声に出してもよいが、頭の中で思うだけでもよい。
・言葉を選ぶ際にはいくつかのポイントがある。必ず「私は」「今」を付ける。
・環境を「くい」だらけにするために、目を開けて様々な場所で「制御刺激」を行う。
・空振り
・「習慣行動」をあえて計画的に行うが、「報酬」を与えない行動を反復する。
・擬似的に真似したり、想像で行ったりするが、絶対に「報酬」を生じさせない。
・たとえば、覚醒剤の場合は、偽の注射器を腕に当てる動作をする。
実際に覚醒剤は体に入らないので、快楽という「報酬」が生じない。
「くい打ち」と「空振り」で「習慣行動」が終わった後もしばらくは、この作業を頻
度を落として継続する。治った状態を維持することができる。
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