2004年11月のみことば

究極の敵、死を滅ぼした受肉者の神

 「死のとげは罪であり、罪の力は律法です。わたしたちの主イエス・キリストによって、わたしたちに勝利を賜る神に、感謝しよう」
            (コリントの信徒への手紙一 15章56節〜57節)


 パウロは、この書簡の中で、究極の敵は死であり、しかも受肉者イエス・キリストはご自身の贖罪の死をもって、死の力を持つ者に勝利し、その同じ十字架の体で死人の中から復活されたことを述べている。

                     
「すると、王座に座っておられる方が、「見よ、わたしは万物を新たにする」と言い、また、「書き記せ。これらの言葉は信頼でき、また真実である。」と言われた。また、わたしに言われた。「事は成就した。わたしはアルファであり、オメガである。初めであり、終わりである。渇いている者には、命の水から価なしに飲ませよう。勝利を得る者は、これらのものを受け継ぐ。わたしはその者の神になり、その者はわたしの子となる。」
             (ヨハネの黙示録 21章5節〜7節)


第一に
 この「王座に座っておられる方」は、イエス・キリストによって死と死の権威を持つ者、即ち悪魔を滅ぼし、(ヘブル人への手紙2章14節)死に勝利された神である。「信頼でき、真実である」とは、言葉なる神受肉者イエス・キリストである。万物とすべての人間の重荷・死と分裂・虚無、その罪の極悪性の悪魔と凡てを、永遠に受肉し、十字架に死に、血をもって万物を贖い、復活された。
 従って、現在の、われわれと全被造物、即ち万物は、三一の復活の主イエス・キリストの、血によって贖われた彼の罪の赦しと聖めの執り成しのうちにあります。この天も地も、「我らは神の中に生き、動き、存在する」(使徒言行録17章28節)のであります。だが、神においてのこの勝利を、人間を通して遂行するため、キリストの体なる教会に絶えず、聖霊なる神イエス・キリストが満ち満ちて、教会を通して、又、教会とこの世の連帯を通しても、人間の罪と偏見と虚無、そして死と分裂と戦い、キリスト者の信仰により克服し、イエス・キリストの体が十字架の陰のように、神の福音がインマヌエルの羽の如く、全世界とすべての人間を教会を通して、おおっています。

第二に
 この御座におられる方は、同時に愛する父と子と聖霊と一つなる、真実の神であり永遠の命である。三一の主イエス・キリストご自身でもあります。「凡てを新たにする」、「事は既に成った」とは、神の永遠の受肉者・贖罪者イエス・キリストに於いて、神は人間の凡ての罪と死と、即ち受肉者なる神以外のすべての責任を取り、すでに受肉し、裁き、十字架に於いて、永遠に断罪し、服罪し、見捨て、滅ぼし、そのため、イエスは処刑者として曳かれ、審判者として死なれました。その血により万物を贖い、黄泉に降り、三日目に死人より甦り、40日間弟子達に現れ、生きたことを証した。(コリント人への手紙一 15章参照)山上から天に昇り、全能の父なる神の右に座し給うた。このイエスは同じからだで再び来臨すると告げられた。今はそれを待つ時である。つまり、世界と人間、万物の神の救いは既に成就した結果が、聖霊降臨である。

 地上の歴史の中に「神が御子の血で贖いとられた神の教会」(使徒言行録20章28節)が生まれました。この勝利の三一の主イエス・キリストが、聖霊によってキリスト者の信仰と執り成しと愛の奉仕を通して、教会を通して、人間と世界に「罪の悔い改めと赦しによる新生の恵み」の、福音による勝利を賜ります。
「教会はキリストの体であり、すべてにおいてすべてを満たしている方の満ちておられる場です。」(エフェソの信徒への手紙1章23節)教会は、復活のキリストが、土の器の、キリスト者の中に、深く、深く隠れて、本人も教会も気づかない程、隠れた「知られざる我」のうちに、宿り、生命となって湧き出し、天父への祈りの霊、信仰の霊の主体者として生きておいでになります。教会では、常に、「わたしが生きているので、あなたがたも生きることになる」(ヨハネによる福音書14章19節)と言う方と共に、その方の中に、この人間と世界の凡ての重荷、罪と肉体の死とさまざまな分裂を連帯し、教会はこの2000年間、キリストにあって人間のこの死と格闘し、勝利してきたといわれる。

 罪と死に勝って明日を生きる受肉者イエス・キリストの神の教会は、世の生命営利、優勝劣敗の原理に反して、信仰、希望、愛の自由に基づく、差別なき「キリストがすべてであり、すべてのもののうちにおられる」(コロサイ人への手紙3章11節)という共同体であります。
 そこではしばしば弱者は、勝利の席につき、罪人は、義人の座につかされているといわれる。
 
ベウラ教会  石川喜一牧師
(いしかわ きいち)




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